• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

日本製品でインド人を救う!

飲料水で亡くなる40万人の子供のために

  • 中村 真司

バックナンバー

2011年4月20日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 なぜ、日本企業はインド市場で失敗を繰り返すのか。前回から始まったこの連載で、その真因と処方箋を考えていきたい。

 前回は、インドの不安定な電力事情を、いかに家電製品の開発に結びつけるか、成功事例や失敗事例を用いて見てきた。そこからは、価値と価格のバランスが取れた製品の重要性が浮かんできた。

 そこで、今回は、インドの農村部の厳しい現実をルポで描きながら、日本企業がどのような製品を開発していくべきかを考えていきたい。

 ムンバイからクルマで2時間、郊外の農村トゥプガオン村。前回も電力の不安定な様をこの村からリポートしたが、今回は食事などの家庭生活の衛生面にスポットを当ててみたい。

 そこで、米作農家のJ.G.Guruさんに、家のキッチンを見せてもらった。実は、この村では、5年ほど前まで、全家庭が木材を燃やして調理をしていたという(写真左)。ところが、最近では木材不足によって、伝統的な調理ができなくなった。そこで、Guruさん一家は、仕方なくガスで調理をするキッチンへと変えた(写真右)。

画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示

 日本人から見れば、ガスの方が調理は楽だし、衛生的でいいと考えてしまう。ところが、インドの農村には、まったく違う価値観がある。Guruさんによると、「食事は木を燃やして調理した方が美味しい。だから、本当は今までのように釜で調理したい。そもそも、ガスは料金が高い」という。

 屋内で木を燃やして料理すれば、衛生面で問題があることは、多くの日本人なら容易に想像がつく。事実、インドの調査機関NCAERによると、インドの農村地帯では毎年40万人が、煤煙などを原因とする室内における健康被害で死亡しているという。

 衛生面で効果がある一般消費財がなかなか普及しない現実がある。最近では、インド最大手の消費財メーカー、ヒンダスタン・ユニリーバなどが徐々に国民の間に浸透させてはいるが、まだ十分とは言えない。例えば石鹸は、普及率こそようやく100%に近づいてきたが、1人当たり使用量は世界で最も少ない国の1つだと言われている。まず、インドの農村部に、健康問題に関する知識を教育する活動が必要で、それが市場創造の第一歩だろう。

 実際の製品を通じて、そうした市場創造への動きが始まろうとしている。

 オランダに本拠を構える大手電機メーカーのフィリップスは、バッテリーチャージが可能なランタンや、太陽電池を電力源とするランタンを開発・販売している。実は、これまで販売されてきたケロシンやオイルを使用するランタンでは、煤煙による健康被害の問題があることが1つの理由になっている。そのフィリップスは、室内で木材を燃やして調理する家庭の健康被害を低減するため、調理用の電気ストーブをインド市場に投入することを計画している。

 水の問題も深刻だ。取材した農村では、村民はみな親切で、水や茶を勧めてくれる。だが、通訳のKumarさんからは、「体調を崩す可能性が高い」として、飲まないように忠告された。ユニセフは、インドでは毎年40万人の5歳以下の子供たちが、飲料水で感染した病気によって死亡していると推定している。中東やアフリカ諸国と同様に、インドでも安価で高性能な浄水器のニーズは高いと見られる。

 そこに、超低価格自動車「Nano」で有名なTataグループが目を付けた。2009年に「Swach」と名付けた浄水器を発売。500ルピー(約900円)から1000ルピー(約1800円)という価格設定で、電気を必要としない技術を使っている。Swachはヒンディ語で「きれい」という意味だ。Tataグループの研究開発を担うTata Research Development and Design Centreが中心となりTata Chemicalsなど関係会社が協力して事業を展開している。

コメント1

「インド進出 挫折の本質」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授