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過熱するマラソンブームにひと言!

なぜ人は知らないうちに趣味にハマってしまうのか

  • 武田 斉紀

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2011年2月28日(月)

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東京マラソンなんて自分には関係ない?

 2月27日、日曜日の朝9時すぎ。東京都庁前でピストルが鳴った。今年で5回目となる東京マラソンのスタートだ。フルマラソン3万2000人、10キロ3000人が都心を駆け抜けた。

 テレビでスターターを聞いていた私は、4年前の第1回大会を思い出した。当時でも3倍以上の確率だった抽選に、ラッキーにも当選したのだ。私はランニングの薄着のままで、冷たい雨に打たれながら西新宿の都庁舎近くにいた。寒くて奥歯をガチガチと鳴らしながら、目の前に並んだ大勢のランナーたちが動き出すのを待っていたのだ。

 私が東京マラソンに応募した理由は、マラソンを始めた多くの人と変わらない。「一生に一度はフルマラソンを走ってみたい、自分にチャレンジしてみたい」と思ったからだ。応募する時には完走などできるのだろうかとドキドキした。いざ当選してみると、今度は足が震えた。しかし落選した人の分まで頑張らなければバチが当たると思った。当日お腹が痛くなったと言って辞退するわけにはいかない。こうなったら腹を据えるしかない。

 練習を始めたのは当選と分かった大会半年前の真夏、4年半前のことだ。私自身は過去に2キロ以上走った記憶がなかった。ゆっくり走ったつもりがすぐにバテて足が止まった。個人的には走ることには少し自信があったのだ。中学時代は学内で優勝し、1500メートルの選手として大会に出たこともある。それだけにショックだった。42.195キロという未知の、というより想像もできない世界を相手にしようとしていた。半年間でどれくらい走っただろう。仕事のうえでも、家族に対しても練習優先で無理をしたことがあったかもしれないと思い出す。気軽な気持ちで応募して始めたはずが、いつの間にかハマってしまっていたのだ。

 彼方から歓声が聞こえ、東京マラソンがスタートしたことが分かった。前にひしめくランナーたちは一向に動く気配がない。10分以上待ってようやく前の人が進み出す。ようやくたどり着いたスタート地点のスターター台を見上げると、ひと仕事を終えた石原慎太郎都知事の笑顔があった。

 30キロを過ぎたあたりでかなり苦しくなったが、初マラソンを3時間台で完走することができた。手前みそだが、40歳代の初マラソンとしてはかなり速い方だ。半年間の練習は裏切らなかった。その日は足も動かないくらいで、次のことなど考えられなかったはずなのに、翌日には次も走ろうか、もっと上のタイムを出せないかと考えている自分がいた。マラソンは恐ろしい。

 この4年で、マラソン人口は急増した。4年前には近所を走っている人などほかに見かけなかった。ところが今は朝から夕方まで、いや夜中になっても走っている人が目につく。世代もバラバラだ。男性もいれば女性もいる。

 東京には人気のランニングスポットもたくさんできた。一番人気は皇居周辺のようだ。皇居の周回は1周がちょうど5キロと分かりやすく、従来からランニング愛好家には親しまれてきた。ところが今や平日の夕方ともなると、辺りは人、人、人で異様な雰囲気になっている。コースには道幅の狭いところもあって、歩行者とのトラブル、ランナー同士のトラブルも問題になっている。東京マラソンが始まったころに、誰がこんな状態を予想しただろうか。

 ただ走るだけの単純なことに、なぜ人はそんなに熱くなってしまうのか。彼らはいつかフルマラソンを完走したいと思っている。では実際大会に出て、完走を達成したら満足かというと、「苦しくてもう嫌だ」と言っていたはずなのにまた次も走ると言い出す。マラソンに興味のない人にとっては、全く理解できない話だろう。

 ランナー(ランニングが趣味の人々)たちも最初からそうだったわけではない。以前は走る人の気持ちが知れないと思っていたというランナーも少なくない。親しい人に誘われて、ダイエットにもなると聞いて少しだけと走り始めただけなのに、気がついたらハマっていた。そんな声をかなり聞く。

 今回のコラムは、ランニングにもマラソンにも興味のない人をその気にさせようという企画ではないので安心してほしい。ただ何らかの趣味を持ったことがある人には読んでいただきたい話だ。趣味は時間が空いた時にやる程度なら特に問題はない。だがハマってしまった瞬間に一変する。誰しも一度や二度くらいそうした経験があるのではないか。ランニングに限らず、ハマってしまった途端に仕事や家族など、趣味より大切にしなければならない存在を忘れてしまうことがある。そうならないためにどうすればよいか。コラムのテーマである、『ブレない組織、ブレない生き方』の特に“ブレない生き方”の方で考えてみたい。

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牛島 信 弁護士