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今だから求められるリーダーの“語る”力

共にいて声をかけることが安心を与える

2011年3月31日(木)

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 こんな時だから、あんまりネガティブなことは言いたくない。みんなが自分にできることは何か? と考えながら、上を向いている時だから、批判めいたことも書きたくない。

 だが、この1週間、気になっていたことがある。日本のリーダーはいったい何をやっているのだろうか、と。おかげで新聞の『菅総理の一日』という、これまで滅多に読むことなどなかった記録を毎朝見るのが日課となった。

 菅直人首相はいろんな人と会っているらしい――。それだけは分かった。

 そして、姿を見せなくなってから1週間たった3月26日午後7時半過ぎ。NHKを見ていたら、総理の記者会見が始まった。その表情は疲れているようにも見えたし、いつもと変わらないようにも見えた。オーラがない。声に張りがない。そんな気もしたし、それは以前からだったような気もする。

 「地震発生から2週間を迎えた。被災された多くのみなさんに、改めて心からお見舞いを申し上げます」──。

 この一言で始まった会見は、最初から終わりまで、記者団との質疑応答も含めて、ほとんど原稿に書いてあることの読み上げに終始しているように見えた。

 何人もの記者が、「菅総理のお考えを教えてください」と質問しても、原稿を読み上げながら答え、「政府はやっている」「専門家の意見を聞いて政府が決断をしている」という言葉を繰り返した。

仮設住宅の建設を知らなかった総理

 震災の翌日の3月12日に行われた会見、13日に声を上ずらせながら行なった会見では、もう少し自分の言葉で語っているように思えたのだが、今回はそれが全くない。

 「あれれ。久方ぶりだと思ったら、いったいこの人は、どこを向いているのだろう?」

 そう感じながら会見を見続けていると、初めて菅総理が原稿に目を落とすことなく、質問した記者を見ながら答えた。その時のやり取りは次の通りだ。

(記者)現在も多くの方が避難所で苦しい生活を余儀なくされている。仮設住宅についてどういうスケジュール感を持っているのか。

(菅総理)仮設住宅については震災発生直後から国土交通省、大畠国土交通相を中心に、関係方面にその仮設住宅に使うプレハブの発注などを進めてきている。早いところでは月内にもそういう作業が始まるのではないかと思うが、いずれにしても大変大規模な震災なので、しっかりと地元のみなさんの希望を聞いて対応していきたい。それぞれ、先ほど申し上げた被災者支援対策本部において、そうした計画をしっかりと立てて進めていきたいと考えている。

 少しばかり驚いた。リーダーは、何も知らないんだ……。「早ければ月内にも作業が始まるのではないか」って。もうとっくに始まっているぞ。

 20日には既に岩手県の陸前高田市で仮設住宅の建設が始まったというニュースが続々と報じられていたし、会見が行われた26日には、陸前高田市のプレハブの仮庁舎で県に建設を要請している約4000戸の入居受け付けを始めた、と報道されていた。そのことを菅総理は知らないように思える回答だったのである。

 いったいなぜ、原稿を読まないという当初の会見スタイルを、以前の原稿読みに戻したのか? なぜ、既に作業が始まっていることを、何も知らなかったのか?(あるいは、知らないと思えるような答え方をしたのか?)

 一国のリーダーである総理大臣の、何とも心もとない会見に不安を感じていたら、もっと驚くことが次に起こった。

コメント59件コメント/レビュー

当初河合さんのコラムを読んだ時はまったく同感でしたが、沢山の方々の書き込み・意見を見て考えが変わってきました。確かに総理の頼りなさに不安を感じますが、最初から完璧なリーダーなど殆どいません。ましてや今回は未曾有の大震災。私たちにできることは政府を批判するだけでなく、総理が少しでも早く自信を取り戻して堂々たる日本の最高責任者としての責務を果たせるよう見守っていくこと、そして知恵を絞って共に実行していくことなのではないでしょうか。今こそ後ろ向きの議論ではなく、助け合い精神を実行に移すときだと思います。(2011/04/05)

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「今だから求められるリーダーの“語る”力」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

当初河合さんのコラムを読んだ時はまったく同感でしたが、沢山の方々の書き込み・意見を見て考えが変わってきました。確かに総理の頼りなさに不安を感じますが、最初から完璧なリーダーなど殆どいません。ましてや今回は未曾有の大震災。私たちにできることは政府を批判するだけでなく、総理が少しでも早く自信を取り戻して堂々たる日本の最高責任者としての責務を果たせるよう見守っていくこと、そして知恵を絞って共に実行していくことなのではないでしょうか。今こそ後ろ向きの議論ではなく、助け合い精神を実行に移すときだと思います。(2011/04/05)

石原の涙?そんなもん「遠く離れた東北の人間が何万人死のうが『天罰』とすましてられるけど、自分の兵隊であるハイパーレスキュー隊にはかすり傷も負わせたくない」ってだけのことでしょ。(2011/04/03)

管さんを批判するのなら、誰でもやっていること。ここで理想のリーダー論を語るのなら、もう少し具体的に私たちがやるべきこと、持つべき視点を提示してほしいと思いました。特にこれから始まる地方選のほうが国よりも私たちに近い存在で影響力もあります。候補者の話を聞く、選挙で誰が適任かを真剣に考える、それでダメなら自分で立候補するなど、、批判・評論は机上のこと。専門家の意見も今は、ツイッターでの一市民でもあまり大差なく感じられます。河合さんはこの分野での識者と認識されるのなら、行動として指し示すことをされたらいかがでしょうか?(2011/04/03)

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日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授