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震災で進む業界再編、M&Aの新たな展開

考えておくべき4つのポイント

2011年4月15日(金)

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 今回の震災の影響は、言うまでもなく実に多岐にわたる。その中で、見落としてはいけないものの1つに、企業同士の協力のあり方の変化がある。その進展、そしてそれに対する経営者の姿勢によっては、今後の業界再編やM&A(合併・買収)の動向に大きなインパクトがあると考えられるからだ。

 まず、第1に見ておくべきは、企業がバリューチェーンのさまざまな分野で、協力、提携することで、震災の影響を軽減していこう、復旧を早めよう、とする流れだ。

 震災後の復旧に向けて、さまざまな企業の間で助け合いが猛烈な勢いで起きている。物流協力、素材や完成品の融通などなど。まずはメーカー間での生産回復のための協力が議論され、一部ではすでに実行に移され始めた。

 さらに、包材・容器不足への対応に向けた協力が続いた。例えば、清涼飲料水メーカーによるペットボトルのキャップ共通化、といった動きである。これまで各社が意匠に凝り、数百種類も存在していたというキャップを統一することで、生産できる量が拡大するとされている。もちろん、コストも一定程度下がるだろう。

電力不足が企業間協力に拍車をかける

 第2のポイントは、この夏のピークに向けての東日本の電力需給対策、そして、その結果として起こり得る企業間協力の拡大だ。

 日本経済新聞の4月9日付け朝刊の報道によれば、政府としては、異業種連携も含めた複数企業合算での大口需要抑制策も検討していくとされている。経済産業省のリリースの表現を借りれば、「同業・異業の複数事業者が共同して需要抑制を行うことも可能とするスキームの導入を検討」するということだ。

 具体策は今月末をメドに検討していくとのことだが、「同業のA社とB社が、工場の稼動日を調整」というレベルから、「A社、B社が重複して生産している製品について、より効率的に生産できる方に(たいていはシェアの高い方に)片寄せして生産する、相互生産委託」というレベルまで、さまざまなオプションが出てくるだろう。

 おそらくは、こういった企業間協力について、独占禁止法上もかなり弾力的な運用がなされるのではないかと思われる。

 震災直後の緊急対応にとどまらず、今年の夏に向けて、場合によっては来年のピーク対応にも向けて、さらに企業間でさまざまな協力が議論されていくことの意味は大きい。

 振り返ってみると、ご破算になったキリンとサントリーの経営統合についても、サプライチェーンでの協力関係の進展がベースにあったのではないだろうか。両社は主にCO2 排出量の削減という観点から、「段ボールや缶のふたといった原材料の共同調達」、「一部地域での物流拠点統合」などを粛々と進めていた。それが相互信頼の醸成につながり、統合議論の推進に寄与した可能性も否定できない。

 完全な企業統合はM&Aという形態となり、あくまでトップ主導で議論が進められるが、その際、両企業のいろいろなレベルで「文化や組織風土の違い」といったソフト面での不安感が、必ずといっていいほど高まることになる。

 しかし、今回の震災対応のように物流、調達、生産といった現場部門同士で、「共通目標に向かって、共に汗をかく」というプロセスから始まる協力関係は、双方の社内での相手方の理解と相互信頼の醸成につながりやすい。

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「震災で進む業界再編、M&Aの新たな展開」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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