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マイケル・サンデル教授も称賛した日本の「助け合い」精神

共同体意識という強みと、その先にある課題

  • 武田 斉紀

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2011年4月25日(月)

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サンデル教授も、世界も称賛した日本人の特性

 今回の東日本大震災後の日本人の行動に、世界から驚きと称賛が寄せられているのは、みなさんもご存じの通りだ。

 NHKは4月16日、『これからの「正義」の話をしよう ~JUSTICE』や『ハーバード白熱教室』で有名なマイケル・サンデル米ハーバード大学教授による特別講義『大震災 私たちはどう生きるのか』を放送した(タイトルは当日放送されたもの)。教授は、人間の倫理や哲学的な課題について、究極の選択を用意して議論を深めていく講義で知られる。サンデルさんは「日本が今直面している試練は、外国にとって決して人ごとではなく世界全体の問題なのだ」ととらえ、テレビでの特別講義を組んだという。

 講義の大きなテーマの1つが、震災後の日本人の行動についてだった。サンデルさん自身も、「あれだけの震災に遭いながらパニックも起こさず、(2005年に米国南部を襲った)ハリケーン・カトリーナの時に見られた強盗も便乗値上げもなかったことは驚きだった」と繰り返した。また「(原発問題では命懸けで取り組むという)信じられない自己犠牲もあった。この際立った公共性、秩序、そして冷静さ。略奪や便乗値上げなど考えもしないコミュニティーへの連帯意識があった」と称賛した。

 実際、被災地では避難した家やコンビニを対象にいくつかの強盗事件が起きていることを我々は知っている。海外のメディアも知らないわけではないが、その規模は彼らの予想をはるかに下回っていたようだ。

 米ニューヨークタイムズ紙は、「日本の混乱の中 避難所に秩序と礼節」と題する記事(3月26日)の中で、「混乱の中での秩序と礼節、悲劇に直面しても冷静さと自己犠牲の気持ちを失わない、静かな勇敢さ、これらはまるで日本人の国民性に織り込まれている特性のようだ」と評した。

 番組はネット中継によって、教授の部屋と米国、中国、日本の学生(日本は40、50代の有名人ゲストコメンテーター数人も参加)を結び、国や文化の違いを超えた議論を進めていった。

 米国のある学生は「カトリーナの時は正反対の状況で、避難者が移った先でさえも便乗値上げが起こった。日本人は略奪をしない、間違ったことはしないという秩序立った精神、責任感といったものが人々の間で共有されている。日本という国全体がそう思っているように見えた。本当に感心し、驚いたし、何だか希望のようなものを感じた」と発言した。別の学生は「同じ人間として誇りに思った」と。

 中国のある学生も「お店には商品が残っていて、みんなが買い占めに走るようなことがなかった(中国では原発問題で、10年分の塩を買い占めた人までいたと言われる)。ペットボトルの水は1人3本までといったルールが決められ、みんながそれを守り、無理やり手に入れようとする人はいなかった」と、やはり驚きをもって伝えた。

 これに対して、作家の石田衣良さんが「こういう災害が起きるとそれぞれの国の地(じ)の部分が表に出る」「暴動が起きないことを世界が奇跡だというが、日本では全く当たり前」と返した。仙台市出身のミュージシャンの高橋ジョージさんも、「被災地に行っていろいろな人に声をかけたが、みんな必ず言うのは、“私たちはまだ生きているからいい。もっと悲しい人たちがいるからそっちを助けてあげてください”と」。

 私も石田さんの意見に同感だ。日本人は「助け合うのが当たり前」という感覚を共有している。そう、世界の反応に驚いているのは、むしろ私たち日本人の方だろう。私たちは正直言って、称賛されることに戸惑っている。そして高橋さんが指摘していたように「東北の人は寒い地域だけに我慢強く、助け合う気持ちが強い」のだろうが、東北に限定されたことではない。日本人は地域によらず、みなそうした特性と気持ちを持っているのだと思う。

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