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急拡大する「BOP」ビジネスへの参入に異議あり

日本企業は強みを生かせる「MOP」を目指せ

  • 常盤 文克

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2011年5月10日(火)

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 東日本大震災から早2カ月がたちました。発生直後の恐怖と戸惑いから脱し、復旧、復興、いや再生、創生だと議論百出です。理想論はともかく、具体的にどうするか。農業や漁業、工業それぞれの分野で議論が始まっています。日本のモノ作りの在り方についても、今後の歩むべき道やグローバル市場、特に新興国市場への取り組み方などが、改めて問われています。

 新興国を攻略していくうえで注目されているキーワードの1つに、BOP(Bottom of the Pyramid)という市場があります。BOPとはピラミッドの底層、すなわち新興国の低所得者層を指します。このBOP市場をターゲットに、日本企業も家電製品や家庭用品、さらには自動車など様々な分野で、進出を急いでいます。

 こうした動きを見ていて思うのは、日本企業が果たして海外のライバル企業との競争に勝ち残れるのか、ということです。低所得者層向けの製品ですから、当然のことながら先進国の感覚と比べて低品質で、圧倒的に低価格になります。BOP市場への参入とは、すなわち果てしなきコスト競争への“参戦”を意味するのです。

低価格で挑んでも韓国・中国には勝てない

 BOP市場では、既に韓国や台湾、中国といったコスト競争が得意な国のメーカーが存在感を強めています。また、欧米にもBOP市場を得意としている企業がいくつかあります。そこに日本企業が新たに入っていっても(現に入っていますが)、コスト競争で勝ち残るのは至難の業だと思います。そこで仮に勝者になったとしても、大きな赤字を出したりブランド価値を下げたりして、かなりの痛手を負うことになるでしょう。そうなったら、真の勝者とは言えません。

 スピード感の違いも逆風になります。新興国市場は変化のスピードが速く、目まぐるしく状況が変わります。このスピードに合わせて、韓国や台湾、中国などの企業は素早く決断し、情勢の変化に応じて戦術・戦略を柔軟に変えてきます。つまり、権限を持つ人が現地にしっかり根付いて市場を理解し、情報を握り、素早く決断・実行しているからです。だからこそ、市場での存在感を強めてきたのです。

 一方、日本企業はどうでしょうか。私の知る限り、とにかくスピードが遅いのです。現地への権限委譲が不十分なためか、本社で時間をかけて議論することになったり、的外れな決定が下されたりしがちです。結果として、韓国勢などに先を越されてしまいます。

コメント3件コメント/レビュー

BOPビジネスの狙いが間違っています。BOPはずっと低所得者向けに商品を供給するつもりはないのです。BOPビジネスに進出している多くの海外企業は、将来MOPになるBOPに向けて売っているのです。国家の経済成長に伴って、どんどんとBOPの人たちが豊かになって行き、それにともなって消費も増えます。その時に選ばれるのは、貧しい時から使っていた商品でありサービスなのです。中間層を狙うというのは正しい判断だと思いますが、中間層はパッと存在するものではないのです。徐々に下から上に上がってくるものであり、その時にMOPを狙ったところでもう遅いのです。(2011/05/10)

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BOPビジネスの狙いが間違っています。BOPはずっと低所得者向けに商品を供給するつもりはないのです。BOPビジネスに進出している多くの海外企業は、将来MOPになるBOPに向けて売っているのです。国家の経済成長に伴って、どんどんとBOPの人たちが豊かになって行き、それにともなって消費も増えます。その時に選ばれるのは、貧しい時から使っていた商品でありサービスなのです。中間層を狙うというのは正しい判断だと思いますが、中間層はパッと存在するものではないのです。徐々に下から上に上がってくるものであり、その時にMOPを狙ったところでもう遅いのです。(2011/05/10)

Mを狙うためには、「得意技(技術と品質)」を込めたものを、「中間層が手の届く」ところまで低価格化する必要がある。それがなされるまでの間、高くても買ってくれる層、即ち、色々と拘る消費者である日本人が必須の存在だった。その市場が切磋琢磨の場だった。だが、企業はそれを自ら破壊した。新興国と真っ向から価格競争を繰り広げ、そのために人件費を削り、日本人に消費のための賃金を支払うのをやめた。その結果もたらされたものだ。最早、日本企業がMOPを狙うための環境は存在しない。従って、本稿の主張は、方向性は正しいが不可能だ。(2011/05/10)

BOPビジネスに対する認識が間違っているように思います。BOPビジネスの真骨頂は、単なる安売り合戦ではないからです。それはきわめてイノベイティブな商品開発とロジスティクス技術の前線なのです。中国製品がひとり勝ちするような市場ではありません。「味の素」の活躍をみればわかります。(2011/05/10)

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