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「実現できない? そんなことはまったくない!」

五十嵐財務副大臣に聞く、法人減税の実効性

2011年2月28日(月)

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 約12年ぶりの法人税率引き下げが動き出した。5%の下げ幅と言われるが、研究開発減税の縮小など課税ベースの拡大もあり、実現しても効果は限定的との見方が強い。

 一方で、世界はリーマンショック後、法人税率引き下げと政策減税の組み合わせで自国企業を強力に支援し、外資を呼び込む「国家資本主義」的傾向を強めている。激しいグローバル競争にさらされる日本企業にとっては、さらなるハンディを負う格好になっている。

 果たして日本はこの難局にどう対応するのか。五十嵐文彦・財務副大臣に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス編集委員 田村賢司)

―― 政局が混沌としている。法人税率引き下げは結局、実現できないのではとの見方も出ているが。

五十嵐文彦(いがらし・ふみひこ)氏
1948年11月東京生まれ。大学卒業後、39歳まで時事通信社記者。1993年に日本新党から立候補して衆議院初当選。現在4期目。著書に『大蔵省解体論』など(写真:松谷 祐増、以下同)

五十嵐 そんなことはまったくない。必ず実現する。

―― 法人税率は世界最高水準にあり、引き下げ自体は、長年懸案でありながら進まなかった。それが昨年夏頃から突然動き出した。なぜか。

五十嵐 昨年6月に出した新成長戦略で、日本は成長シナリオを持たないとだめだと打ち出した。例えば韓国がめざましく伸びてきており、日本も活力を持たないとだめだということになったのが大きい。

 もともと、一昨年(2009年)暮れに策定した平成22年度(2010年度)税制改正大綱でも課税ベースを拡大する中で法人税を引き下げると書いており、政府税制調査会としても基本的な方向性は持っていた。

 政権交代が起きたことで、それまでの政権が打ち出せなかった課税ベースの拡大を進められるようになった。それは、特定の業界にしがらみのない政党に政権が移ったからだ。

 さらに昨年には、新成長戦略に熱心な菅(直人)さんが総理大臣になり、公約として法人税引き下げを言い出したということだ。

―― だが、問題は法人税を引き下げる財源だ。財務省は最後まで課税ベースの拡大、つまり法人税内での財源捻出にこだわり、ネット減税に抵抗した。

五十嵐 慎重だったのは私だ(笑)。法人税収が14~15兆円か、それ以上もあるような巡航速度で伸びる時なら(ネット減税でも)いい。しかし、平成21年度(2009年度)は6兆4000億円まで落ちている。そんな時に1兆数千億円にも上る規模の減税をやるのか、ということだ。

 「(1兆数千億円を)すべてネット減税でないとだめだ」という声も党の内外にあった。しかし、「税率が高いから空洞化している」と単純には言えない。消費地との距離とか、様々なことがある。かつて(法人税率の低い南欧の国に)出て行った企業もあるが、インフラの問題などで結局撤退したところもある。

 一方、かつて法人税率が日本同様に高かったドイツに進出した米国の自動車メーカーは、高速道路が無料だとか、そういうメリットも含めて進出して、成功している。

―― 税調の中では、「法人税制改正を起点にどう成長につなげるか」という国家戦略的な議論が少なかったのでは。

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注:「法人税負担率」「連結法人税額」ランキングの対象は、東京証券取引所第1部で2010年1~3月に決算期を迎えた企業(2009年度)で時価総額(今年2月4日終値)1000億円以上の企業。「金融」と税引き前利益が赤字、税負担率がマイナスの企業は除き、負担率の高い(低い)順、連結法人税額(税効果後)が高い順にランキングした

コメント7

「効果ゼロの大失政 「5%法人減税」を斬る」のバックナンバー

  • 2011年2月28日

    「実現できない? そんなことはまったくない!」

一覧

「「実現できない? そんなことはまったくない!」」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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