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世界で活躍するための「地図」を持とう

震災後、日本人は否応なく外に向かう

  • 安西 洋之,中林 鉄太郎

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2011年3月30日(水)

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 1969年、ジャンボジェット機が就航、国際大移動時代の幕があけた。「これからはボーダレスだ。国を越えた世界が広がる」というフレーズが喧伝された。そして、1989年のベルリンの壁の崩壊で、「ボーダレス」は文字以上の意味を持つと実感し始めた人が多いのではないかと思う。

 1990年代の情報革命で「ボーダレス」経験はさらに身近になった。シェンゲン協定をEUが取り入れることでヨーロッパ域内の移動が自由になったことも、「ボーダレス」のムーブメントを推し進めた。2001年の9・11によって空港のセキュリティチェックが厳しくなり、街角の監視ビデオは増え、海外送金が制限されるなど、不都合が多くなった。それにもかかわらず、「ボーダレス」の流れを否定する人は少ない。

 「地域を問わず、世界の中からいかに同じ価値観の人々を見出し、それらの人々に共通の喜びや便宜を提供していくか。これが、今のビジネスのテーマだ」と当たり前のように語られる。確かにそうだ。フェイスブックやツイッターなどのSNSに接して、そう思うこともままある。「どこまで世界は一体感を増していくのか!」と喜びと少々の嘆息を持って眺める。

 が、これが世界の本当の姿だろうか。こういう動向だけ見てビジネスが成立する人は世の中で何パーセントくらいなのだろうか。規模と分野がかなり限定されるのではないか、などと同時に思う。

 しかも、「スマートフォンに地域性は必要か? ソニーエリクソンの挑戦ーグローバル商品の意外な現地化戦略」で紹介したように、コミュニケーションの先端デバイスと思われる分野でも、ユニバーサルとローカルは常にせめぎあいがある。

 今回のローカリゼーションマップは、連載第1部の「まとめ」として書いておきたい。また、4月からの連載第2部で、どのように連載が発展していくのか、明らかにしておきたい。なお、これまでの連載記事は大幅な加筆修正を行い、日経BP社より出版される予定だ。

世界の日常は、英語以外の言語で成立している

 英語が世界の普遍的共通言語となった。他の言語はローカル言語である。フランス語も既に「かつてのリングア・フランカ」だ。英語ネイティブがいなくても、アジア人同士でもお互いの言語が分からなければ英語で会話することは多い。

 今世紀前半、中国の国力が更に増すことはあっても、急落することはないだろう。そうした状況でも、英語はほぼ唯一の共通語としての役割を背負い続け、英語を介して世界で共通の感覚や価値が作られていくだろうと予想される。そう思うからこそ、非英語圏の人々は英語の習得に必死になっている。実際、インターネット上にある多くの情報は英語で書かれている。

 ここに落とし穴がある。

 ビジネスやミーティングが英語をベースとしていようが、英語のネイティブでなければ日常生活は他の言語を使っている。したがって、英語以外の言語のロジックで世界は構築されている。どこの国であろうと、大同小異だ。子供の教育の心配、また老いた両親の世話などは、それぞれの母国語で考え、話されている。英語さえ分かれば世界が分かるような気になるが、英語で分からないことの方が世界には多い。

 ローカリゼーションマップは、こうした日常のロジックを対象にする。

 ローカリゼーションマップはビジネス、特に商品企画において役に立つ「日常生活のロジック」を、いかに把握するかを目的としている。そのため、非英語圏が世界のリアルな様相を実際には作っているという事実を直視すべきだと考えている。これが前提だ。実際、欧州人同士のように似た感覚と似た価値観を共有していても、ビジネス上での英語のコミュニケーションを見てみると、ミスリードは数多く発生している。グーグルが機械翻訳を使ってローカリゼーションに力を入れるのは、至極当然のことだ。

 ここで、「クールジャパンが日本を救うか」で紹介した、ローカリゼーションマップの目的と方向について、もう一度書いておこう。本記事では、以下の3つのポイントのうち、最後の(c)にフォーカスしている。

(a)ローカリゼーションマップは、多くの専門家にいちいち聞くことなく、ビジネスの現場で「この市場はこんな風に理解すればいいだろう」という勘を持つことで余計な不安を取り除くことを目的としている。

(b)1つの業界だけでなく、複数業界を横断的に眺めるためのツールを作ることが目標だ。ある業界においての常識が、他の業界で有効な見方として使われることもある。その凸凹も含めて見渡すことができれば、全体図を描くことができる。

(c)なるべく日常生活に近い事例や、そこにある落とし穴を見つけながらロジックを理解することをベースとする。

活動の始まりは『ヨーロッパの目 日本の目』

 実は、ローカリゼーションマップは拙著『ヨーロッパの目 日本の目――文化のリアリティを読み解く』で述べたことの延長線上にある。ヨーロッパ市場向けの電子デバイスのローカリゼーションプロジェクトを経験し、日本企業の市場の文化理解とローカリゼーションへの注力は相関関係にあると思った。そして、ヨーロッパ市場を例に、ビジネス上必要な文化理解とは、ローマの歴史や近代思想史ではなく(もちろん、素養があるに越したことはない)、日常生活のロジックを把握することにあることを広く伝える活動を始めた。

 その活動の中で気づいたのは、ローカリゼーションという視点を備えておく重要性は地域を問わないので、視点の汎用性にもっと力点をおくべきだということだ。それが「ローカリゼーションマップ」という発想に行き着いた経緯だ。

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