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なぜ社長の給料は会社の誰よりも高いのか

第2回 トップの役割(その1)~不確実な状態での決断

2011年5月24日(火)

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「みんなで額を寄せ合い分析をし、いろいろ議論して、出てきた結論を社長が取りまとめて、それを社長の決断と勘違いしている人がよくいる。しかし、そんなものは決断でもなんでもない。社長の決断とは、やってみないとわからない、否、やってみても、ずっと後になってみなければわからないことを、やる前に決めることである。…これは思い込みをするしかない。思い込みができない人は社長にはなれない。…私はこうした決断を過去に何回かしたつもりである。まだ、その道は天国への道か地獄への道かわからない。決断をためらってその場に立ち尽くしている会社は、少なくとも地獄に行くだろうということは知っていた。だから、その時決断したのである」

(松井道夫『おやんなさいよでもつまんないよ』)

 東京電力のリストラ、役員報酬の削減が話題になっています。政府にしても、企業にしても、組織には必ず「お偉いさん」「長」と言われる人がいます。そしてその「長」の給料は、その組織の中では一番高いのが普通です。それはなぜでしょうか?

 個人的な意見を申し上げれば、トップの給料が会社の誰よりも高いのは、「誰もがしたくない仕事」をしなくてはならないからだと思います。つまり社長の仕事の本質は「難しい判断」「人に嫌われる決断」をすることであって、「大きな仕事」のために業界の大物とあったり、他の会社の社長と会食したりすることとは別物です。そうした社交の席では、大体は「社長」という肩書きが大切なだけだからです。

 誰もがしたくない難しい決断には大きく分けて2種類があると思います。1つは、判断材料になる情報が十分でなく、あっているのか間違っているのかわからない状況で下さなくてはならない決断であり、もう一つは「あちらを立てれば、こちらが立たず」という状況で何かを切り捨てなくてはならないトレードオフを伴った決断です。今回は前者の「不確実な状態での決断」を取り上げ、次回では「トレードオフを伴った決断」について考えてみたいと思います。前回とりあげた「具体的なビジョン」の話はどうなったのかと思われる方もいらっしゃると思いますが、数週間お待ちください。多くの会社で「ビジョン」が機能しないのは、いくつかの大切な前提を素通りしているためだと思うからです。

トップの役割 = 「誰もがしたくない仕事」をすること
1. 不確実な状態での決断
2. トレードオフを伴った決断

「想定外」とトップの役割

 東日本大震災に関しては「想定外」という言葉が大変よくつかわれました。いわく、「津波の高さは想定外だった」「原子力発電に関して、想定外という言葉を使ってはならない」などなど。確かに、東京電力、そしてそれを監督する立場にあった官庁、政府の「想定」は大変甘いものであったのでしょう。「想定が甘かった」から今後どうするかということはしっかり考えて後世の役に立てなくてはなりませんが、現実に起こっている「想定外」の問題への対応の重要性も忘れてはなりません。5月15日の日経新聞朝刊に、1999年に茨城県東海村で起きた臨界事故の政府対策本部の席上「全く想定していない事故。打つ手はありません」と当時の原子力安全委員会のトップが発言したという記事がありました。トップの役割を知らなかったのではないかと思わざるを得ません。

 計画、準備に「完全」はありません。計画や準備にコストがかさんでそもそも何もできないのならまさに計画倒れです。「危機に際しては、リーダーは行動するために考えるのではなく、考えるために行動する必要がある」とはミシガン大学のカール・ワイク教授の言葉です。彼は「詳細な計画を作ると、すべてわかったと勘違いしやすい」とも指摘しています。もちろん入念な計画、準備は必要ですが、過剰に計画に期待したり、それですべてできた気になってはいけないのです。不測の事態は起こるものなのです。

 実際、企業の活動においては「想定外」が起こることは日常茶飯事です。その原因は今回のような自然災害だけでなく、競争相手の新技術かもしれませんし、取引先の約束違反かもしれません。あるいは為替であったり、認可であったり、ブームの急速な終焉かもしれません。「想定外」なのですから、準備ができていない。どのような対策があるのか、何が一番良いのか、そんなことがよくわからない局面において、トップは対策を決断しなくてはならないのです。

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「なぜ社長の給料は会社の誰よりも高いのか」の著者

清水 勝彦

清水 勝彦(しみず・かつひこ)

慶應義塾大学大学院教授

東京大学法学部卒業。ダートマス大学エイモス・タックスクール経営学修士(MBA)、テキサスA&M大学経営学博士(Ph.D)。戦略系コンサルティング会社のコーポレィトディレクションを経て研究者に。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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