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電力不足や原発事故など長期的な影響を盛り込む

大震災で再構築を迫られるBCP(下)

  • 古屋 俊輔

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2011年4月27日(水)

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 前回は事業継承計画(BCP)の重要性と前提条件の変化についてまとめた。それを受けて、今回は電力不足など長期化する影響を盛り込んだBCPの意義などについて三菱総合研究所でBCPを担当する古屋俊輔主席研究員に解説してもらう。

 これまで、日本に於ける事業継続計画(BCP)は大きく以下の4つの事態を想定していました。
 (1)生産拠点の火災や大規模なシステム障害などの内的事象(2)首都直下や東海・東南海地震、巨大台風などの自然災害(3)新型インフルエンザ等の感染症(4)テロや原子力災害などによるカタストロフィックな事象です。

 (1)の内的事象は自社に起因する広義の事故対応、(2)の自然災害は、外的要因により設備に及ぼす事象、逆に(3)の新型インフルエンザ等の感染症は、先の2つの事象とは異なり、物理的な被害を生じず人的資源のみが消耗していく事態を想定しています。およそ、企業の事業継続上の脅威として想定すべき事態はこれらの組合せで網羅できると考えられていました。(4)のテロや原子力災害を想定していたのは一部のインフラ企業と政府機関に限られるはずです。

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 どこまでを想定し、どこからを「想定外」とするのかは、永遠の課題です。これまでも「隕石が落ちてきたら」というような、発生確率が極めて低く、また企業で対応するのが難しいような事象は対象としてきませんでした。「ほとんど起こりえず、起こった場合に対処できない事態を想定しても仕方がない」と考えるのは、一定の合理性があったと言えるかも知れません。ですが、これを逆手に、自社が対応できる範囲から逆算して想定脅威を設定しているとみられるケースも見受けられました。

他国で起きたことは自国でも起こりえるという前提に

 米国や英国では全く逆の意識づけがされています。チェルノブイリ原発事故や日本の地下鉄サリン事故、世界を巻き込んだ2000年問題などの事例に基づき「他国で起こりえることは自国でもあり得る」との考えの基にBCPの整備が進められてきました。

 そして、9.11のテロにおいてはBCPが有効に機能した企業とそうでない企業の明暗が分かれました。9.11後には「Fortune500」に載っているような米国を代表する企業で、包括的なBCPを備えていないところは皆無のはずです。それでは株主に説明できません。

 BCPの導入は、起こりえる事態を想定し、そうなった場合の自社の弱点はどこかを洗い出し、改善を進めるところから始まります。既に起こった事態は、また起こりえると考えるべきでしょう。

 今回、東北地方沖のプレートではマグニチュード9.0という巨大なエネルギーが解放されました。同じ震源に再び同程度のエネルギーが蓄積され、それが再び放たれるには相当の期間がかかると思われます。しかし、東北地方の内陸部にはまだ多くの活断層があり、南関東や東海・東南海には東北地方で動いたのとは異なる海溝型の震源があります。1000年に1度の事態も、発生源が多数あれば、トータルの発生頻度は無視できないものとなります。原子力発電所についても同様の議論がなされるでしょう。

 BCPは継続的に見直され、改善されていくべきものであり、終わりはありません。ただ、1つのマイルストーンは、想定シナリオに沿った意思決定の訓練になります。BCPの導入とは、紙のマニュアルを作れば終わるのではありません。変化する状況に応じて、経営幹部が、適切な判断を下す訓練を行う必要があります。まれにしか経験できない事態は、模擬的な経験の場を用意することでしかスキルを獲得できないからです。

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