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家庭部門の電力需要対策がカギ

ピークシフトと総需要抑制を促す料金体系を提案する

  • 生田 孝史

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2011年5月16日(月)

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 東日本大震災によって、日本の電力システムがいかに脆弱かが明らかになった。

 現状の電力供給体制では、今夏の電力需要を賄えない恐れがある。

 しかし、供給を増やすことは容易ではない。原子力発電所の増強は、近隣住民の理解を得るのが難しい。とはいえ、火力発電に頼り、地球温暖化ガスを増加させるわけにもいかない。

 では、どうするか?

 大学やシンクタンクの研究者、エネルギービジネスに携わるビジネスパーソンに、電力需給ギャップ問題の解決策を提示してもらう。

第3回は 株式会社富士通総研
経済研究所 主任研究員 生田 孝史

 東日本大震災に伴う原発事故被害によって、2030年までに14基の原子力発電所を新増設して電力供給力を増強するシナリオは破綻した。好むと好まざるとにかかわらず、原発新増設ゼロのシナリオを想定した電力需給対策を真剣に考えるのが賢明である。

 当面は、東京電力管内で今夏の大規模停電や電力使用制限を回避できるかが最大の関心事である。幸い、東京電力が電力供給量の見通しを5500万キロワット程度に上方修正したことで、今年の夏場を乗り切れる可能性が高まった。仮に電力需要が、2001年に記録した最大電力値の6430キロワット並みとなっても、政府が示した15%の節電目標を達成できれば、5500万キロワットに収まる。

 とはいえ、来年以降、状況が劇的に改善するわけではない。むしろ、状況は悪化するおそれがある。現存の原子力発電プラントの老朽化に伴う廃炉が進むことで、電力供給力の約3割を担う原子力のシェア低下が避けられないからだ。原子力の喪失部分をいかに穴埋めするかという問題に日本全体が直面する。

 地球温暖化問題への対応を考慮すれば、火力発電をやみくもに増強するわけにはいかない。電力需要の増加に合わせて供給力を増強する――これまでの発想から脱却しなければならない。

ピーク時の需要と家庭の需要増大が供給不安の原因

 季節や時間帯ごとの電力の需要の大きな変動は、ピーク需要に合わせて整備された発電設備の効率的な運用の妨げとなっている。最大需要電力に対する年平均需要電力の比を示す年負荷率は60%前後で推移している。発電設備の最大出力から見た設備利用率は50%を切っている。設備の半分が遊んでいる計算である。

 供給力に合わせて賢く電力を利用するためには、電力需要の最大値を抑制するためのピークシフト(電力需給がひっ迫する時間帯から緩慢な時間帯へ需要を移行すること)やピークカット(電力需給ひっ迫時間帯に電力消費を削減すること)による需要対策が重要である。

 今後の電力需要対策のカギを握るのは家庭部門である。産業部門では、関東・東北地域を中心に節電の取り組みが既に進んでいる。日本経団連は、今夏の最大消費電力を昨夏比25%削減する節電目標を維持する方針である。電力会社と需給調整契約を結んでいる大口需要家に対しては、電力需給がひっ迫した際に、電力利用量の削減を要請することが可能である。

 一方、家庭では、電化製品・IT機器の普及が、電力需要の増加に拍車をかけている。

 家庭部門(電灯契約)における全国の電力需要量(速報値)は2010年度、1990年度の1.71倍に達した。同じ期間における電力需要全体の増加は1.38倍だったので、これに比べて家庭部門の需要増加は顕著だ。全体の電力需要に占める家庭部門のシェアも、1990年度の27%から2010年度には34%にまで上昇した。今や電力需要の3分の1が家庭向けである。

電気料金制度を改めピークシフトと総需要抑制を誘導する

 これまでの家庭部門の電力需要対策は節電の啓発が中心であった。家庭部門の顕著な電力需要増という結果は、従来の対策が有効ではなかったことを示している。以下では、価格メカニズムによって、家庭部門の賢い電力利用を促す電気料金制度について考えたい。

 第1の案は、時間帯別の料金制度の適用拡大である。電力需要のピーク時間帯の料金を高く設定する一方で、オフピーク時間帯の料金を低く設定する。こうすることで、ピークシフトを誘導する。

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