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これからの「放射能」の話をしよう

今を生き延びるための科学常識

  • 伊東 乾

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[1/3ページ]

2011年4月5日(火)

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 今、お天気を例に考えましょう。

 科学的な天気予報を発表するには、専門的な知識や経験が必要です。でもその予報を見て、今日出かけるのに傘を持ってゆくべきか、暑くはないか、寒くはないかなどと、風邪などひかぬよう、自分の健康を守る判断を下すのは、私たち自身です。

 天気予報は専門家の仕事だとしても、その内容を理解することは、誰もに可能なことですし、また的確に理解できないと、出先で雨に濡れたりしかねません。

 放射線についても、これと同じことが言えると思うのです。

 2011年3月11日、突然日本を襲った東北・関東大震災によって、多くの尊い人命が失われ、膨大な被害が出ました。その中でも、福島第一原発で発生した冷却システムの停止事故によって、甚大な2次災害が発生しています。

 この原稿を書いている2011年4月1日の時点で、福島第一原発の冷却には年単位の時間がかかることがすでに予測されています。この状態に対抗してゆくためには、私たちも何年という単位での心構えや取り組みが必要になります。とりわけ一番大切なことは、関係機関の発表や報道によってもたらされる、基本的な情報を正確に理解することだと思います。

 この事故の収拾には早くて1年から3年、途中で予想外の事態が発生すれば、もっと長い時間がかかることがほぼ分かっています。事故直後の国内では「日本は強い国」「力を合わせればきっと大丈夫」といったテレビ・コマーシャルが流されています。確かに被災地を勇気づけることは大切ですが、具体的な内容を欠く掛け声だけでは、持ってまあ3カ月程度と思います。

 あまりに高度な緊張が続くと、みんなの神経が参ってしまうのが心配です。あるいは逆に、人のうわさも75日というように、状況自体に慣れてしまうことも懸念されます。油断した瞬間、より大きな3次災害が起きる危険性が最も高くなってしまう。とはいえ、ずっと気を張りつめていたままでは、そのストレスだけで身体がもたなくなってしまう。難しい状況です。

「正しく恐れる」ための放射線知識

 東大理学部物理学科教授で漱石門下の文人でもあった寺田寅彦は、昭和10年に起きた浅間山の噴火を描いた「小爆発二件」という随筆の中で、危険な対象をむやみに恐れることも、また安易に軽んじることも良くない、一番大切で、かつ難しいことは「正当にこわがることである」と述べています。。

 まさに、今言ったような状況を的確に指摘している名言だと思います。私自身も、生まれて初めて放射性物質を取り扱った際、このことを痛感したものでした。

 四半世紀ほど昔、東京大学理学部物理学科に在籍していた頃、3年後期の必修物理学実験で放射線実習がありました。なんでも、長岡半太郎先生がアンリ・ベクレルだかマリー・キュリーだかからいただいてきたという「線源」が、外側をまっ黄色に塗られた、直系50センチほどのパラフィンで出来た巨大な保護容器に入っています。

 「僕もこの実験指導して10年になりますけど、安全に注意すれば大丈夫ですよ、子供も生まれましたし(笑)」。そう言いながら、担当の坪野助教授が、黄色の上に不気味な赤い「放射性物質マーク」が描かれている保護容器のふたを開けました・・・。

コメント60件コメント/レビュー

こうした解説で欠落しているのは、生物濃縮について殆ど言及されていません。易しく平易に説明されるのでしたら、放射性物質が農薬と同じように、プランクトン、小魚、魚等と徐々に濃縮されていくプロセスを解説してもらいたい。(2011/04/12)

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いただいたコメント

こうした解説で欠落しているのは、生物濃縮について殆ど言及されていません。易しく平易に説明されるのでしたら、放射性物質が農薬と同じように、プランクトン、小魚、魚等と徐々に濃縮されていくプロセスを解説してもらいたい。(2011/04/12)

とても簡単な言葉で、正しい知識を得る大切さを説明した素晴らしいコラムだと思いました。天気予報の例はとても良いです。ただ一つ心配になったのは、インターネットでの情報収集です。核リテラシーを高めるための情報収集は結構ですが、信頼性のある情報源から情報を得ないことは問題でしょう。個人的なブログ(もちろん良質なものもありますが)や私企業などのサイトからの情報はかえって読む人を間違った方向へ導きます。日本人はこの辺が弱いと思います。だから、「○○ダイエット。2週間で10キロ痩せた!」というような、科学的根拠のないダイエットに皆飛びつくのです。情報にも質があること、そして信頼できる情報を探すことの重要性を多くの人が知るべきでしょう。(2011/04/10)

ある程度冷静に物事を把握したい、と考える時、客観的な立場で紹介してみましょう、という情報は貴重です(その方の視点に必ずしも賛成できないこともありますが、それでも参考にはなります)。ただ、そういうことをおっしゃる方の大半は、とんでもなく「上から視点」なんですよ。◆この記事もしかり。語り口の柔らかさとは別の次元で、教えてやろう臭が漂って来ると感じるのは気のせいとは思えない。こうした空気は敏感に察するし、その瞬間に果たしてこの情報は役に立つのか? と疑ってしまいます。そんな風に疑えることが、ある意味小市民として健全な自己防衛の本能かもしれません。◆「先生」と呼ばれる身分の方々のお話は基本的にそんなものですから、これはある程度やむを得ないと思います。ただ、せっかくの機会なので、それに見合うだけの内容のある記事を書いていただきたいと思います。その内容を信じるかアヤシイと感じるかは、私達が自由に考えればいいのですから。(2011/04/08)

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