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求む!東北版「グラミン銀行」

生活資金、運転資金、当座のカネを送るファンドがあれば…

  • 伊藤 暢人(日経ビジネスオンライン 副編集長)

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2011年4月25日(月)

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 被災地では復興作業が続いている。ところが、経済活動が事実上ストップしているため、営業拠点が残っている小売業などでも人員削減などの動きが出始めている。そうした中で、現地は被災地以外の企業にどんな支援を求めているのか。今回の津波をしのぎ、翌日からずっと新聞を発行し続けている岩手県大船渡市の地元紙「東海新報」(企業名は、東海新報社)の社長、鈴木英彦氏に現地に密着したメディアとしての意見を聞いた。
 今回の内容はボランティア論からは少し外れますが、意義深いと判断したため掲載します。

――大船渡市は市の中心部の大半が被災しました。津波発生から1カ月あまりが経ちましたが、まだ瓦礫が残っています。これからどんな対策が必要でしょうか。

 まず、瓦礫の撤去を急いで欲しい。市の中心部が更地になれば、市民の皆さんの復興意欲は一気に燃え盛ってくると思います。ただ、これだけ大量の瓦礫を個人や市の力で撤去するのは難しい。国からの支援が必要です。

東海新報社の鈴木英彦社長

 今はこういう状態だから呆然としている人も多い。だが、市内の店や会社から事業再開のお知らせが新聞に出るようになりました。皆さんには、復興にかける並々ならぬ思いがあるんです。
 大災害に遭うと、逆に人間に燃えてくるものです。我々も、本社は直接被災はしていないものの、部数の減少に直面しています。それでも、普段よりも何倍も張り切っているぐらいですから。

 ある意味では、今後、この大船渡市がどういう街に変わっていくのかが楽しみですね。高度が低く海岸から近い地区は公園や農園などにして、津波に強い街を作るべきでしょう。となると、低い地域にある住宅を、高いところに移すための仕組みが必要になります。

 これまで大船渡は何度か津波に襲われてきました。1960年のチリ地震津波では、当社の本社はまだ低い地域にあったので被災してしまいました。それをきっかけに高台に移転し、今回は津波の直接の被害を受けることはありませんでした。

 実は、当時、市民同士で高いところに移ろうと話したものでした。だが、実際には土地が手当てできなかったり、資金が確保できなかったりして、同じ場所に家を建てざるを得なくなりました。時間がたつと人間は災害のことを忘れてしまうものです。今回、国が財政出動して住居の移転を進めなければ、いずれまた元に戻ってしまうでしょう。

画像のクリックで拡大表示

――被災地以外の企業がボランティアなどを送り出して支援しようとする動きが始まりました。実際に、大船渡市ではどのような支援が必要でしょうか。

 今、本当に必要なのは、まずカネなんです。企業で言えば、運転資金、個人で言えば、生活資金が足りません。

 ここでは経済活動がほぼストップしています。地元で店舗が残っている中堅スーパーなどでも、売り上げダウンのために人員削減を始めました。自宅待機という言い方をしているようですが。会社は事業が立ち行かなくなりつつあって、運転資金の確保にも苦労しています。返済の猶予などを金融機関と交渉しようにも、肝心の支店が被災して流されているという状況なのです。

 農業や漁業関係者は、事業を再開するための資金が不足しています。船を買ったり、養殖の準備をしたりするにも資金が必要ですが、それがない。
 将来の収穫や売り上げを担保にして資金を貸し出すような基金を、被災地以外の企業には作ってほしい。予約金に近い考え方でもありますが、そうして資金を供給してくれれば、地元経済の復興が早まります。このスキームは、一般の企業にも使えるはずです。

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