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大震災の混乱の中から生成発展の芽を育め

野中郁次郎・一橋大学名誉教授が説く日本企業再創造の道筋(前編)

  • 野中 郁次郎,勝見 明

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2011年4月11日(月)

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 2011年3月11日に起きた東日本大震災。それからちょうど1カ月が過ぎた。巨大地震は大津波や原発の事故を誘発し、戦後最大の災害に発展。その結果、多くの日本企業の事業活動は、東日本にとどまらず全国にわたってストップしてしまった。生産停止の連鎖は縮小するどころか、さらに拡大する様相を見せている。

 「選択と集中」の名の下で進められた取引先の選別。本社機能の東京一極集中──。失われた20年の間に追求してきた効率経営が完全に裏目に出た格好だ。その反省に基づいて、企業は自らのあり方を再考しなければならない。

 大震災を転機として新たに創造し直すべき経営のモデルとは。企業で経営再創造の最前線に立つ実務家の取り組みや識者の論考を通して模索していく。

 初回に登場するのは、暗黙知と形式知の相互作用による知の創造プロセスをモデル化し、ナレッジマネジメント(知識経営)の世界的第一人者として知られる野中郁次郎・一橋大学名誉教授。同教授は、今回の大震災による社会的混乱の中から生成発展の芽を育むために、「全員経営」に立ち戻って創造力を磨き直せと説く。(取材構成は、勝見明=ジャーナリスト)

 日本の政治も、企業経営もこれまではどちらからいえば内向きで、内部競争に明け暮れていた。国家レベル、社会レベル、企業レベル、あらゆるレベルで組織能力が弱体化の傾向を見せていた。そんな中で起きた今回の東日本大震災を我々はどう受け止めるべきなのだろうか。

 万物流転は世の常であり、「諸行無常」とペシミスティックにとらえる人も多い。これに対し、幾度となく倒産の危機を克服した松下電器産業(現パナソニック)の創業者、松下幸之助は万物流転こそ「生成発展」の好機ととらえ、こう語った。

 「なあ、この世は無常と言うけれど、それは常ではないということやろ。(中略)宇宙全体、万物ことごとく常に動いておる。そこで、その動き方をどうみるか。衰退とみるか。発展とみるか、それは人間の自由ということになるわな。わしは生成発展であるとみるわけや。なぜなら、きみ、第一そう考えたほうが人間にとって幸せにつながるやないか。そういう理法のなかで生きておるとすれば、そこに人間の努力の意義も出てくるわな」(『経営秘伝 ある経営者から聞いた言葉』江口克彦著 PHP文庫より)

 この言葉は今の我々に向けて発せられているように思えてならない。大震災による社会的混乱の中から生成発展の芽を育てていく。とりわけ日本の企業経営にとって、革新的な再生の契機とする。それは創造力を取り戻す意味で「再創造」(リー・クリエーション)と呼ぶにふさわしい。

「再創造」の担い手はリーダーではない

 その再創造の担い手は誰なのか。ここで我々がもう一度、取り戻すべきなのは、日本の企業経営のDNAとも言うべき「全員経営」のあり方ではないだろうか。

 資本主義の本質をイノベーション(革新)による不断の発展過程ととらえた20世紀を代表する経済学者シュンペーターは、その担い手こそ既存構造の破壊と新たなシステムの創造(創造的破壊)を遂行する「企業者(アントレプレナー)」であると位置づけた。

 シュンペーターはイノベーションの遂行は困難な仕事であるため、「一人あるいは数人のものが成果をあげて先駆すれば、多くの困難は除去される」として、ごく少数の人間だけがリーダーシップをもって成功に至る展開を想定した。それは「乱世にはカリスマが生まれる」という歴史のならいとも重なる。

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