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災害現場で活躍する自衛隊の課題

前線で働く「士」がいない

  • 清谷 信一

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2011年3月26日(土)

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 このたび発生した東日本大震災に対応するため、政府は、派遣する自衛隊員の数を、当初の2万人から段階的に引き上げて5万人にした。それをさらに、首相の「鶴の一声」で一挙に10万6000人に倍増させた。

 だが、自衛隊には人的資源に致命的な欠陥がある。今回、それがなぜか全く報道されていない。

10万6000人動員体制は3カ月以上はもたない

 単に10万6000人を派遣するといっても、容易なことではない。その10万6000人を維持するためには、兵站などの維持に少なくとも5~6万人ほどの間接要員が必要である。このため、実質的に16万人ほどを、現状の定員約24.8万人から動員する計算になる。しかも実際には10万6000人がすべて現場に入っているわけではなく、市ヶ谷の防衛省で連絡業務に就いている人員なども含まれている。

 自衛隊が対応しなければならないのは東日本大震災だけではない。航空基地やレーダー・サイト、潜水艦部隊など、24時間即応体制を取っている部隊や組織も少なくない。また、アデン沖の海賊対策のために護衛艦を2隻、同じくジブチを基地とする哨戒機P―3Cを2機派遣している(基地の守備は陸上自衛隊)。そのほか、ハイチやゴラン高原などにも陸自の部隊を派遣している。これらの部隊の交代要員も必要だ。また東北地方では、自衛隊の部隊自体が被災したケースもある。被災した部隊は実力を発揮できない。

 こうした状況を考えると、自衛隊は持てる限りの人的資源を震災の救援に振り向けていると言って過言ではない。このため陸上自衛隊の即応予備自衛官にも初めて招集がかけられている(海上自衛隊と航空自衛隊には通常の予備自衛官だけで、即応予備自衛官は存在しない)。即応予備自衛官は約8500人。多くは招集できないだろう。恐らく10万6000人動員体制は持って3カ月、それ以上の継続は不可能だろう。

 現在現場は4勤1休体制を取っている部隊もある。1休といっても後方に下がれるわけではない。現場は遺体の収容作業などもあり過酷である。前線の部隊を入れ替える必要があるが、今のところその余裕はない。このままでは過労死する隊員が出かねない。

 10万6000人体制の看板を下ろし、戦線を縮小整理すべきだ。何でも自衛隊にやらせるのではなく、民間にできることは民間に移行すべきだ。また米軍に大規模な派遣を依頼してもいいだろう。

第一線で働く、若い「士」が足りない

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 自衛隊は人員構成に大きな問題を抱えている。ずばり言えば、軍隊で言うところの軍曹以下の兵隊がいないのだ。実際の「士」の隊員数は「士長」を除けば定員の4割強でしかない(グラフ1)。

 軍隊では、人員を階級ごとに将官、将校(佐官・尉官)、下士官、兵と区分する。自衛隊も同様に将官、幹部、準・曹、士と区分している。

 将官以下曹クラスまでは定員を充足している。だが士=兵隊に限っては定員の4割強しかいない。つまり単純計算ならば普通科(歩兵)1個小隊は定員30人の3分の2しかいないことになる。まさに、震災の現場では士の数が足りない状況にある。しかも、自衛隊は予備役の数が少ないので、大震災という「有事」において人的な補充ができない。そもそも曹に対して士の定員自体が少なすぎることも問題だ。

 加えて、自衛隊でも“高齢化”が進行している。若手である「士」の数が少ないために、自衛隊の平均年齢は2008年度で35.1歳と高い。ちなみに英軍は30.5歳と自衛隊よりも5歳以上も若い。また1991年度の自衛隊の平均年齢は32.2歳だったので、これと比べても高くなっている。

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