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再生可能エネルギーとスマートグリッドへシフトせよ

課題は技術ではなく、政治の決断である。

  • 古川 純子

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2011年5月24日(火)

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 福島第1原発の事故を経て、日本は原子力推進路線を続けるか、もしくは方向を転換して縮小に向かうのか、の大きな分岐点に立っている。これからのエネルギーシステムは、どのような形になるのか。

 今日の経済は、ICT(情報通信技術)への依存度が極めて高い。社会の主要な情報がICTに依存すればするほど、停電の意味は重くなる。かつての停電が食卓の灯りを失うことだったのに対し、今日の停電はインフラや財産、命の喪失に直結する。電力の安定供給は今まで以上に不可欠だ。

 これまで電力を安定供給するためのインフラの常識は、原子力や火力に代表される一元的に管理しやすい大量生産・集中型であった。今回の大震災で人間による管理の限界が明らかになった今、もう一つの安定供給の方法として、小規模・分散のネットワーク型が浮上する。

 小規模・分散のネットワーク型のメリットはインターネットを考えると分かりやすい。インターネットは、回線が寸断し情報伝達が途絶える有事への対応を目的に開発された。今回の震災が起きた直後も、携帯電話も固定電話も通じない中で、ツイッターならば通信ができた。同様に電力供給でも、エネルギー源を多様化し、電源配置を分散して、相互融通できるネットワーク型システムなら、電源が壊れ送電線網が寸断した際にも我々はリスクを分散することができる。

 21世紀のエネルギーにはもう一つ求められていることがある。低炭素電源だ。しかし、CO2の排出が少ない太陽光などの再生可能エネルギーは出力が不安定で、集中生産した電力を一方的に配電するのが主目的の既存の送電線網では、再生可能エネルギー発電量の10~20%しか利用できない。再生可能エネルギーを実用化するには、1)電力がどのように使用されているか、需要と供給をトレースし、2)供給不足が起きないよう、必要な電力を需要の多い地域に瞬時に送り、3)余剰の電力は蓄電池に充電しておくなどして調節する機能が必要だ。

 従って次世代エネルギーシステムは、高効率・低炭素の多様化した電源を分散配置し、リスク分散と相互補填が可能なBCP(事業継続計画)型ネットワークとなる。これを体現するのがエネルギーミックスとスマートグリッドだ。

再生可能エネルギーで供給不足を賄えるか?

 政府は「エネルギー基本計画」(2010年)で、 2030年に電力供給の50%を原子力、20%を再生可能エネルギー、30%を化石エネルギーで賄う構想を明らかにしている。現在日本の電力需要は年間約1兆キロワット時であり、原子力30%、再生可能エネルギー10%、化石エネルギー60%で供給している。つまり政府は、「2030年に化石燃料への依存を半減させる」という目標を、原子力の20%上積みと再生可能エネルギーの10%上積みで達成する計画だ。そのため電力各社は新たに14基以上の原子炉を増設する計画である。
 
 しかし今回の災禍で原子炉の新規増設に疑問を持つ声が高まっている。かといって今すぐに再生可能エネルギーで原子力のすべてを代替することはできない。現行の再生可能エネルギーは電力供給のわずか10%でしかない――水力8.3%、地熱0.2%、太陽光、風力、中小水力、バイオマスなどの新エネルギー1.4%。

 しかしスマートグリッドを整備し、技術革新も想定するなら話は違う。上記のエネルギー基本計画を、原子炉の新規増設なしに経年廃炉を待って、再生可能エネルギーで漸次代替しながら実現することは可能ではないだろうか。

 電力需要の増減なしと仮定して、政府試算をもとにラフな試算をしてみよう。現在の原子力の設備容量(瞬間の最大発電能力)は全国54基で約4900万キロワット。原子炉の新規増設をせずに、60年使用した原子炉を廃炉にする場合なら、2030年の設備容量は微減の4550万キロワットで済む。条件を変え、40年使用で廃炉にする場合の設備容量は1900万キロワットに激減する。

 この設備容量の稼働率を90%として(現在の稼働率は65%程度。「エネルギー基本計画」は米国・韓国並の90%まで引き上げることを想定している)2030年の原子力による年間発電量を計算すると、増設をせずに60年廃炉では3600億キロワット時、40年廃炉で1500億キロワット時となる。年間発電量は、設備容量に稼働率0.9と24時間365日をかけて算出した(単位はキロワット時)。

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