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ボランティア組織に「マネジメント」は必要か?

2011年4月28日(木)

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 集まった物資は圧倒的に衣類が多かった。やはり供出しやすいのであろう。ここで難しい意思決定を迫られる事態が発生した。多くは洗濯済みで丁寧に折りたたまれて梱包されているのだが、中には「送ってよいのだろうか」と思われるものが混じっていた。擦り切れたズボン、黄ばんで雑菌臭のするタオルもあった。申し訳ないと思ったが「何でもよいわけではない」と自分に言い聞かせ、それらの物品は取り除いてもらった。

 仕分け作業は、集まってくれたボランティアの方々が、男女別・種類別に黙々と分類作業を進めた。多くの人が、物資協力だけでなく、仕分けのボランティアとしても参加してくれていた。その数はプロジェクトの期間中、延べ340人以上に達した。子供服はサイズごとにまとめる必要があり、最も手間がかかる作業だった。ほかの物資支援プロジェクトが衣類を受け付けていない理由がよく分かった。

必要なものと集まるものには“時差”がある

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 物資が集まる中、東北道の通行止めが解除されて、徐々にではあるが現地に衣類が届き始めているとの情報が入ってきた。そこで私たちは衣類について「肌着・靴下の未使用品のみ」との基本方針を立て、集まりが良くない食糧品と生活用品の優先順位を上げて、再告知することにした。余震と放射能被害への懸念から、食糧や水などの基本的な生活物資を買いだめする動きが湘南でも起こっていた。

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 物資を収集する過程で、我々がジレンマに陥ったのは言うまでもない。初回の案内を見て、衣類を準備してお越しになる方が続いた。こうした申し出は、なかなかお断りできないのが人情である。しかし、告知内容の変更が周知されるのに2~3日のタイムラグが発生する。このため、衣類の山ができる状態となった。

 幸いなことにこの問題は、物資受入先の一つから「次の冬を見越して衣類を受け付ける」との情報が入り、無事に収束した。

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 救援物資の受入れ先でも課題があった。現地の状況を把握するのが困難なのだ。前述したように、陸前高田市の戸羽氏に、行政や避難所・被災された方々の情報を提供していただいたり、現地の諸機関との調整をとったりしていただいた。戸羽氏は「目の前の課題に対処するのが精一杯で先のことを考える余裕がなかった」と振り返る。

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 震災直後の混乱の中で、限られた情報の中から本来的なニーズを窺い知ることは難しかった。このため「このような物は必要ありませんか」とこちらから問いかける場合もあった。

 筆者は、3月30日に政経塾を出発した第1便とともに現地入りした際に、こんな光景を目にした--物資を受け入れる側は十分なスペースを持っているとは限らない、新たな物資が到着した時点で現地の需要と一致するとも限らない。

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 実際、当座の必要数が足りて滞留した物資が場所を奪ってしまい、新しく到着した物資を泣く泣く断るケースがあった。他の避難所などへ回送できればよいのだが、それが難しいケースもあるという。


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「ボランティア組織に「マネジメント」は必要か?」の著者

西田一平太

西田一平太(にしだ・いっぺいた)

東京財団研究員兼政策プロデューサー

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士(開発学)。民間企業勤務後、南スーダンなど紛争国での人道援助に従事。内閣府PKO局研究員等を経て、2011年より現職。安全保障と対外援助のリンクに関心がある。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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