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雇う側も雇われる側も、今、雇用の話をしよう

「雇用がないと町が死んでしまう」と浪江町の人たちは言った

  • 武田 斉紀

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2011年5月23日(月)

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不況に加え震災によって、雇用が失われている

 東日本大震災後、直接的に、また間接的に雇用を失い、“失業”する人が増え続けている。それは大きな被害を受けた東北の被災地だけではなく、関東や北海道へ、そして直接的な被害のなかった西の方へと徐々に広がりつつある。

 震災直前、日本はようやく2008年秋のリーマンショック後の長い不況の底を打とうとしていた。大手を中心に回復の足音が聞こえ始め、企業理念の共有浸透コンサルティングを生業(なりわい)としている私の会社にも大手からの問い合わせは増えてきていた。一方で、所属する中小企業の経営者仲間に本音を聞くと、まだまだ光は見えないと言っていたのを思い出した。

 厚生労働省は、震災後、失業や休業のために失業手当の手続きを始めた人が岩手、宮城、福島の3県で10万人を超えて、前年同期の約2.4倍になったと発表した。ちなみに3県の被災有効求職者数は3万5278人であり、被災者を対象とした全国の有効求人数3万6578人で、単純計算ではカバーできることになる。

 求人倍率約1倍というのは、応募者が企業も職種も条件も選ばなければという前提で満たされる数字だ。本人のできること、やりたいこと、勤務可能な条件まで考えれば、実際はまだまだ足りない。被災3県に限って言えば、わずか3498人だという。これでは10人に1人しか、地元で働くことができない。

 地元を離れるということはどういうことか。家族で移るなら子供の転校だけでは済まない。東北の地で長年暮らしてきた多くの人たちにとっては、初めての転勤だ。近くに住み、助け合ってきた親戚や地元の友人知人とも離れ離れになってしまう。周囲の環境に慣れるのにも時間がかかるにちがいない。

 被災地で失業した人たちは、仕事を求めて右も左も分からない土地に移住するか、地元の復興を待つか。果たして待つことが、手持ち資金でどれくらいの時間可能なのかと悩んでいることだろう。。

 町の復興さえままならない地域もある。事故が起きた東京電力福島第1原子力発電所から20キロ圏内の町村だ。その中の一つ、福島県浪江町は、臨時役場を県内の二本松市に設置した。どこに移住したのか、あるいは行方不明なのか、所在の分からない町民が6割に上るという。想像を絶することが現地では起こっている。

 5月11日に放送された『クローズアップ現代』(NHK総合)では、原発で故郷を追われた浪江町の人々を追っていた。原発事故による計画的避難で人々は地元で失業し、散り散りになっていた。同町商工会青年部のリーダー・八島貞之さんは仲間に声を掛けて、地元の人たちを呼び寄せ、元気にするためのイベントを開いた。自身も従業員5人の鉄工所を経営していたが、被災して再開のめどが立たず“失業”中だ。奥さんと小さな娘さんを抱えながら、収入が途絶えてしまった。

 地元愛に燃える若者たちも、生活のため、家族のためには、いつ解決するとも分からない放射能事故の終息を待っているわけにはいかない。雇用の発生する見込みの立たない地元を離れざるを得なかったのだ。イベントが終わると、彼らは「また会おう」と言いながら、再び新天地へと散って行った。

 民間調査会社の帝国データバンクは、東日本大震災関連の倒産動向調査(第2回)を発表した。5月11日時点の倒産企業は87社、負債総額は527億8600万円に上る。5月中には100社を突破する勢いだという。これは地震発生から約4カ月半で100社を突破した阪神・淡路大震災の約2倍の速さだ。

 内訳を見ると直接被害によるものは12社、残り75社は間接被害を受けた企業だ。しかも岩手、宮城、福島の東北3県の倒産は19社で、残り約8割がそれ以外の地域というのも気になる。近畿で5社、九州・四国で10社と全国に及んでいる。

 今後はゴールデンウィークで十分に集客のできなかった観光業、レジャー産業、イベント・スポーツ関連企業。また夏のレジャー自粛や、節電のあおりを受けた企業がばたばたと倒れていくかもしれない。

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