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脳も停電する。思考も緊急停止するものだ。

2011年4月27日(水)

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 2011年3月11日の東日本大震災は、日本と日本人にとって大きなダメージを受けた。とりわけ、被災された地域の住民や企業は、深刻である。地域や経済はこれからどうなるのか、生活やビジネスはどれだけ影響をうけるのか、予測もつかないだろう。今、とてつもない不安に苛まれているのではないだろうか。

 私たちは、これまで幾度となく自然災害を経験し、なんとか乗り越えてきている。その度に技術力、結束力を発揮し、経験と知識を活かしてきた。今回の大震災も、きっと乗り越えることが出来るに違いない。私たちは、今なおそのための努力を日夜しているのだ。

 しかし、そんな程度でいいのだろうか。乗り越えることで、私たちの不安は解消されるのだろうか。乗り越えた後の地域は、日本は、それでいいのだろうか。何かが足りなくはないか、どこかを変えなければならないのではないか。

 筆者は20年以上にわたり、社会づくりのためのコンサルタントをしてきた。公共事業や民間事業、政府や企業や個人に対して、ファンクショナル・アプローチをつかって障害を乗り越えるお手伝いをしてきた。先入観や固定観念にとらわれない未来を創造してきた。

 いまこそ、そのスキルを日本のために使いたい。国・地方自治体、企業、個人にいたるまで、日本再生に向けて、戮力協心のときが来た。この連載を通して、様々な角度から、論じてみたい。

 私たちは、どんな場合でも冷静でありたい。すべての状況を想定しておき、準備しておきたいものだ。果たして、どこまで想定できるだろうか。どこまで準備しておけるものだろうか。それは、私たちがどこまで自然の挙動、人の挙動を理解しているかどうかに関わってくるように思う。

 今の私たちには、忘れずに想定しておかなければならないことがある。“想定できないことが発生する”ことの想定だ。それが、企業の活動、システムの設計思想に取り込んでいるかどうかだ。今回は、ものづくりの技術で言われているフォールト・トレランスから話を始めたいと思う。

経営のフェイル・セーフ、経営のフール・プルーフとは

 フェイル・セーフやフール・プルーフと言う言葉は、ご存知だろうか。フェイル・セーフとは、何かの作業に失敗したとき、装置自体が故障したとき、安全側へ回避させる設計上の概念である。例えば、踏切の遮断機では停電時に自動的に閉じるようになっていたり、交差点の信号機では故障すると全て赤になったりするのがそうだ。

 一方、フール・プルーフとは、操作に熟していなかったり、訓練していなかったりする人が、誤った操作をしたとしても、直ちに作動しないようにする設計上の概念である。例えば、パソコンでは削除ボタンをクリックしたときに確認ボタンが出てきたり、車ではブレーキペダルを踏まないとエンジンを掛けられなかったりするのがそうだ。

 これらは、フォールト・トレランスという設計上の思想であり、失敗、障害、誤操作などが起きることを見越して、全体としての機能を失わないように、被害を最小限に留めるようにする配慮である。ものづくり、ソフトウェアなどの世界では当たり前のことである。

 では、企業はどうだろうか。企業として全体のコントロールを失った時、組織、個人という単体が安全側へ自ら行動したり、被害最小へ自ら対応したりするようになっているだろうか。正常時を前提とした官僚制の下、全組織を集約コントロールしている企業は、災害時にとても脆弱なものである。

ルールとモラル

 ルールとモラルは、似て非なるものである。ルールは、個々の行動を制限するために設けられているものである。この制限は、企業が活動するうえで必要な効率上、あるいは管理上の観点から設定されるものである。そのため、行動の下限を規定したり、行動の上限を規定したりしている。個人や組織は、その範囲内で行動するのである。

 だから、企業には様々なルールが存在する。そして、ルールを教え、ルールを守らせ、ルールに従っているかどうかを管理するようになる。その結果、ルール内に収まることに注意が払われ、ルールに依存し、ルールに囚われるようになってしまう。

 しかし、ルールは全ての状況を想定しているものではない。不測の状況というものもある。そういう時、ルールに依存していると混乱が生じる。どのように行動していいのか自ら判断できなくなるのだ。そういう社員はどうなるかというと、思考と行動が停止し、上からの指示を待たなければならなくなる。これをフール・プルーフと言うのだろうか。

 そういう時のために、モラルと言うものが大切になる。企業としてのモラル、人としてのモラルである。モラルがしっかりしていれば、臨機の対応が可能になる。自ら判断して、自ら行動できる。最悪の事態を避けることができるのである。

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「脳も停電する。思考も緊急停止するものだ。」の著者

横田 尚哉

横田 尚哉(よこた・ひさや)

ファンクショナル・アプローチ研究所

顧客サービスを最大化させる経営改善コンサルタント。米GEの価値工学に基づく改善手法を取り入れ10年間で総額1兆円の公共事業改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させる。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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