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僕も上司も同僚もやり過ごす、“ある種”のパワハラの正体

言葉しか理解しない社員が事態を悪化させる

2011年3月3日(木)

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 “パ・ワ・ハ・ラ”──。最近、やたらとこの4文字を耳にする。

 つい先日もそうだった。

 「うちの会社でも、メンタルを損なう社員が増えているんですよ」

 「増えている背景には、例えば、残業時間が多いとか、やたらと成果を求めているとか? そういった問題もあるんじゃないですか?」

 「いやぁ~、そういうことよりも、何というか、“ある種のパワハラ”が結構あるんです」

 「“ある種のパワハラ”、ですか?」

 「ええ。第三者からすると、それがパワハラになるのかと、クビを傾げたくなるものもあるんですけど、本人的にはパワハラ、だと。上司もそういうつもりで言ったんではない、と思うんですけど……」

 これは、相談を受けた会社の方とのやり取りである。

“ある種のパワハラ”と真のパワハラとの違い

 “ある種のパワハラ”。何とも微妙な言い回しだ。

 パワハラにはさまざまな問題があり、当事者を死に追い詰めるほど問題が深刻化しているケースもある。だから、かなり言葉を選んだ結果、“ある種のパワハラ”という表現になったのだろう。

 パワーハラスメント(=パワハラ)は和製英語であり、欧米では「モビング(mobbing)」あるいは、「モラルハラスメント(moral harassment)」と呼ばれる。以前、このコラムでも書いたが、欧米では明確にモラハラを定義し、それに関する法律や処罰まで作っているが、日本には、パワハラの明確な定義すらない(地方自治体では独自に定めているところも一部ある)。

 ただし、一般的には仮の定義が使われている。次のようなものだ。

 「職場において、職権などの力関係を利用して相手の人格や尊厳を侵害する言動を繰り返し行い、精神的な苦痛を与えることにより、その人の働く環境を悪化させたり、あるいは雇用不安を与えること」

 昨年度から厚生労働省が労災認定基準を見直し、ストレスの要因となる職場の出来事として「違法行為を強要された」「ひどい嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」などの項目を追加し、それまで闇に葬られていた悪質なパワハラに厳罰を科すようにもなった。

 私自身、上司のパワハラが原因でメンタル不全に陥ったり、会社を辞めたりした方たちに何度もお会いしているので、この件に関しては慎重に扱わなくてはならないことは十分に承知している。

 それでも、悪質なパワハラではなく、冒頭の男性が言ったような、“ある種のパワハラ”が、やたらと増えているように感じられてならない。

 執拗にしかったり嫌がらせを繰り返したりして、当事者を追い詰めるパワハラとは一線を画す、上司の一言。

 「本人は人格を否定されたとか、尊厳を傷つけられたって言っているけど、たぶんそういう意味で言ったものではないと思う」といった上司の言動。

 これが、“ある種のパワハラ”である。

 そこで、今回は、この“ある種のパワハラ”について、考えてみようと思う。

 なお、念のために繰り返すが、今回取り上げるのは、あくまでも“ある種のパワハラ”である。真のパワハラ問題については、関連記事:“上司”が“仕分け人”に変わる瞬間をご覧いただきたい。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「僕も上司も同僚もやり過ごす、“ある種”のパワハラの正体」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師