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新生JAL、4月からの復活に欠かせないもの

「どんな○○を目指すのか」、ブレない方針を明らかにする

  • 武田 斉紀

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2011年3月14日(月)

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「どんな○○を目指すのか」はJALだけの問題ではない

 2010(平成22)年1月19日の破綻から1年余り。約170人の整理解雇と1万6000人の人員削減など多くの痛みを伴いながらも、この4月、新生日本航空(JAL)がスタートする。

 同社のブランドロゴ「鶴丸マーク」を懐かしむ人からすれば、JALの復活を喜びつつも、「JALは本当にこの1年で生まれ変わったのだろうか」との疑念も残るだろう。加えてここ1年で航空業界の地図が大きく変わった。最たるはLCC(ローコストキャリア)と呼ばれる、格安航空会社の日本市場への本格参入だ。

 2007年にはオーストラリア・カンタス航空のLCC子会社、ジェットスターが参入。その後、関西国際空港や福岡空港、そして2010年に開港して話題になった茨城空港に、フィリピン、韓国、中国のLCCが次々と就航。2010年12月9日には、東南アジア最大規模のマレーシアのLCC、エア・アジアの第1号機となるクアラルンプール便が成田空港に到着した。

 エアアジアの国際線旅客数は1425万人(2009年度)と、JALとANA(全日本空輸)の合計に迫る(日経ビジネス2011年1月17日号)。徹底したコスト削減の工夫と努力に、旅客数というボリュームが価格競争力を加速する。人件費の削減のために、客室乗務員は到着便から乗客が降りた後、機内を清掃し、出発便の搭乗手続きまで担当する徹底ぶりだ。テレビの特集で取材に答える彼女たちは、時代の変化を受け止め、歩合を組み込んだ給与制度さえも前向きに楽しもうとしていた。

 飛行機を単なる移動手段としか考えない人にとっては、椅子が少々狭くても、搭乗ゲートが遠くても、機内への入場がブリッジではなく地上を歩くことになっても、機内サービスが一切なくても、より安い方を選ぶだろう。航空運賃は日用品とは価格が違う。半額なら浮いてくるお金も小さくない。生活費が足りない人だけでなく、ほかのことにお金を使いたい人もLCCのターゲットになるだろう。

 LCCのアジア・太平洋地域におけるシェアは2001年以降うなぎ登りに上昇し、2009年には座席数ベースで15%を超えた。欧米では既に30%前後に上る(同誌)。しかも薄利多売ではなく、格安ながら利益もしっかりと確保しているからさらに手ごわい。日本周辺での成長は止まりそうにない。

 従来の航空会社も手をこまぬいているわけではない。さらなるコスト削減に取り組み、成果は出つつあるようだ。またカンタスとジェットスター、シンガポール航空とタイガー航空のように、従来の航空会社がLCCも用意し、市場を補完し合う動きもある。国内のライバルであるANAはその道を選んだ。ただし顧客の食い合いや低価格化の加速を心配する声もあり、一体として参入することにはまだためらっているようだ。

 いずれにしても、新生JALが激しい競争の真っただ中に船出することは間違いない。ちまたではLCCの台頭が続く以上、従来の航空会社の運賃が大幅に下がることはあっても、上げることはもちろん、維持することすら難しいという声が強い。だが私は必ずしもそうは思わない。

 価格は顧客満足という付加価値で決まる。付加価値さえ感じられれば、出せる人は必要なだけのお金を出す。先ほど「ほかのことにお金を使いたい人」の話をしたが、フライトで十分な価値が感じられるのであれば、その人はほかでのお金を削って、逆に航空会社にお金を回してくれる可能性だってあるのだ。

 JR東日本が2月5日に運転を開始した東北新幹線の新型車両「はやぶさ」。その新幹線版ファーストクラス「グランクラス」が話題になっている。初日から8日まで「はやぶさ」の平均乗車率は約65%だったが、「グランクラス」はほぼ100%で、「1週間先ぐらいまでほぼ満席」状態だという(産経新聞3月8日)。従来の航空会社は、LCCの効率経営の良い部分は見習いコスト削減に努めながらも、自らの信じる顧客満足の道を進めばいいのではないかと私は思う。

 果たして新生JALはどんな航空会社になろうとしているのか。そう思っていた矢先、同社は新しい企業理念『JALグループ企業理念』を発表した。

 企業が再生を目指す時、あるいは局面を打開したい、業績を回復したい、新たなステージに立ちたいと思う時に必ず取り組むべきは、今後「どんな○○を目指すのか」というブレない方針を明らかにすることだ。そしてそれを従業員全員で共有し、行動していくことだ。その意味でも、新生JALの「どんな○○を目指すのか」は参考になる。

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