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東電本社密着ルポ「原発危機24時」

露呈した情報発信不足と連携不足

  • 大西 孝弘(日経ビジネス記者)

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2011年3月18日(金)

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「初めての社長会見」

3月13日
 これまでの東電の会見で最も“荒れた”のは、3月13日の会見だった。

 東京・内幸町にある東電本社。ここでは報道関係者が24時間体制で控えていた。

18時30分
 1階の受付周辺に集まった記者たちに対して、広報担当者が「3階で会議を開催します」と告げると、記者たちが我先へとエレベーターに殺到。エレベーターを降りると会見場までまっしぐらに駆け込んだ。この会議室には報道陣が詰めかけ得おり、座りきれず立ったままの人もいた。

20時20分
 20時20分。大地震以降、東京電力の清水正孝社長がはじめてメディアの前に姿を表した。カメラのフラッシュが激しく清水社長を照らす。

3月13日、東京電力の清水正孝社長(左から2人目)は記者会見で原発事故と停電について謝罪した

 会見の冒頭、清水社長は用意されたメモを読み上げ、謝罪した。「想定を超える津波だった。たいへん申し訳ない」。

 清水社長は会見中、一点を見つめたまま。会見が進むにつれて少ない情報と、はっきりしない回答に報道陣は苛立ちを強めていった。

 およそ2時間後に、清水社長は会見を終えて退席しようとしたが、記者たちが清水社長を取り囲み、質問を繰り返す。もっと説明してほしいと感じる記者が多かったからだろう。

 この会見で発表した計画停電の件にも、東電内の混乱ぶりが透けて見えた。翌日の計画停電について説明したものの、急ぎで作ったためなのか資料に不備が散見された。

 例えば、最初の資料では東京都で計画停電の対象になっていたのは墨田区だけだった。しかし、後でホームページに掲載された資料には目黒区や大田区も含まれていた。
 さらに、翌日に実施された計画停電では、予定されていないかった山梨県や千葉県の一部も停電となった。計画停電とは事前に市民に知らせて準備をするためのもののはずなのだが、計画停電とは名ばかりになってしまった。

「実質的な対策本部長」が登場

3月14日20時40分
 14日は史上初の計画停電の実施に、報道陣の関心が集中していた。
 ところが、予想しない形で20時40分からの会見に、技術担当の武藤栄副社長が登場した。東電関係者によると、「清水社長は営業や調達出身で、技術に精通している訳ではない。実質的にはこの武藤副社長が陣頭指揮をとっている」と言う。武藤副社長が出てきたのは、事態が小康状態にあったからと考えられる。

 技術者としての独特の言い回しのためなのか、明言を避けたいのか、原発の状況が、あまり記者に伝わってこなかった。

 ただ、1号機と3号機で水素爆発のトラブルが起きて建屋が損壊し、報道陣の質問は1号機と3号機に集中した。東電側は燃料棒が水で冷却できずに“空焚き”になり、一部燃料が溶ける炉心溶融(メルトダウン)が起きている可能性は認めつつも、詳細については語らない。最終的には「最善の努力をしていく」を繰り返すのみだった。

 この清水社長、武藤副社長の会見の後に、予期しない問題が次々と起こる。その後、2人はメディアの前に登場していない。統合連絡本部から一時も離れられないほど、事態が深刻化しているということだろうか。

 

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