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真心を伝える

相手の話に耳を傾けることから始めよう

2011年3月18日(金)

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 先週の地震・津波で多くの方が犠牲になりました。また、被災され、不便な生活を強いられています。テレビの映像を見ているだけで心が痛みます。悲しみに沈むネイティブの友人にどう声をかければいいのでしょいうか。今日は真心の伝え方をお話しします。

英米人の悲しみの表わし方は日本人と違う


 喜怒哀楽の表わし方は人種や民族によって違います。日本人と英米人の差が最も大きいのは喜びのようなプラスの感情ではなく、悲しみのようなマイナスの感情の表わし方ではないかと思います。

 例えば、「つらい」を表すには
Difficult
Hard
 を用います。部下の首を切る際に、あるアメリカ人はDifficultを連発していました。彼の表情から、  「大事な部下を辞めさせなくてはならないのはつらい。部下が哀れだ」と言いたいのが分かりました。

 ただし、Difficultには「困難だ」という意味もあり、「法律上、解雇は困難だ」と言っているようにも聞こえてしまいます。この単語の持つニュアンスのせいか、つらい気持ちが「つらい」という日本語ほどストレートには伝わってこないのです。

 また、英米人は人前で嗚咽する、ということはまずありません。声を詰まらせるとか、涙をにじませるということはありますが、それもごく短時間であって、「泣き声をたてる」とった派手な泣き方はしません。涙を見せることは品位に欠ける行為だ、という意識が英米人の底流に働いているのだと思います。

 ある有名な米国人テレビキャスターが、2001年9月11日にアメリカ同時多発テロ事件が起きたとき、遺族の様子を見て、涙で声を詰まらせました。彼は数年後の番組で当時を回顧し、「冷静であるべき、報道機関の人間が涙を見せて申し訳なかった。今後は二度としない」と語っていました。日本人のキャスターがそのような発言をすれば、「情を解さない人だ」と言われるかもしれません。

 だからといって、英米人と日本人との間で、不幸に遭遇した際の悲しみの度合いに違いがあるわけではありません。

自分の気持ちを言葉にするのは難しい

 「実は母が亡くなったんだ」
 夏休みの様子を尋ねた際に、カナダ人のポールはこう切り出しました。ぼくが驚いたのは彼が笑みを浮かべながら言ったことでした。そこまで取り繕わなくてもいいのではないか、とぼくは思いました。

 ぼくはとっさに真面目な顔をして、
I am sorry.  (ご愁傷様です。)
 と言いました。これは決まり文句です。
 皆さんがこうした場面に遭遇した際に、どういう表現を使うかは重要ではありません。お悔やみの気持ちは表情に表われますし、相手もそれを察します。

 ただし、メールで訃報や相手の苦境を知った場合は簡単ではありません。弔意や激励の気持ちを言葉で示さなくてはならないからです。弔意の場合なら、日本にはほぼ定型の弔電があるので、それを送ればいいかもしれません。しかし、こうした習慣のない欧米では自分の言葉で書かなくてはなりません。英文レター集には弔文や激励の例文が出ていますが、これを写すだけでは気持ちは伝わりません。

 ぼくは途方に暮れた経験があります。オーストラリア人のピーターから「ホスピスに入った」というメールをもらった時です。癌を患い、余命がいくばくもないとのことでした。長年の交友を感謝する、という内容でした。彼の文面は毅然としていました。

 今さら、「頑張れよ。まだ望みを捨ててはだめだ」みたいなことを言っても絵空事です。かといって何も言わなければ何も伝わりません。彼の最期に臨んで、ぼくが言うべきことは何か? ぼくは彼のメールを前にして数時間考え込みました。何を伝えるべきなのだろう。

 ぼくが達した答えは「彼のことが好きだという気持ちだ」でした。ファンドマネージャとして優秀だったピーター。ぼくがアラブ首長国に赴任して初めてできた友人で、レストランやショッピングセンターを案内してくれ、アパート探しも手伝ってくれました。そういう友人を得たぼくはどんなに幸せだったことか。ピーターのことは一生忘れない。君と接した多くの人が同じ思いでいるよ。と書き送ったのです。

 返事はありませんでした。書く力が残っていなかったのでしょう。ピーターを見舞った友人によれば、「ノリ(ぼくのこと)からメールがきた」と言って喜んでいたそうです。

相手を認めた時に友達ができる

 苦境にある友人を直接助けることができる場合もありますが、そうではない場合も少なくありません。その場合、自分の気持ちを示すことくらいしかできないのではないでしょうか。自分の気持ちとは何か。それは真心です。

 人が友人付き合いをするのは「気が合うから」が理由でしょう。「気が合う」とはどういうことかを問うてみると、お互いが相手の良いところをどこか認め、相手のことを好きになっています。それを表わすことが「真心を伝える」ということです。

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「真心を伝える」の著者

林 則行

林 則行(はやし・のりゆき)

投資家

投資家。全く英語が話せないのに資産運用のノウハウ修得のため渡米、コロンビア大学MBAにぎりぎり合格。仕事力と日本人の強みを生かすことで、社内最低の英語力ながら海外運用機関で株式運用部長。現在独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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