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巨大な断層と爪痕を見た

現地取材班「第1陣」からの報告(上)

2011年3月25日(金)

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3月11日深夜、東京都内
 テレビで流れる震災と津波の映像に、ただ言葉を失った。仕事を終え、自宅への帰途についたが、最寄り駅まで電車は復旧していない。途中から徒歩へと切り替えて、1時間ほどの道のりをひたすら歩いた。その間、テレビの被災映像が繰り返しフラッシュバックし、1つの思いが脳裏を巡った。

 無傷で生きている自分に今、何ができるのか――。

3月12日午後、都内自宅
 地震で散乱した本や置物を片付けようと手をつけた矢先、携帯電話が鳴った。編集部の上長からだ。

 「これから現地に入ろうと思う。行けるか?」
 「行けます。いえ、行かせて下さい」

 とにかく被災した地をこの目で見て、読者に伝える。返事をした際の心境は極めてシンプルだった。現地の状況を伝えることが、報道機関が負っている使命に他ならない。「行かない」という判断など、ありえない。

「自分の食料は自分でなんとかしろ」

3月12日夕方、東京駅
 急ごしらえで結成した取材班が東京駅に集合した。しかし、状況は困難を極めた。当初、最も被害が深刻とされた宮城県や岩手県へ向かうためのルートは、陸路・空路ともに壊滅状態。追い討ちをかけるように、東京電力福島第1原子力発電所の危機的状況が矢継ぎ早に報道される。想定以上の惨状に、東京駅で状況を見守ることになった。

 「とにかく現地に近づこう」。判断したのは12日の午後9時ころのこと。幸い、新潟までの上越新幹線が運行を本格的に再開し始めていた。新潟から山形・秋田方面であれば、徐々に電車も復旧しているとの情報もあった。自由席券を握り締め、「Max とき」に飛び乗った。

3月13日午前0時、新潟駅
 平時であれば2時間強の東京―新潟間だが、さすがにダイヤが乱れたこの日は3時間近くかかった。車中で何とか新潟駅前のビジネスホテルの部屋を確保できた。自分自身の中で張り詰める緊迫感に、なかなか寝付けないが、それでも新潟で一夜を過ごした。

3月13日午前8時、新潟駅
 当初、秋田まで北上した後、岩手方面を目指そうとしていた取材班だが、新潟発の特急「いなほ」はこの日、山形県の酒田駅までしか運行していなかった。そこで計画を変更し、酒田から山を越えて宮城県を目指すルートを選択した。

 問題は、酒田から宮城までの交通手段だ。電車は当然のように動いていない。被災地での移動手段も含め、レンタカーを利用することにした。ところが酒田駅周辺のレンタカー業者にいくら問い合わせても、一向にクルマを借りることができない。

 ある大手業者からは「本部から貸し出しを控える指示が来ていまして…」との声も聞こえた。震災直後で道路網が混乱している上に、既にガソリンスタンドがほぼ営業を停止している状況だった。クルマを借りても、途中でガス欠になるなどの危険性が高まっていた。当然の判断とも言える。

 大手業者は、本部指令だから交渉の余地がない。そこで、酒田の手前の鶴岡駅にある地場業者と携帯電話で交渉した。そして、何とかクルマを借りることに成功する。

3月13日昼、山形県鶴岡市内
 レンタカーを借りたところで朗報が入った。日本経済新聞の仙台支局が「雑魚寝でよければ」と会議室を貸してくれることになった。車中泊を覚悟していただけに、救われた気持ちだった。目的地は明確になった。仙台市内の支局までたどり着けば、なんとかなる。

 仙台支局長からは、こう告げられた。「自分の食料だけは、自分でなんとかするように」。そこで、鶴岡市内の店を周り、棚から消えかけていたカップラーメンを買い込んだ。そして地図や寝袋、電池といった備品を買いそろえ、クルマに積み込んだ。

 そして、太平洋岸を目指した山越えが始まった。

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