• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「日本企業は準備を怠った」

海外が苛立つ「地震国」の弛緩経営

  • 江良 俊郎

バックナンバー

2011年3月26日(土)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「緊急地震速報です」。クルマのハンドルを握っていると、突然そんなニュースが流れた。

 3月11日金曜日、午後の新宿通り。赤坂のオフィスへ帰る途中だった。そして、信号待ちで止まった瞬間、経験したことのない大きな揺れに襲われた。

 この瞬間から電車は動かなくなった。そこで、車通勤の私が、娘を保育園に迎えに行くことになった。夕方7時前に赤坂を出発したものの、主要道路はほとんど動かない。夜10時、ついにあきらめて、虎ノ門のホテルオークラの駐車場に車を乗り捨てて、歩いて赤坂のオフィスに戻った。娘はというと、大手町で働いている妻が、やっと動き出した電車に乗って迎えに行くことになった。

 この日、結局私は社員5人と会社で寝ることにした。もちろん、そんな経験は初めてである。だが、この程度のことで済んだのは、東京しかオフィスのない弊社だったからだ。大手企業となればそうはいかない。多くのグローバル企業は被災地に何らかの拠点があったはずだ。そして、大きなダメージを受けている。

日本の大企業に注がれる厳しい視線

 まさか、自分の会社が倒壊したり、業務不能に陥るようなことは、誰も想像してなかったのではないか。ところが、危機は突然襲ってくる。リスクマネジメントに注力し、大きな災害にもあらかじめ準備していた会社は、大地震が発生しても被害を最小限に抑え、事業を続けられる、もしくは早期に復旧ができる。

 一方、まったく準備していなかった会社は、大きな損害と長期的な影響を受けてしまう。または、復旧できずに撤退や廃業に追い込まれる。

 確かに今回の大震災と大津波の影響はとてつもなくすさまじいものだった。パナソニック、日立製作所、ニコン、NEC、ソニー、トヨタ自動車、ホンダなど日本の大手メーカーは、早々に工場の被災と電力不足で通常の生産活動ができないことを発表した。

 日本国内にいる我々は、「まあ仕方ない」と思う。だが、海外のグローバル企業の目に映る日本企業はまったく違う。

 日本企業から部品などを調達しているIT系や自動車関連の海外グローバル企業は、サプライチェーンが寸断され、苛立ちを隠せない。そして、「日本企業は事業継続のマネジメントを怠っていたのではないか」と疑問を抱き始めている。

 例えば、携帯端末で世界最大手のノキアは3月21日、「多くの製品で供給体制に乱れが生じる」と発表している。ソニーエリクソンも同様の声明を発表しているという。日本企業は、世界中のメーカーに「生命線」とも言える基幹部品を供給していながら、その役割を果たせなくなっていることを浮き彫りにした。

 実は、このような事態は初めてではない。2007年7月の新潟中越地震では、新潟県柏崎市にあるエンジン部品ピストンリングのトップメーカー、リケンが被災した。これでシールリングやピストンリングといった主要部品の供給が止まる。そのため、トヨタ、日産自動車など数社が、次々と生産を停止する事態となった。

 さらに、自動車メーカーの生産停止に伴って、各地の自動車部品メーカーも連鎖的に生産を停止する事態に陥った。この状況に、欧米企業は「危機管理がそこまで疎かなのか…」と驚愕したという。地場の中小企業はさておき、グローバル企業ともなれば、「地震の影響があるため、しばらくお休みします」などという言葉は通用しない。

 日本は世界的に見ても、地震や台風、水害などの自然災害が多い国だ。企業はどのような大きなリスクに遭遇しても、コア事業が中断する期間を最小限に食い止め、取引先の業務に影響がでないよう、早期に通常の状態に復旧することが求められている。

 「事業の継続」は、企業の最も重要な使命だと言える。

 もちろん、今回の大地震は「1000年に1度」「日本の災害史上最大」とも言われる。そして、被災したにもかかわらず、「事前の危機対応シナリオに基づいて行動したので、事業が継続している」と断言できる会社は皆無に等しい。

 しかし、生産停止や操業低下、原発事故の影響、電力不足、物流の混乱などが長期化すれば、日本経済全体へのダメージは計り知れない。なんとか、各企業は、早期に中核事業だけでも復旧させなければならない。

コメント78

「東日本大震災」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

本当の問題は労務費ではありません。 熟練技能を持つ職人さんが 少なくなっていることです。

押味 至一 鹿島社長