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「節電しか方法がない」のではあまりに悲しくないでしょうか?

周波数の違いを乗り超えて関東に電気を送るには(その2)

  • 山口 栄一

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2011年4月26日(火)

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 電力クライシスによる関東のハイテク産業の壊死もしくは国外脱出を何とか避けるために、私は、3月30日付けの本欄でその危機の重大さを訴え、それを回避するためにはどうすればよいか、その議論のたたき台を提示した。すなわち、中部電力側から西日本の60Hzの電力を60Hzのまま、関東に向けて供給するという方法だ。

周波数の違いを乗り超える新しい方法

 この時、東京電力の高圧鉄塔と高圧送電線の1系統をレンタル使用することをまずは仮定した。だが、残念ながらこの方法では、60Hz高圧変電所などを50Hz系とは別に新設せざるを得ず、その新設には3年から4年かかる可能性がある。また、60Hzと50Hzの高圧送電線が相乗りすれば、電磁誘導による不具合が生ずる可能性があるという問題も浮上した。

 そこで、このテクニカルな問題点を乗り超えるために、より現実的なアイデアを考えてみた。

 60Hzの高圧送電線を延ばしていくのではなく60Hzの22kV配電線を、中部電力に隣接する静岡県東部・山梨県・群馬県および埼玉県に順次伸ばしていく、という方法だ。日本では、大口需要者向けには22kVで配電され、6600Vの中間電圧を介さずに100V/200Vが供給されている。22kVという高圧で送れば、電力損失が少ないので県全体に電力をいきわたらせることができるのではないだろうか。

 しかも、22kVの配電線は被覆線であって一般には地下ケーブルだから、新電力会社の60Hz配電網を東京電力の50Hz配電網と相乗りさせることは、技術的に問題ない。以下、この新しい方法について具体的に説明しよう。

今夏、少なくても800万kWの電力が足りない

 前回示したように、東京電力の発電能力の概略は下図の通り。

出所:佐藤安弘(同志社大学大学院生・技術革新的経営専攻)の試算に基いて筆者作成
画像のクリックで拡大表示

 この図から分かるように、2011年夏における東京電力の最大供給力は、揚水発電が使えない場合4609万kW、揚水発電が使える場合5209万kWと試算できる。一方、東京電力管内における電力のピーク需要は、過去5年の最大値で6147万kW(注1)。従って1538万kW(揚水発電が使えない場合)もしくは938万kW(揚水発電が使える場合)足りない。

(注1:電気事業連合会「電力統計情報」より引用。なお、この最大値は2007年の値。ちなみに東京電力の推定値である5500万kW は、2009年値。国の推定値である6000万kWは、2008年値に等しい)

 そこで、他電力会社から融通できないかを考えてみる。図に、日本の8電力会社間の最大融通電力(連系送電系統定格容量、2004年、注2)および各電力会社の最大供給力と供給予備力(各電力会社の有価証券報告書より引用)を示した。この図から分かるように、東京電力が中部電力から融通してもらえる最大電力量は100万kWにすぎず、これを加味してもまだ今夏のピーク需要時に1438万kW(揚水発電が使えない場合)もしくは838万kW(揚水発電が使える場合)足りない。

 しかも一般に周波数変換所を増設するには3年から4年かかると言われており、今から増設を計画しても全く間に合わない。そもそもスマートグリッド社会の構築に逆行するとともに周波数変換は電力損失が著しいので、極めて無駄な投資となる。

(注2:戒能 一成「日本の地域間連系送電網の経済的分析」RIETI-Discussion Paper 05-J-033(2005)より引用)

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