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日本のモノ作りは本当に効率的だったのか?

お家芸の「カイゼン」が成果を生まない実情と理由

  • 岸良 裕司

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2011年5月18日(水)

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 具体的に説明しよう。図1は、K社の当該事業部におけるモノ作りの流れを簡略化したもの。A~Eの工程は1つの製品を作るライン上に存在する。前の工程から届いた部品を加工して後工程に流す処理能力には工程間に差がある。

 A~Eの各工程の処理能力を部品の個数で表すと、それぞれ1日当たり20、15、10、13、16個である。工程Cの処理能力が最も低いのは明らかだろう。

 つまり、この工程Cが「ボトルネック」になって、全体の生産能力が上がらないという事態に陥っている。工程Cという1つのボトルネックの存在によって、ほかの工程のカイゼン活動が「部分最適」にとどまり、「全体最適」にまで結びついていなかったわけだ。

 ここでボトルネックとなっている工程Cの処理能力のカイゼンに注力すれば、全体の生産能力向上につながることは明白のように見える。しかし、一般的には現場のさまざまなカイゼン努力にもかかわらず、ボトルネックはボトルネックのまま解消されないことが多い。

 新たな投資が必要になったり、専門性の高い人材などのリソースが不足したりといった障害が立ちはだかるからだ。そこでTOCでは発想を変えて、次のように考える。

 「このボトルネックとなっている工程Cは徹底して活用されていないのではないだろうか?」と。

 実際にこの事業部の例では、ボトルネックである工程Cが24時間、全く止まることなく稼働したらどうなるかを考えると、計算上は従来よりも2割以上生産量が増えることが明らかになった。

 そこで実際に現場に赴き、工程Cだけを詳細に見てみると、必要な材料が不足したり、段取りがスムーズでなかったりしている状況がつかめた。ほかのラインは稼動していて、工程Cだけが止まっているという無駄な時間が全体の2割以上あることも判明した。

“在庫”を減らさず、逆に増やして生産効率を上げる

 そこで、工程Cのところに作り置きした仕掛り品を常に用意して、常時稼働するようにした。生産ライン全体に手を入れたわけではないので、この対応の準備はわずか1週間で済み、費用もさほどかからなかった。一方で効果は大きく、生産能力は2割アップした。

 さらに工程Cがボトルネックであることが判明したので、ほかの工程を担当する従業員たちが工程Cへの対応をサポートしてくれるようになった。各工程でバラバラに取り組んでいたカイゼンの努力は工程Cに集中し、全体の生産能力は瞬く間に向上していった。

コメント42件コメント/レビュー

震災の例をあげているコメントがあるが、それは発生確率(頻度)と損害額の関数から導き出されるリスク期待値から常態コストとトレードオフされるべき経営判断ではないです。生産効率とは無関係。戦時に備えて5年~10年ぶんの部品を在庫することが現実的でしょうか?資金の回転率を落とし、在庫コストは製品価格に跳ね返ります。それが震災を想定した1年分でも話は同じです。また、今回の減産の最大要因は特殊技術を持った1つの企業であることは注意すべきですそれにしたところで、恐らくこの震災でのトヨタの損害総額は、確かに一時的には大きな痛手ですが、創業時から将来の廃業時までで考えれば、稀な非常時に備えた在庫体制を取った場合のコストより小さいでしょう。これは生産規模が大きくなればなるほど顕著に現れます。(2011/06/07)

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震災の例をあげているコメントがあるが、それは発生確率(頻度)と損害額の関数から導き出されるリスク期待値から常態コストとトレードオフされるべき経営判断ではないです。生産効率とは無関係。戦時に備えて5年~10年ぶんの部品を在庫することが現実的でしょうか?資金の回転率を落とし、在庫コストは製品価格に跳ね返ります。それが震災を想定した1年分でも話は同じです。また、今回の減産の最大要因は特殊技術を持った1つの企業であることは注意すべきですそれにしたところで、恐らくこの震災でのトヨタの損害総額は、確かに一時的には大きな痛手ですが、創業時から将来の廃業時までで考えれば、稀な非常時に備えた在庫体制を取った場合のコストより小さいでしょう。これは生産規模が大きくなればなるほど顕著に現れます。(2011/06/07)

「カイゼン」そのものを否定しているのではなく、「あらゆる現場でカイゼン活動に取り組むことが、全体のパフォーマンスを上げる」という思い込みが、「カイゼン」をどこで適応させるかが間違っていると指摘している。 つまり、「思い込み=考え方」が制約となり、全体のパフォーマンスを上げる事を阻んでいたという事だ。 これには組織の壁や、しがらみ、評価指標なさまざまな「事情」を挙げて、「全体最適なんて精神論上の夢物語」と思い込んでいた自分にとってはっとさせられた。「考え方」が制約だと気付いたならば、次のステップは「制約を徹底活用する」である。思い込みに縛られず徹底的に深く考え、「全体最適な解決」のやり方を徹底的に追及し実行することで初めて、成果を出すことにチャレンジしていると胸を張って言えるのだろう。このコラムでは、具体的にお家芸「カイゼン」に命を吹き込み、まさに「生かす」にはどうすればよいか、その先にはどんな良い事が待っているかが述べられていたが、「深く考える」事で、その先に待っている「良い事」まで見据えながら「カイゼン」活動に取り組みたい。そういった気づきを頂けたコラムであった。(2011/05/27)

驚くほど生産性が上がり、ビックリするほど巨額なコストダウンが達成できたとの報告を何度も聞いた。今年度の収益は凄いぞと思って期待していると、前年をわずかに上回る程度の決算で、驚いたり、ビックリするほどのことはなく、毎年「ガッカリ」させられた経験がある。「部分成果の総和と、全体成果は一致しない。というのも、会社というシステムのボトルネックの改善効果のみが収益に繋がるから」という筆者の主張は、この「ガッカリ」を説明して余りある。次回も楽しみだ。(2011/05/22)

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