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日本のモノ作りは本当に効率的だったのか?

お家芸の「カイゼン」が成果を生まない実情と理由

  • 岸良 裕司

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2011年5月18日(水)

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 3月に起きた東日本大震災──。マグニチュード9.0の巨大地震、大津波に原発事故まで併発した未曾有の大災害は、モノ作り立国ニッポンの根幹を大きく揺さぶった。

 東日本に広がるメーカーの生産拠点や下請けの工場が被災し、物流網も寸断され、数多くの素材や部品の供給がストップ。生産停止が西日本や海外まで広がったのである。こうした事態を受け、「ジャストインタイム」をはじめとする日本のモノ作りの効率化が行き過ぎなのではと再考を促す声が高まっている。

 だが、ビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者として知られるイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士はこう問いかける。「日本のモノ作りは本当に効率化が進んでいたのか」と。

 日本でもベストセラーとなった同書のタイトルに聞き覚えのある読者も多いだろう。機械メーカーに勤める主人公のアレックスが、採算悪化によって閉鎖の危機に直面した工場を再建していく。この物語を通して、ゴールドラット氏は、自ら編み出した改革手法の理論「TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)」を解説した。それに照らし合わせれば、先の問いに対する答えは「ノー」だ。

 「日本のモノ作りの効率化は実は進んでいなかった」──。この認識を持たずして、日本のモノ作りを再興することはできない。ゴールドラット博士から直々に薫陶を受けたゴールドラット・コンサルティングの岸良裕司ディレクターが、TOC理論とその具体的な手法を紹介しながら、効率化が進んでいなかった日本のモノ作りの実態を明らかにするとともに、処方箋を提示していく。ここから真のモノ作り立国への第一歩が始まる。

 日本のモノ作りのお家芸といわれる「カイゼン」──。今では製造業に限らず、サービス業の企業でも日々、カイゼン活動に勤しんでいる。

 ところが、全社を挙げてカイゼンに取り組み、大半の現場が目標も達成しているのに、会社全体で見ると全く成果が上がっていないということが少なくない。私は企業へのコンサルティングを通して、そうした実例を数多く見てきた。

 カイゼン活動に血道を上げているのに、一向に実を結ばない。こんな不可解な現象が起きるのはなぜなのか。解消するにはどうしたらいいのか。

 ゴールドラット博士が確立した改革手法の理論「TOC」は、この命題を解くことから生まれた。全社を挙げてのカイゼンが全体の成果に結びついていない実例を基に、まずはTOCの基本原理を見ていこう。

モノの流れを調べて、ボトルネックを見つけ出す

 舞台は、部品メーカーのK社。同社のある事業部は、顧客からの度重なるコストダウン要求や競合他社との価格競争に直面。現場の懸命なコスト低減の努力にもかかわらず、業績は悪化の一途をたどり、営業利益率は1%前後という低水準にあった。

 一方で、成長著しいアジア市場ではK社の手がける部品の需要は急増。それに同社は対応できず、長年にわたって部品を納入してきた顧客のセットメーカーの信頼を急速に失いつつあった。

 そこで生産能力を引き上げるため、工場の新設を検討し始めた。しかし、建設費は十数億円に上り、その投資によって事業部は赤字に転落してしまう。

 赤字転落を防ぎながら新工場を建設するには、さらなるコストダウンを追求するのが常道だろう。そのために、現場のコストを分析し、生産効率を改善するための方策を考え抜く。

 だがTOCでは、こうしたアプローチは取らない。まずは全体を見て、モノの流れを調べる。

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