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ボランティアで会社に来てくれる?

障害者の「働く場」を守れ!~仙台からの報告[2]

  • 高嶋 健夫

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2011年5月10日(火)

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仙台からの報告[1]から読む)

宮城野オペレーションセンターで写真撮影に応じたウイングル社員と障害のある利用者たち。壁には、全国各地の同社社員と障害者から届いた応援メッセージの色紙が貼られていた(撮影:高嶋健夫)

 震災の翌日以降、ウイングルでは宮城野、泉の2つのオペレーションセンターを一体的に運営する非常時体制を敷き、関係する障害者の安否確認に全力を挙げることになった。

 就労移行支援事業のサービス利用者や遠隔地雇用サービスで雇用している障害のある社員たちはもちろん、同社で職業訓練を受けて企業各社に就職した約40人の“卒業生”も含めて、その数は約200人。通信・電力事情が十分に復旧しない中で、本人だけでなく家族・保護者の安否確認、自宅や居住する施設の被災状況などを調査・確認する作業は困難をきわめた。全員の無事が確認できたのは、約1週間後だったという。

 この時の教訓を、川島さんは次のように語る。「震災直後はパソコンもインターネットも使えず、お手上げ状態でした。役に立ったのは、プリントアウトしておいた利用者名簿。紙の資料があることを思い出し、散乱したオフィスから慌てて取り出しました。こんな時には、アナログ情報が役に立つことが分かりました」。

安否確認と心のケアに追われた震災後

 通信・電気が復旧した後は、東京本社の全面バックアップで安否確認作業も軌道に乗り始める。今は東京に本社を移しているが、ウイングルは2005年に仙台で創業したいわば地元企業。それだけに東京本社の対応は素早く、「地震直後に救援物資を積み込んだ車を仙台に差し向けてくれました」と木ノ瀬氏は言う。

 利用者の安否確認も、普段は個人情報保護のために利用者情報データベースの取り扱いには厳しいセキュリティー管理を行っているものの、今回ばかりは緊急措置としてアクセス制限を緩め、東京本社と仙台センターが総動員で取り組んだ。本人や保護者に直接連絡を試みるだけでなく、グーグルのパーソナルファインダーなども活用し、避難所からの情報も探した。まさに有事のスクランブル体制だった。

 その次に待っていたのは、「心のケア」である。震災のショックや余震への恐怖心、さらには仕事や生活の先行きへの不安感などから心のバランスを失いかけたり、体調を崩したりする障害者が相次いでいることが分かったからだ。入院した人も出た。

 そのため、ウイングルでは「一番大切なのは、生活のリズムを崩さないようにすること」と判断、3月22日にはいち早く被害のなかった宮城野センターで就労訓練の再開に踏み切る。空調やガスの復旧が遅れた泉センターは4月12日まで再開できなかったが、この間は泉の利用者にも臨時に宮城野に通ってもらうようにした。

 さらに、ガソリン不足や公共交通機関の寸断で通所できない利用者に対しては“宿題”を与えた。つまり、「それぞれの人が自宅でできる個別の訓練メニューを用意して、在宅で訓練を続けてもらうようにしました。『会社は機能しているから、必要以上に心配しないで』とメッセージを送ったんです」と川島さんは説明してくれた。

 同じ時期、クリーン&クリーン東北工場でも、自宅待機中の障害のある社員たちから「家でじっとしていると心細い」「会社はもうなくなってしまうの?」といった不安の声や、「早く会社に行きたい」という希望が次々と届いていた。

 そこで、同社では一計を案じた。「早く操業再開するために、後片付けを始めたい。ボランティアで会社に来てくれる?」と会社のほうから呼びかける形で、あえて出社を募ったのだ。すると、多くの社員が呼応。4月半ばには10人以上の社員が自主的に出社するようになった。

 中には、最寄りのJR仙石線の陸前高砂駅から、いつも利用するバスが減便になっているため、30分以上も歩いて通ってきた社員もいたという。岩崎取締役は「こうした時は、会社や仲間との絆が何よりの心のよりどころになることを再確認できました」と語っている。

被災地以外でも広がる障害者の「心の動揺」

 仙台市障害者就労支援センターも、孤立感を深める働く障害者の心のケア対策に素早く動いた。

 震災1カ月後の4月11、12日には泉区と青葉区で「第1回はたらく障害者のつどい」を開催。震災当日の体験やその後の状況、今どんなことに困っているか、不安や心配はあるか等々、障害者同士がフリートーク形式で胸の内を明かし合うことで、問題意識を共有し、お互いに励まし合うことができる「場」を設けたのである。

 同センターによると、交通事情が悪い中を5人の障害者(知的障害3人、身体障害と精神障害各1人)が参加した。全員が自宅待機を余儀なくされており、「ほかの人の様子が分かって良かった」「今後もこうした会があれば参加したい」と好意的な感想が寄せられた。

 諸橋所長は「障害のある人たちの不安感や動揺を和らげるには、仕事の面だけでなく、生活面でのきめ細やかなケアが不可欠。今後は生活支援センターなどとも連携しながら、こうした試みを継続していきたい」としている。

 実は、働く障害者のこうした心の揺らぎは、東北の被災地だけで起きている問題ではなさそうだ。今回の取材を進める過程で、東京で次のようなショッキングな話を耳にした。

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