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なぜ佑ちゃんを使わない

球場の命名権が売れない理由

2011年5月19日(木)

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 スポーツ施設の名前に企業名などをつける「命名権」を売買するビジネス手法が、日本でも広く知られるようになってきました。

 日本のスポーツ界では、2003年にJリーグのFC東京や東京ヴェルディのホームスタジアム、東京スタジアムが「味の素スタジアム」となったことがスタートでした。プロ野球界にも「福岡Yahoo! JAPANドーム」(通称「ヤフードーム」)や「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島」(通称「マツダスタジアム」)といった企業名を冠した施設が次々に誕生しています。サッカーでも、「日産スタジアム」や「フクダ電子アリーナ」(通称フクアリ)などが生まれています。

 日本では、多くのスタジアムが自治体所有の施設となっています。そして、各地の自治体の財政が逼迫する中で、新たな収入源としてスポーツ施設だけでなく、文化施設や県民ホールまで命名権を販売する動きが出てきています。しかし、2008年のリーマンショック以降、企業も投資対効果を厳しく計算するようになり、自治体が公募しても手を上げる企業が現れなかったり、契約更新が見送られるケースも増えているようです。

 最近の例では、北海道日本ハムファイターズやコンサドーレ札幌の本拠地、札幌ドーム(札幌市が保有)があげられます。今年に入って、ドームの命名権販売を検討していましたが、暗礁に乗り上げています。札幌市が1月に実施した1回目の公募では、わずか1件だけ応募がありました。しかし、条件面で折り合わずに断念しています。2月になって再公募を試みたものの、応募企業がなく、来春まで販売を見送る方針を決めました。

 こうした厳しい経済環境の中で、命名権を有効なマーケティングツールとして活用するためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。今回のコラムでは、「命名権発祥の地」と言われる米国の状況を見ていきましょう。

「名前を売る」では機能せず

 米国スポーツ界で、命名権が収益を生む有効なツールとして認識され始めたのは1990年代に入った頃のことでした。実際、1990年時点で米国4大スポーツ球団が利用する102施設のうち、命名権を導入していたのはわずか4施設(全体の3.9%)に過ぎませんでした。しかし、10年後には121施設中78施設(同64.5%)と、その数が飛躍的に増えています。

米国4大スポーツで命名権を導入している施設数
リーグ 2000年 1990年
米メジャーリーグ(MLB) 15/30 0/26
米プロフットボールリーグ(NFL) 16/32 1/28
米バスケットボール協会(NBA) 22/29 2/27
米アイスホッケーリーグ(NHL) 25/30 1/21
合計 78/121(64.5%) 4/102(3.9%)

出所:Team Marketing Report

 しかし、施設に名前を冠するという習慣は、プロスポーツ界においてビジネス手法になる前からあったように思います。例えば、大学のキャンパスなどに行くと分かりますが、建物や部屋に人物名がついていることが珍しくありません。これは、多くの場合、巨額の寄付を行った卒業生に敬意と謝意を表するために行われているものです。

 「寄付金でこのような立派な施設を建設させて頂きました」「多くの人に、あなたのご厚意を知ってもらうため、せめて名前だけでも付けさせてください」

 そんな気持ちから、受け取り側が施設に名前を付けたケースが多いでしょう。しかし、寄付と営利企業の命名権売買では、意識や目的が全く異なります。投資に見合うリターンを手にしようと考える企業に対しては、「せめてお名前だけでも付けさせてください」という姿勢では不十分なのです。ここに、命名権売買で躓く真因があるのではないでしょうか。

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「なぜ佑ちゃんを使わない」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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