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震災の修羅場で学んだ 災害対応の“本質”

三ツ星ベルトの西河紀男会長が語った復旧までの軌跡

2011年3月15日(火)

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 1995年1月17日、関西地方を急襲した阪神大震災──。その激震は、神戸市を中心に甚大な被害をもたらした。最も被害が大きかったのが、民家が密集した長田区だ。

 瞬時に広がった火災によって、一帯が焼け野原と化した。この長田区に工場を構えていたのが、三ツ星ベルト。工場の従業員が延焼を阻止し、8日後には操業を再開した。その経験から得た災害対応の本質を西河会長が説く。

(取材構成:中野目純一)

 まず、3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震で被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表する。

 私は1995年1月に起きた阪神・淡路大震災を体験し、震災の被害が拡大する中、被災した会社や工場の復旧を陣頭指揮した。その時の経験が、いま困難に直面されている方々のお役に少しでも立てれば幸いである。では、当時のことを振り返ろう。

 「木っ端みじんとはこういうことを言うのだな」──。

 14年前の1995年1月17日午前5時46分。神戸市を中心とする阪神地域をマグニチュード7超の大地震が襲った。「阪神・淡路大震災」である。

西河 紀男(にしかわ・のりお)氏1936年生まれ。58年甲南大学経済学部卒業、阪神内燃機工業入社。90年三ツ星ベルト入社。購買部長、管理本部長を経て、93年常務、95年2月専務。同年6月社長。2003年10月社長執行役員。2007年6月から現職。(写真:山田 哲也)

 既に目を覚ましていた私は、衝撃の大きさに驚き、「家の近くで何かが爆発したのではないか」と思った。地震だとは思いも寄らなかった。

 揺れが収まると、タンスが横倒しとなり、床には一面、家具が散乱していた。窓から外に目を向けると、倒壊した隣家の家屋が、私の家にもたれかかっている。

 家の外に出ると、周囲の古い木造家屋が、小さな木片しか残っていないほど粉々に壊れていた。その光景はまさに木っ端みじん。その後、言葉も出なかった。

 当時常務だった私は、震災の当日には出社できず、翌日に芦屋の自宅から神戸市中央区の神戸ハーバーランドにあった本社へと向かった。震災の影響で神戸市内の道路や鉄道は寸断され、公共交通機関はすべてストップしている。自動車での移動もままならない。隣家から借りたマウンテンバイクを自らこいで、ひたすら西に向かった。

 ハーバーランドにたどり着くまで、恐らく2時間はかかったと思う。本社の入居している神戸ハーバーランドセンタービルは、エレベーターが止まっていた。オフィスがある21階まで階段で上る。着くや否や、既にオフィスにいた社員たちに指示を出し、出社していない社員やその家族の安否の確認を急いだ。

 マウンテンバイクによる片道2時間の本社通勤を続けた後、次は長田区にある神戸工場に通いつめた。工場の復旧作業を、陣頭に立って指揮するためである。

わずか8日で工場を再稼働

 家屋が密集していた長田区は、最も被害の大きかった地域だ。震災の直後から火災が広がり、約3600棟が瓦礫や灰と化し、約44万平方メートルが焼け野原となった。

阪神大震災で倒壊した阪神高速道路の高架橋。神戸市内の交通インフラは寸断され、都市としての機能は不全状態に陥った(写真:三島 叡)
画像のクリック拡大表示

 だが、神戸工場のある長田区の真野地区では、夜勤明けの工場の従業員たちが、工場に配備していた手押しポンプ車3台を使って消火活動に当たり、延焼を食い止めた。

 消防車がいつまで経っても到着せず、消火栓の水も出ない中、工場内の防火水槽や井戸の水を使って、工場の周囲の火災を消し止めようとした。ようやく火の勢いが弱まって鎮火の兆しが見え始めたのは、震災当日の深夜だったという。

 従業員たちの懸命の消火作業のおかげで、工場の内部では工作機械が横倒しになり、床に資材や金型などが散乱したものの、設備や建屋に大きな損傷はなかった。

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「震災の修羅場で学んだ 災害対応の“本質”」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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