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リスニング――聞き取れたフリが上達の道

「ピンチ会話術」で自然にうまくなる

2011年4月1日(金)

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 「シャワーのように英語を浴びるのがよい」、「分からなくても聞き続ければ、ある日突然理解できるようになる」ということはありません。だからといって集中して聴いても分からないことだらけだから、嫌気がさすだけです。「聞き取れたフリ」をしているうちに自然とうまくなります。これがいちばん楽な上達方法です。

「英語放送のつけっ放しでリスニングが伸びる」は真っ赤な嘘

 「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つの英語力の中で、聞くことが最も難しいです。相手は何を話してもいいし、そのスピードも相手の自由です。しかも、こちらは何度も「もう一度言ってください」とは言えません。

 巷の学習教材には「一日中英語のテレビをつけていれば、それだけで耳が鍛えられるようになる」といったコマーシャルを打っているものがあります。リスニングは難しいので、学習者の意欲を削がない方法を奨励しているようです。どんな宣伝も誇大広告の感がありますが、リスニングはその最たるものでしょう。

 ぼくも初心者のころは騙されて「英語一日つけっ放し」をやってみました。何日もやりました。でも、何の変化も起きませんでした。ただ雑音が鳴っているだけです。車の騒音が聞こえる部屋に住んでいる人が、いつの間にかその音を聞き分けて車種の違いが分かるようになることはないでしょう。漫然と聞いていて力がついた人をぼくは知りません。

 リスニングは一生懸命やってもなかなか聞きとれないものです。試しに、日本語のテレビを見る際に画面を見ないで後ろを向いて聞いてみてください。すべてが聞き取れるのはアナウンサーの読むニュースくらいです。対談番組になると分からない個所がすぐに出てきます。芸能人によるバラエティ番組となるとぐっと難易度が増します。

 母国語であっても簡単でないのですから、英語ではなおさらです。集中して聞かないと伸びることはあり得ません。ところが、この練習は面白くありません。何度聞いても分からないところだらけだからです。

 ぼくのお勧めは「リスニングの勉強をしないこと」です。英語が嫌いになってしまいそうな練習は一切する必要はありません。

 「だったら気が楽だけど、それだとリスニングの力が伸びないままではないだろうか」と思われるでしょう。それがそうでもありません。

背伸びをしているうちに本当に背が伸びる

 ポイントは「聞き取れるフリをする」ことです。ネイティブと話す際に、こちらが分かっていないことを隠しながら、分かったような顔で会話を続けるのです。もちろん会話中は、相手の言う事を理解しようと必死で努めます。これを続けているうちに、聞き取りの力はだんだんとついてきます。

 会社が仕事を受注する場合に、それまでの自社のレベルを超えた仕事を積極的に取ってくる場合があります。例えば、一般住宅を手がける工務店が今までやったことのないエコ住宅の仕事を取るような場合です。最初は見よう見まねで新しい仕事をこなすのですが、こなしているうちに、だんだんと高いノウハウがついてくるのです。

 ぼくが勧めるのは、背伸びをしているうちに本当に背が伸びるのを待つことです。なぜ「聞き取れたフリ」が可能かと言えば、相手が話すことのすべてが分からなくてもだいたいのところは理解できるからです。日本のテレビ番組だってすべてが聞きとれているわけではないですが、完璧に分かった気になるのと同じ原理です。

 当然ですが、聞きとれたフリをする際は、相手にばれないようにしなくてはなりません。「自分の英語は銅メダルまでいかない。ネイティブと二人きりになったら話がもたないよ」と思っていらっしゃるかもしれません。

 しかし、うまく逃げ切るテクニックを駆使すればなんとかなります。これが今回紹介するピンチ会話術です。まず公式です。自分がまだうまく話せないレベルなのですから、
(1)基本は相手に話してもらう
(2)ピンチの時は自分が話す
 というものです。

コメント30件コメント/レビュー

米国留学8ヶ月目の研究留学生です。まさに我が意を得たりの記事でした。というより、「これでよかったんだぁ」という感じです。8ヶ月目にして未だネイティブ同士の会話にとけ込むのは難しいと感じます。こちらでは分からないことは恥ずかしいことじゃない、それを隠す方が恥ずかしいことだ、とよくいいます。しかし、それを全部聞いていたら、それこそ会話が成り立ちません。そこで、僕はある程度わからなくても流して、基本的に質問し、相手の話を聞くというスタンスをとっていました。そして、急所ではこちらの意見を述べるという具合です。分からないのにうなずくのは最初、抵抗がありますが、移民の国アメリカでは、様々な英語が飛び交い、完璧に分かり合うなんて無理!そう思ったら楽になりました。しかし、学会での英語によるプレゼンを数ヶ月後に控えた今、そうも言えなくなってきました...(2011/04/05)

「英語は道具:銅メダル英語を目指せ」のバックナンバー

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「リスニング――聞き取れたフリが上達の道」の著者

林 則行

林 則行(はやし・のりゆき)

投資家

投資家。全く英語が話せないのに資産運用のノウハウ修得のため渡米、コロンビア大学MBAにぎりぎり合格。仕事力と日本人の強みを生かすことで、社内最低の英語力ながら海外運用機関で株式運用部長。現在独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

米国留学8ヶ月目の研究留学生です。まさに我が意を得たりの記事でした。というより、「これでよかったんだぁ」という感じです。8ヶ月目にして未だネイティブ同士の会話にとけ込むのは難しいと感じます。こちらでは分からないことは恥ずかしいことじゃない、それを隠す方が恥ずかしいことだ、とよくいいます。しかし、それを全部聞いていたら、それこそ会話が成り立ちません。そこで、僕はある程度わからなくても流して、基本的に質問し、相手の話を聞くというスタンスをとっていました。そして、急所ではこちらの意見を述べるという具合です。分からないのにうなずくのは最初、抵抗がありますが、移民の国アメリカでは、様々な英語が飛び交い、完璧に分かり合うなんて無理!そう思ったら楽になりました。しかし、学会での英語によるプレゼンを数ヶ月後に控えた今、そうも言えなくなってきました...(2011/04/05)

私は米国に20年暮らしてきて現在米国企業に働いていますが、このコラムの内容には感心することが多く、楽しく読ませていただいています。筆者と必ずしも同じ事をしてきたわけではないのですが、無意識で同じ事をやってきた事が多く、言葉で説明されて「なるほど、その通り」と思う事が多いのです。今回もその一例でした。会話が続かなければその相手からもあまり話しかけられなくなるでしょうし、上達もしませんから今回のようなやり方はとても有効です。みんな基本的には自分のことを話したがっているので、会話にある程度相槌を打って話題を提供できれば確かに話は成り立ちます。でも全然分からないと相槌も打てないので、今回のテクニックがそれと、相手の言っていることが分からない時に、別の言い回し(フレーズ)で言ってもらうという事は会話を続けるだけでなく本当に重要ですから、今回のような手法はいろいろな時に応用できそうです。(2011/04/05)

この記事読んで「同感!」「良かった!」と思いました。実は、すでに記事のようなことをやっているからです。聞き流すだけで英語力が・・・といううたい文句の英語教材をなかなか買う気になれず、聞き取れないものを聞き流して身につくなんて信用できなかったし。で、この記事を読んで、まさに自分が今、この記事に書かれていたように、背伸びしつつも分かっているふりしつつも、なんとか相手とコミュニケーションしているのが、やっぱり一番良かったんだと確信できました。SNS、チャット、メールでのやり取りから始めた海外交流でですが、今では相手の書いてきた文を翻訳ソフト無しで理解できるレベルにまでなってきました。実会話はまだまだだけど、実際に会う機会が今後増えていけば、実会話も伸びていく気がしており「英語もっとやってみたいな」という意欲さえ湧いてる自分を、昔では考えられなかったほどです。とにかく、しばらくは今までどおり、この記事のようなスタイルで行きたいと思います。ありがとうございました!(2011/04/04)

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