• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

episode:R3「日本中の人がみんな心に傷を負っているんだと思うんです。」

  • 阿川 大樹

バックナンバー

2011年5月10日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

「第三企画室、出動す Returns」について
2009年5月11日から2010年7月27日まで毎週掲載されていた連載小説「第三企画室、出動すボスはテスタ・ロッサ」の前半部分が徳間文庫から「幸福な会社」と改題、発売されました。この発売を記念して、特別編「第三企画室、出動す Returns」を1カ月に渡ってお届けします。第3回は、地震から10日後のオルタナティブ・ゼロを描きます。

 3月21日、地震から10日が過ぎ、東京に初めて雨が降った。

画像のクリックで拡大表示

 もしかしたら水素爆発で飛散した空中の放射性元素が地上に降りてくる。楠原弘毅は思った。

 空中にどれほどの量の放射性物質が吹き上げられたのか、報道からは判断できなかった。原発の事故以来、ほとんどの期間、南寄りの風が吹いていた。けれど、毎秒5mの北東風が12時間吹けば空気は東京に向かって200キロ移動する。福島第一原発から東京まで到達する可能性があることは、専門家に聞くまでもなく簡単な算数で誰でも予測できる。

 楠原の予測は当たってしまった。

 22日午前、金町浄水場の水に、乳児の飲用に関する暫定規制値100ベクレルのおよそ2倍の放射性ヨウ素が検出されたのだ。23日、東京都は金町浄水場から供給される地域で乳児に水道水を飲ませないように呼びかけた。

「水、全然ないよ」

 昼食の弁当を買いに出た風間が戻ってきた。

「本当ですか?」

「コンビニ2軒とスーパー回ったけど、どこも棚は空っぽ」

「ひどい話だなあ。横浜は関係ないのに、みんな買い溜めしているんだ」

 楠原は憤っていた。

「関係あるのは東京の金町浄水場からの水だけですよ。東京でも水源が違う他の地域は関係ないし、横浜はもちろん関係ありません。金町浄水場だってもう基準値以下に急速に下がって飲用制限は解除されています」

「でも、やっぱり心配よね」

「そうですか?」

「弘毅くんは心配じゃないの?」

「全然」

「ふうん、そうなんだ」

「まず第一に100ベクレルの基準値は乳児だけです。大人は関係ありません。その上、基準は1年飲み続けた場合の値です。乳児にしたって1日ぐらい飲んだって全然平気です。1年飲み続けたら赤ん坊も乳児じゃなくなってしまいますしね」

「でもさあ、念には念をってことだってあるじゃない」

コメント3

「第三企画室、出動すReturns」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

現在の携帯電話は、昔の電話と比べて100倍豊かでしょう。クルマもきっとそうなります。

ジェンスン・フアン エヌビディア創設者兼CEO(最高経営責任者)