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震災後の経営革新にミドルを生かす

野中郁次郎・一橋大学名誉教授が説く日本企業再創造の道筋(後編)

  • 野中 郁次郎,勝見 明

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2011年4月12日(火)

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 2011年3月11日に起きた東日本大震災。巨大地震は大津波や原発事故を誘発し、戦後最大の災害に発展。その結果、多くの日本企業の事業活動は、東日本にとどまらず全国にわたってマヒしてしまった。

 これまで追求してきた効率経営の歯車が一気に逆回転し、さまざまな負の連鎖が広がった。その反省に基づいて、企業は自らのあり方を再考しなければならない。大震災を転機として新たに創造し直すべき経営のモデルとは。企業で経営再創造の最前線に立つ実務家の取り組みや識者の論考を通して模索していく。

 トップバッターとして登場した野中郁次郎・一橋大学名誉教授は前回、大震災による社会的混乱の中から生成発展の芽を育むために、「全員経営」を提唱した。今回は、全員経営により企業再創造を実現するためのプロデューサーとしてミドルの活用を提言。さらに、原発事故という失敗の生かし方や被災地の再生のあり方についても持論を語る。(取材構成は、勝見明=ジャーナリスト)

 大震災による社会的混乱の中から生成発展の芽を育てていく。とりわけ日本の企業経営にとって、革新的な再生の契機とする。この「再創造(リー・クリエーション)」と呼ぶべき取り組みを担うのは誰なのか。

 それは、一人のカリスマ的なリーダーではなく、一人ひとりの社員全員。「全員カリスマ」の経営こそが日本の企業経営のDNAであり、それを取り戻さなければならないと前回に指摘した。

 再創造にはイノベーティブな試みが必要になる。ただ、イノベーションは「さあ、これからやろう」と思い立って起こせるものではない。ましてや、論理分析的にイノベーションの方法が導かれることはない。論理分析からは非連続な発想は生まれないからだ。

 では、イノベーションはいかにして生まれるか。日々の仕事という凡事の連続が蓄積していく中で、ある時、非連続が生まれ、凡事が非凡化する。それがイノベーションにほかならない。

「守破離」のプロセスで凡事を非凡化する

 個別具体の現実は決して固定的ではなく、流動的で常に変化する。しかし、日々の凡事を積み重ねていなければ、変化への気づきは得られない。変化が一回性の出来事であっても、凡事の蓄積があるからこそ、その背後にある関係性を見抜き、普遍的な意味合いを読み取って、新しい文脈を生み出していく。

 これは日本独自の自己革新の方法論である「守破離」のプロセスと重なる。「守」は日々の基本(凡事)を模範通りに遂行する。「破」は基本から抜け出し、試行錯誤して自分らしさを発見していく。そして、「離」は基本(凡事)から脱し、全く新しい独自のものを創造し、生み出す(非凡化)。

 守破離は武道や茶道などの伝統から継承された概念だが、日本では企業活動においても、数々のイノベーションが守破離の自己革新プロセスから生まれている。全員経営により、企業経営の再創造を目指す時、一人ひとりが守破離で凡事を非凡化していくことが求められるのだ。

 一番難しい問題は、個別具体のミクロの現実の背後にある関係性を読み、マクロの大局に位置づけ、新しい文脈をビジネスモデルへと結びつけることだ。ここでミドルマネジメントの役割が重要になってくる。結論を先に言えば、実践知を磨く第3の条件として、ミドルはプロデューサーとしての能力を高めていかなければならない。

 プロデューサーというと、ある特定事業のリーダーをイメージしやすいが、そうではない。クローズされたサイロ(縦割り組織)を超え、より大きな関係性に目を向けて、社内外にオープンに人脈やネットワークを形成し、知を総動員して新しいビジネスモデルを生み出していくことのできる人材を言う。

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