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森の思想が人類を救う

日本固有の「平等と循環」の考え方が復興の支えになる

2011年4月20日(水)

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 このタイトルは、哲学者の梅原猛さんが1990年当時お考えになっていたことです。本にもなっていますが、残念ながら絶版。しかし、この本にはこれからの日本が目指すべきこと、これからの日本に必要なことが簡潔に示されています。感動しました。

 被災の爪痕は依然として深く、また、原発への不安は日を追うごとに大きくなっている。そんな状況でも、被災された方たちは復興を強く希求しています。この後はどうなるのか、いつめどが立つのか。この思いに答えるビジョンは、いまのところほとんど示されていません。

 テレビや新聞・雑誌、ネットでは、いろんな識者が様々な復興の姿を論じていますが、それすら政府・行政に届いているのやら、全く見当がつかない状況です。

 梅原さんの考えも、その1つかもしれません。しかし、そこには日本人のあるべき姿、いやあったはずの姿がありました。それは、近代文明をエンジンとして発達してきた人間中心主義と相反する考え方かもしれません。100%昔には戻れないことはわかっていても、どうすれば、その考えに適応できるかを試してみたいと思いました。

 梅原さんの行き着いた答えは、日本文化の精神的特徴です。それは、すべての生命は平等であるということと、生命は循環するということ。この2つです。

日本の考える「平等」は欧米から入ってきたデモクラシーの影響だけではない

 すべての生命は平等であるということ。常識的には当然のことですが、梅原さんが言うには「日本の平等は戦後あるいは明治以後に、欧米から入ってきたデモクラシーの影響だけではない」と。

 それは遠くさかのぼり、縄文文化にすでにそのような平等への強い志向があり、さらに仏教の思想の影響によって堅固なものになったと分析しています。

 では、縄文文化とはどんなものなのか。ここ20~30年の研究の成果によって、多くの人類学者は縄文こそが日本人の精神基盤となる古層の文化であることを表明しています。

 最も特徴的なものは、約1万年も続いたにもかかわらず、縄文時代には明確な階級意識や国家意識が生まれなかったこと。貧富の差は生じても、それを階級としなかったということです。

マタギの世界に残っている思想

 その痕跡が、いまはもう姿を消しつつある「マタギ」にありました。狩猟採集生活をしていた縄文人は、熊狩りの時は熊狩りの得意な人がリーダー。猪狩りの時も同様。しかし、平時はまた別な人。そうやって得意な人が先頭に立って物事を進めていたようです。そのやり方が、マタギの世界には残っている。そして、捕った獲物は老人や女性、子どもにも平等に分け与えられていた。

 まさしく、平等の原則。いや、それ以上かもしれません。1人ひとりを、ちゃんと認めていた社会ですから。これだけでも、いまの日本は変わってしまったと感じてしまいます。

 では、なぜ縄文人はそういう平等の思想を持ったのか。それこそが、梅原さんの本のタイトルにもある「森の思想」。縄文時代は、いま以上に列島が森に覆われていました。狩猟採集生活にはもってこいの環境。いまより約5度ほど気温が高かったと言われますから、森は恵みの宝庫だったわけです。動物、木の実、鮭等の魚など豊かな自然からの贈与にあふれていました。

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「森の思想が人類を救う」の著者

関橋 英作

関橋 英作(せきはし・えいさく)

マーケッター

外資系広告代理店JWTでコピーライターから副社長までを歴任。ハーゲンダッツ、キットカット、デビアス・ダイヤモンド、NOVA英会話学校など、数多くのブランドを担当、成功に導く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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