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お母さんと子供に「安息の空間」を

これから重要になる「被災地・心のケア」

  • 谷口徹也

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2011年3月21日(月)

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 日本ユニセフ協会は団体、企業などの協力を得て、東日本大震災の被災地に対する緊急支援、復興活動を始めた。第1弾として飲料水や紙おむつ、使い捨てカイロなどの物資支援を実施すると同時に、人的支援として2人の日本人専門家を派遣する。

 その1人となったのが、国連児童基金(ユニセフ)ソマリア支援センターの國井修氏だ。医師であり、感染症研究の専門家でもある國井氏は非政府組織(NGO)や国際協力機構(JICA)の一員として100カ国で活動した経験があり、阪神・淡路大震災や2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震の津波災害でも現地で支援、調査活動に携わった。

 大震災の支援として必要とされるのは何か、過去の経験をどう生かせばいいのか。被災地へ出発する前日の3月18日、國井氏に聞いた。

(聞き手は谷口徹也=日経ビジネスオンライン副編集長)

―― いよいよ現地に出向かれます。どのような視点で支援活動を進めたり、提案したりしていくのでしょうか

國井修(くにい・おさむ)氏
国連児童基金(UNICEF)ソマリア支援センター 保健・栄養・水衛生事業部長
1988年自治医科大学卒業、公衆衛生学修士(ハーバード大学)、医学博士(東京大学)。内科医として勤務しながら国際緊急援助NGOの副代表として、ソマリア、カンボジア、バングラデシュなどの緊急医療援助に従事。国立国際医療センター、東京大学、外務省、長崎大学・熱帯感染症センター、UNICEFニューヨーク本部、同ミャンマー事務所などを経て現職。これまで、110カ国以上で緊急援助、開発事業、調査研究、教育に関わった。

 國井 テレビなどでは、被災者の様子としてお年寄りが苦労されている姿などを映しています。半面、そこで見落とされがちなのが、妊産婦や子供のケアです。

 妊産婦の体は1人だけのものではなく、必要とするエネルギーも大きい。安心して母乳をあげたり、ゆっくり休息したりできる空間が必要なのです。ほかの被災者の方々も大変ですが、その中でも特に、寒さや騒音、照明や外の光などを気にせずに済む特別な空間を作ってあげることを検討してもらいたいと思います。

 子供にも特別なケアが必要です。被災の現場に行くと分かりますが、子供は強いショックを受けると笑顔がなくなります。子供は大人と違って、ストレスを感じてもそれをうまく表現することができません。表情や様子を見て心理的な状態を察して接することが大切です。単にそばにいて寄り添ってあげるだけでも大きな支えになります。

 避難所の状況が許すのならば、子供に遊び場を確保してあげてほしい。子供は子供同士で遊ぶことが心の傷を癒す早道になるからです。ある程度時間が経って復興活動が始まったら、今度は学校を再開させる「バックトゥスクール活動」が重要になります。やはり学校という場で仲間と過ごすことが心の傷を癒すことにつながるからです。

専門家と支援者の橋渡しに

 心のケアと言うとカウンセラーや精神科の医師をどう派遣するかという話になりそうですが、できることはそれだけではありません。被災者やボランティア活動をされている方々の中には、学校の先生や保健師の方など、子供と接することに慣れた方々もいます。そうした人たちに協力してもらうのです。

 被災地の方々は強烈なストレスによる精神的な傷害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)またはASD(急性ストレス障害)という状態にあります。これをどうやって早期に癒すのかというマニュアルはある。しかし、それを実施する訓練された専門家があまりいないのが現状です。そこで、人数が限られた専門家と、先生や保健師などとの橋渡しをしていけば、ノウハウを身につけた人を増やすことができます。

 今回はもう人材を育成する時間がありませんから、マニュアルのエッセンスを非常に簡単に1枚紙にまとめて被災地に配ったりするのもいいでしょう。我々が専門家と支援者の橋渡し役になりつつ、そんな活動もできたらいいなと思っています。

 あと重要なのは、妊産婦や有病者などハイリスクな被災者を把握し、そのリスク内容とともにリストアップしておくことです。重点的に目をかけてケアすることで、病気を予防したり、病気の悪化を未然に防ぐことができます。これについて、阪神・淡路大震災の時は非常に効果的に機能していたと思います。

―― 反対に、過去の支援活動の教訓を今回に生かそうと思うことはありますか。

 阪神・淡路大震災の復興支援で少し思ったことがあります。それは、被災者と支援者の間に線を引きすぎていたことです。

 老若男女を問わず、被災者の中には元気な方もいらっしゃいます。そういう人には支援・復興活動を積極的に手伝ってもらった方がいい。少しであれば、強制力を伴ってもいいと思います。いわば、被災者参加型の支援にしていくわけです。困った人の役に立つこと自体がその人自身の心のケアにもなります。

 お年寄りであっても、小さい子供に絵本の読み聞かせをしてやったり、遊んでいるのを見守ることはできる。子供も避難所の掃除をしたり、寝たきりのお年寄りの足を揉んであげたりすることはできますね。ただ、何をしたらいいか分からなかったり、自分から行動を起こすことにとまどいを感じる人もいますから、活動全体を整理したり仕切ったりするファシリテーターが必要になります。それも我々ができることの1つになるでしょう。

―― 被災していない我々は義援金を送ったり、支援物資を送ったりすることしかできませんが、経験に基づく専門的な知識で、幅広い支援が考えられるのですね。

コメント2件コメント/レビュー

16年前の阪神淡路の震災のときも、時間とともに、被災者の中で格差が生じてきました。少しでも頑張ろうというひと、投げやりな人、ただ、任せるだけ任せて甘える人。避難所の中にいる人、避難所には入ってない被災者(自分)。そうした中で、それぞれニーズが違うし、思いも違う。甘えるだけ甘えて何もしないの?という目もあれば、あんたは避難所暮らしじゃないんだからという目も。被災者同士の心の対立、支援者と被災者との心の対立など、さまざまな格差が時間とともに生じてきました。そうした思いの中、「被災者と支援者とを完全に分けてしまうのではなく」というのは、とても大切なことだと思います。今後、そういったマニュアル的なこと、経験されたことを、もっと少しでも共有情報としてオープンにしていただけるとありがたいです。(おやさん)(2011/03/22)

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16年前の阪神淡路の震災のときも、時間とともに、被災者の中で格差が生じてきました。少しでも頑張ろうというひと、投げやりな人、ただ、任せるだけ任せて甘える人。避難所の中にいる人、避難所には入ってない被災者(自分)。そうした中で、それぞれニーズが違うし、思いも違う。甘えるだけ甘えて何もしないの?という目もあれば、あんたは避難所暮らしじゃないんだからという目も。被災者同士の心の対立、支援者と被災者との心の対立など、さまざまな格差が時間とともに生じてきました。そうした思いの中、「被災者と支援者とを完全に分けてしまうのではなく」というのは、とても大切なことだと思います。今後、そういったマニュアル的なこと、経験されたことを、もっと少しでも共有情報としてオープンにしていただけるとありがたいです。(おやさん)(2011/03/22)

5歳の娘がいる女性です。地震の前後で流産したこともあり被災地の妊婦・授乳期の女性、赤ちゃん・子供のことが気になっていました。この記事を読んで被災地のリーダーにこのような声が届いてほしいなあと思いました。時間がたつにつれてこのような現地からの声がどんどん表にあがってきて手助けできる状況になることを祈っています。(2011/03/22)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長