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災害大国だから育まれた「カイゼン」と釜石の奇跡

日本企業独自の変化対応力の構築を

2011年5月13日(金)

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 妙な言い方だが、今回の震災は、本当にさまざまなことを考えさせられる機会となった。

 「3・11」からすでに2カ月が過ぎたが、風評被害をどう極小化していくか、といった問題から、リーダーシップ論まで、いろいろなことについて、それまでとは違った角度から考え、議論し続けている。というわけで、もう1回、震災にまつわるコラムになりますが、どうかご容赦のほど。

 さて、防災の世界では、被害地震という言葉がある。死者・行方不明者50人以上の地震を指すのだが、日本ではどれくらいの頻度で起こっているか、ご存じだろうか。文部科学省のデータによれば、きちんとした統計が残っている1800年以降、2009年までの210年間で、実に34回の被害地震が発生した。平均すると6.2年に1回のペースだ。

 日本という国に住む我々にとって、大きな被害を伴う地震災害は、頻繁に起こるものなのだ。台風や洪水といった自然災害も考え合わせると、我々は、自然の力に何度も何度も打ちのめされてきた。「にもかかわらず」、というよりも、「だからこそ」、だと思うのだが、日本人は、「そこから立ち上がり、打ちのめされた経験から学んで工夫を凝らし、次の試練に備えていく」という特性を持つようになった、と言うこともできるように思える。

大災害のたびに学んで備える「カイゼン」を積み重ねる

 過去の大きな災害と、そこからの学び・備えを少し振り返ってみれば、それは明らかだ。例えば、1923年の関東大震災を受け、世界で初めての建築耐震基準が法制化された。

 1959年の伊勢湾台風は予想を大きく上回るスピードで進み、大きな被害をもたらしたが、結果として、富士山頂レーダーや気象衛星ひまわりという早期警報システムの構築につながった。

 1995年の阪神・淡路大震災は、(初期波動を感知し、それを活用する)緊急地震警報を実用化させることとなった。また、被災した地元自治体からボトムアップで要請がなされなくても、自衛隊が救援活動のために出動できるように法整備がなされた。こういった学び・備えの歴史は、枚挙に暇がない。

 今回の震災は甚大な被害をもたらした。しかし、これまでの学び・備え、言い換えれば防災における「カイゼン」が、かなり大きな効果を発揮したということも、また事実である。

 東北新幹線は、午後2時46分の地震発生時に27本の列車が運行していたが、50キロ以上離れた牡鹿半島で、早期地震予知警報システムが地震を感知。最大の揺れが線路を襲う1分10秒前の午後2時47分6秒に緊急ブレーキがかけられ、すべての列車が安全に停止した。

 自衛隊は、阪神・淡路大震災を受け、すぐに出動できるようになっていただけでなく、三陸地方での地震・津波発生に備え、訓練を繰り返していたという。午後2時50分に自衛隊の災害対策本部が設置され、7分後(午後2時57分)から30分後(午後3時20分)までの間に、ヘリを3機、哨戒機のP-3Cを2機、戦闘機のF15を6機、それぞれ離陸させている。我々がニュースで見た、津波が広い範囲で押し寄せてくる航空映像はこの時に撮影されたもので、空からの被害状況把握は、その後の救助活動に大きく役立ったとされる。

 多額の費用を投じて作られた防潮堤も、「今回の津波に対して無力だった」ということが言われるようだが、例えば岩手県釜石市では、津波の襲来を6分遅らせる効果があったという。

 こういった「カイゼン」の繰り返しがなかりせば、被害はさらに大きなものになっていた、と言ってもよいと思う。

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「災害大国だから育まれた「カイゼン」と釜石の奇跡」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長