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インドを席巻する韓国勢を破ったソニー

負け続けた「日本の家電」が気付いた失敗とは

  • 中村 真司

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2011年4月6日(水)

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 なぜ、日本企業はインド市場で失敗を繰り返すのか。これからの連載で、その真因と処方箋を考えていきたい。

 欧米企業や韓国企業がインドで躍進した裏には、現地の生活を知り尽くした製品開発がある。

 そこで筆者はインドの農村部に足を踏み入れた。そこには、「最先端、ニッポンの家電」が入り込めない未開の市場が広がっていた。

 インドの商業都市、ムンバイからクルマで2時間。典型的なインドの農村に到着した。

 トゥプガオン村。全部で150世帯が集まる村には、灼熱の太陽がふりそそぐ。平屋の家が並ぶが、そこに電柱と電線が立っていた。電線は、だらりと垂れ下がるようにして各家庭につながっている。粗雑な感じが、その様子からも見て取れる。

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 近年はインドでもインフラ投資が急速に進んでいるが、まだ電気が通っていない村も多い。だから、トゥプガオン村は、まだ恵まれた状況だと言える。それでも、1日に2時間以上は停電する。電圧も安定していない。

 だが、これがインドの生活インフラの実情である。全世帯の3分の2は、電気が通っていなかったり、供給が不安定なままになっていたりしている。

 インドで家電製品をヒットさせるには、この貧弱なインフラを頭に入れておかなければならない。

 例えば、インドの携帯電話は年間約1億台が売れる巨大市場だが、圧倒的なシェアを誇るのがフィンランドのノキア。2010年のノキアのシェアは50%を超えており、続いてサムソン電子(17%)、LG電子(6%)と韓国勢が続く。日本勢はまったく振るわず、ソニーエリクソンがかろうじて3%というシェアを持っているにすぎない。

 なぜノキアなのか。その秘密は、2003年に発売したモデル、Nokia 1100にある。インド特有の湿度の高さや、埃っぽさに目を付け、防塵・防湿機能を高めている。そして、最大の特徴は、携帯電話に懐中電灯を付けたことだ。

ノキアの携帯には上部に懐中電灯が付いていた

 電力事情が悪いインドにおいて、懐中電灯が携帯電話と一体になっていれば非常に便利な道具となる。だから、訪れた農村部の人々に聞くと、「停電も多いから、懐中電灯機能はよく使う」と話す。インド市場で懐中電灯付きのNokia 1100は大ヒット商品となった。

 ノキアはNokia1100の後継機種のNokia1616などにも懐中電灯機能を付けている。逆に、必要ない機能は徹底的に省き、低価格化も実現した。Nokia1616は、ムンバイの街中で1300ルピー(約2300円)で販売されていた。

 「インドの農村で1300ルピーは高額ではないか」。そう思われる方もいるだろう。だが、新興国ではインフラ整備が遅れていることから、固定電話よりも携帯電話が先に普及する傾向がある。事実、トゥプガオン村では1世帯当たり1台以上の携帯電話が普及している。近くにあるモルブ村も訪ねたが、こちらでも状況は同じだった。農家が様々な情報を入手するために、携帯電話は必需品になっている。

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 さらにBRICsの一角であるインドでは、農村部の購買力が急上昇している。インドの代表的な消費財メーカー、ヒンダスタン・ユニリーバの売上高に占める農村地域の割合は40%にも達する。今後4~5年で50%まで拡大すると予想されている。

コメント6件コメント/レビュー

変化は遅すぎるかもしれない。日本企業は愚かかもしれない。だけど、家電メーカーは変わることができた。東電や日本政府は震災や人災の後も変わらない。世界の競争を生き延びたメーカーには、ほどほどの未来が待っているかもしれない。迷走する日本国は、AD2100年頃にはヨハネスブルグみたいになっているかもしれない。だけど、企業は日本と運命を共にする必要などない。(2011/04/07)

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いただいたコメント

変化は遅すぎるかもしれない。日本企業は愚かかもしれない。だけど、家電メーカーは変わることができた。東電や日本政府は震災や人災の後も変わらない。世界の競争を生き延びたメーカーには、ほどほどの未来が待っているかもしれない。迷走する日本国は、AD2100年頃にはヨハネスブルグみたいになっているかもしれない。だけど、企業は日本と運命を共にする必要などない。(2011/04/07)

 ここ中国でも、懐中電灯付携帯ですよ、ほとんどが。理由は、街灯がない、アパートのドアの前の明かりがない、あるいは壊れている、道に穴が開いている、あるいはマンホールが口を開けている、信号無しの道を渡る(夜目にわかるよう振り回す)等々です。 日本企業がやっと現地事情をくみ上げ始めた、と読みましたが、イエイエなかなか。この移動時期、1年強でやっと基盤を作り、やっと人脈も整え、やっと軌道に、のとたんの帰国命令。新しい担当と入れ替え。何すんねん、本社は!?中国ではまた一からやり直しに等しいことわからないのですね、と嘆く友人。 まだまだです、日本の企業は。社長以下、役員は一ヶ月でも中国人の中で暮らせばいい。スーパーや市場で元を握って買い物したらいい。TV会議ではわからず、日本人同士がつるんでいては見えないものが見えて、きっと役立ちます。(2011/04/06)

むしろ「機能省略」の発想に至るまでそこまでの時間がかかったことが不思議とすら言える。消費者が本当に欲しいものは何か、消費者はどういった状況でその製品を使うのかということを考えていれば、最初からそういった結論に至っていてしかるべきはず。結局のところ、ここ最近までの日本メーカーの担当者は「作れば売れる」時代の人間ばかりで、「どうやれば売れるか」ということにまで理解が及んでいなかったのだろう。幸いにして今社会の戦力になりつつある若年世代は、バブル崩壊後のデフレ時代を生きてきた世代であり、物は作れば売れるという物ではないと言うことをよく理解している。グローバル化が進み、ほぼ全世界が資本主義の波に乗った以上、もはや効率よく物を作ることが出来るのは先進国の特権ではない。今後は家電やそれ以上に先進的な分野においても新興国の企業との競争に直面することになるだろう。そのような時代に日本の企業が淘汰されないために、各企業の担当者たちには単に「性能の良い物を作る」ということだけでなく、「売れるものを作る」「作ったものを売る」という二つのことをゆめ忘れないで頂きたいものである。(2011/04/06)

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