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福島原発に命がけの放水、あの隊長が激白

原発危機と戦った消防隊の危機マネジメント

  • 大西 孝弘(日本経済新聞証券部)

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2011年4月15日(金)

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 4月10日に東京都知事選の4選を果たした石原慎太郎氏が、出馬表明後に最も感情的になった場面がある。福島第1原子力発電所で放水活動にあたった東京消防庁の活動報告会だ。「国運を左右する戦いに、生命を賭して頑張っていただいた」と涙ながらに消防隊員を労った。海外からも称賛の声が多く寄せられた。

 注目すべきは、勇猛果敢な姿だけではない。消防隊は冷静に現場を分析し、着実に任務を全うしている。消防隊の特徴は、臨機応援に現場の危機に対応していくこと。現場に裁量がある分、その責任は重い。ハイパーレスキュー隊の高山幸夫総括隊長に、福島第1原発の放水活動の様子とともに、現場の危機マネジメントのあり方を聞いた。

(聞き手、構成は大西孝弘=日本経済新聞証券部)

 3月19日、東京消防庁に属する139人の消防隊員が、福島第1原発を冷却するための放水活動にあたった。そのうち、第八消防方面本部のハイパーレスキュー隊32人を率いたのが、高山幸夫総括隊長だ。高山総括隊長の部隊は、海水を福島第1原発に放水する実行部隊だった。

 高山 福島第1原発では現場では今まで味わったことのない恐怖感を感じました。我々の出動する現場は、火災や交通事故など騒然としているところが多い。普通の現場では火災が強いところなどを確認して、自分たちで危険を排除して突入できますが、今回は危険な場所が目に見えない。放射能という見えない敵と戦わざるを得ませんでした。夜中で人っ子一人いなくて妙に静かで、不気味な現場でした。

焦る気持ちを抑え、落ち着いて

東京消防庁ハイパーレスキュー隊の高山幸夫総括隊長(写真:的野 弘路、以下同)

 事前に内部被曝の恐ろしさも知っていました。東海村JCO臨界事故で被曝した作業員の担当医師から、その症状を聞いたことがあります。はじめは何ともなかった作業員が、菌に抵抗できず口内炎だらけになっていって全身が蝕まれていく様子も事細かに知っていた。

 だから、今回の作業で最も難しかったのは、隊員の精神面をケアすることです。見えない敵を前に隊員が急いで作業をして、怒鳴り合う場面もありましたが、もし私が怒鳴ってしまったら部隊ががさらにザワザワしてしまう。内心は私も「早くしろ」と思っていましたが、あえてどっしり構えて、部隊を落ち着かせるようにしました。

 夜中の活動で見えないところもあったから、無線を通して落ち着いた口調で話すことを心がけました。今回とは逆に、隊員の動きが悪かった場合は隊長が活を入れる場合もあります。現場の様子次第で臨機応変に対応します。

 危機対応の現場では事前に明確な役割分担を決める一方、臨機応変に現場で対応していくことが求められる。現場外の上司の判断を求めていては、判断が遅れるからだ。最悪の場合、隊員の生命を失うことになりかねない。消防隊員は、それだけの緊張感を持って現場に出動している。

 高山 放水活動の役割分担はきっちり決めておきました。32人のうち15人が最前線の作業部隊。原発の正面から攻めて、放水車を立ててホースを伸ばす作業を担当。もう1つのハイパーレスキュー隊は、海側に出て海水を汲み上げる作業を担当しました。残りは前線部隊の放射線量が高くなった時に備えて、敷地外で待機させておきました。現場に来た以上、みんなが最前線に行きたがっていましたが、待機する人も含めて任務だと理解してもらいました。待っている方がつらいものですよ。

コメント28件コメント/レビュー

東京消防庁の放射能汚染の中での給水業務、規律ある行動で見事に目的を達せられたことに敬意を持ちます。 一方、原発の事故対策はこんご長期化するわけで、今の作業員だけでは体力・精神力的に持続できません。国民全体でのバックアップ体制を結成するべきではないでしょうか。もちろん、現場で何をしでかすかわからないようの人は施設内に入れるべきではありませんが。他の電力会社・自衛体・公務員・それにボランテアです。素人でも面接して役立ちそうな人なら、特別公務員に採用して事故処理事業の一部を短期間の教育後に現場に従事してもらうということです。指揮系統は今の系統で一本化します。もちろん被爆による健康障害は国が面倒をみるということです。もう日本の土地を一部失うのか、半分失うのか、全部失なうのか、という事態です。(2011/04/21)

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東京消防庁の放射能汚染の中での給水業務、規律ある行動で見事に目的を達せられたことに敬意を持ちます。 一方、原発の事故対策はこんご長期化するわけで、今の作業員だけでは体力・精神力的に持続できません。国民全体でのバックアップ体制を結成するべきではないでしょうか。もちろん、現場で何をしでかすかわからないようの人は施設内に入れるべきではありませんが。他の電力会社・自衛体・公務員・それにボランテアです。素人でも面接して役立ちそうな人なら、特別公務員に採用して事故処理事業の一部を短期間の教育後に現場に従事してもらうということです。指揮系統は今の系統で一本化します。もちろん被爆による健康障害は国が面倒をみるということです。もう日本の土地を一部失うのか、半分失うのか、全部失なうのか、という事態です。(2011/04/21)

誤解を広げる可能性のあるコメントを見つけたので指摘しておきます▼防護服は放射性物質の塵埃を防ぐ防護服。晩発障害に強く影響すると考えられている内部被曝を防ぐ為のもの。放射線そのものを万全に防ぐには"施設"が必要になり、携行できるものはまだ無いと記憶している。宇宙服は放射線対策をあまりされていない。▼遠隔操作等の自動制御装置は放射線によりデバイスやチップに使われるシリコン等の材料が劣化する為基本的に使用できない▼科学技術によって多くの危険作業は危険作業では無くなりました。危険でなくなった作業はあまり衆目に晒されなくなります。逆に現在の道具でも危険な作業だからクローズアップされているのです。科学技術は万能ではなく、物理法則と経済の拘束下にあります。その為に対応できないものが危険作業として残っているのです。(2011/04/19)

>更に高山さんの素晴らしさは、最後にきちんと東電の現場社員の仕事を正しく評価していることですね。そのとおりですね。評価するべきは評価し、戒めるべきは戒める。これが上司部下の信頼関係の基本です。あたり前のことですが、これを正しく行うには相当な経験と知識が必要です。やはり現場の最前線を経験された方であるからこそなしえることだと、改めて考えさせられました。(2011/04/19)

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