• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

米メディアが見た東日本巨大地震

米メディアの手薄な対日取材体制を大震災が襲った

  • 在米ジャーナリスト 高濱 賛

バックナンバー

2011年3月17日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 東北・関東を襲った大地震発生と同時に、米メディアは大規模な取材力を投入、連日現地からのレポートを視聴者に送っている。その規模は、おそらくイラク戦争開戦直後の取材体制に匹敵するだろう。24時間ニュース速報を流すケーブルテレビのCNNやフォックス・ニューズはともに看板アンカーマンを送り込み、現場の状況を時々刻々送り続けている。ニューヨーク・タイムズなど主要新聞は、アジア各地から特派員を日本に集結させる一方、本社から地震や核問題の専門記者を特派している。

 アメリカのメディアがこれほど人とカネを使って「日本」に関して報道するのは何年ぶりだろうか。

 ここ10年、米メディアの日本への関心は急速に薄れていた。政治決定のできない、変わり映えのしない政治。「失われた10年」の残渣をいまだに引きずる日本経済。日本は輝きを失ったままだ。米メディアにとって日本は、ニュースバリューの低い国になっていた。

 西海岸の雄、ロサンゼルス・タイムズの日本報道は朝鮮半島に関する報道の“おまけ”のような扱いだった。ソウルに常駐する特派員が時々東京にやってきては、当たり障りのない話題を送るといった取材体制だった。

 その反面、米メディアは、軍事力を増強する世界第2の経済大国・中国へは次々と特派員の数を増やしていた。ニューヨーク・タイムズなどは「雨の日はあっても中国の記事の出ない日はない」(カリフォルニア大学バークリー校ジャーナリズム大学院のトム・ゴールドスタイン教授)ほど中国報道に精力を割いている。

オバマ大統領の発言が米メディアの背中を押した

 その日本に3月11日、まるで聖書の黙示録を再現するかのようなカタストロフィーが起こった。米メディアにとっては「空き家」同然になっていた日本を、地震と津波が奇襲したのだ。

 大地震は他の国でも頻繁に起こっている。ハイチでも中国でも起こっている。津波も東南アジアを襲っている。核漏れも小規模なものなら欧州でも起こっている。

 だが、その3つが束になって同時多発的に先進民主主義国・日本を奇襲した。これはアメリカ人にとっても対岸の火事ではなかった。いつアメリカで起こっても不思議ではない。とくに2005年8月、米東南部を襲った大型ハリケーン・カトリーナの惨事や1979年3月のペンシルベニア州スリーマイル島原子力発電のメルトダウンはアメリカ人の記憶に新しい。

 しかも日本はアメリカの極東戦略にとって欠かすことのできない同盟国。そこには米軍4万人が駐留している。そういう認識は、地震発生直後の段階では、米メディアの編集幹部の頭に浮かばなかったかもしれない。

 米メディアが日本への集中豪雨的取材に転じるきっかけとなったのは、おそらくオバマ大統領の記者会見だったと思う。地震発生から8時間ほどたって行われた会見の冒頭で、オバマ大統領は異例の所見を述べた。

 日本国民、特に被災者に対して「テレビで現状を観ていて胸が張り裂ける思いだ。妻と私は深甚なるお見舞いを申し上げる」と述べて、オバマ大統領は日本との絆を強調した。

 「日本が試練の真っ只中にいるとき、日本の友人に我々はありとあらゆる支援の手を差し伸べる用意がある。日米両国民の友情と同盟とは揺るぎない」

 しかもオバマ大統領はこの段階で既に米空母や他の艦隊の日本への出動にまで言及するという周到さだった。いわば、オバマ大統領自身がメディアの背中を押したと言える。

副産物的に日本の「今」がすべてあからさまになった

 寝込みを襲われたような米テレビの初動は鈍かった。日本のテレビの映像をそのまま垂れ流しながら、CNNなどは現地採用のアシスタントを呼び出したり、東北に住むアメリカ人とスカイプを使って様子を聞いたりすることでお茶を濁していた。

 米国の有力シンクタンク「ランド研究所」のレイチェル・スワンガー主任研究員は「米メディアの記者は、日本語ができないのか? 日本にいる英語しか話せないアメリカ人に頼る取材で見ていて歯がゆかった。もっと日本人の被災者や関係者にインタビューをすべきだった。そうした中でウォールストリート・ジャーナルは、英語のできる日本人記者を大量に投入し正確な情報を迅速に流していた」と語る。

 もっとも24時間たったころから、主力の取材班が続々と日本に到着、本格的な取材体制に入った。

 米メディアが今回の大震災を報道する中で、アメリカ人は、忘れかけていた日本と日本人を久しぶりに観た。震災の映像を見ながら、副産物的に日本人の姿を再確認したのではないだろうか。

米メディアは日本人のGamanに驚いた

 大惨事のすさまじさがアメリカ人のお茶の間に流れれば流れるほど、今の日本が素っ裸にされた。地震で崩壊した建物は、中国や中南米の前近代的な建物ではない。立派なビル、民家、学校、漁船、飛行機…。辛うじて助かった人たちの表情、しぐさ。悲しみを必死に耐えながら、秩序正しく、冷静さを保っている日本の被災者たち。

コメント15

「東日本大震災」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

誰もやらない領域を根気強く続けられるかが成功の秘訣。

田坂 正樹 ピーバンドットコム社長