• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

冷却システムは止まれない!

正しく怖がる放射能【7】

2011年5月24日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 震災後、福島第一原子力発電所が起きた当初から、こういうことがあるのではないかな、と懸念していたことが、実際に起きていたらしい発表が、東京電力からありました。

 東京電力は16日、3月11日の原発事故が発生した直後の詳しいデータを公表しました。この中で、福島第一原発1号機では津波到達前にまず原子炉が停止、続いて非常用冷却装置が通常通り作動し始めたにもかかわらず、そのあと一時停止していたことを明らかにしました。

 東電側の説明によれば「炉内圧力が急激に低下した。このため、手動でいったん停止した可能性がある」とのこと。これが、先ほど書いた「こういうことがあるのではないかな、と当初から懸念していたこと」つまり、セキュリティシステムのヒューマンエラーによる作動不全です。

 これらは、大地震が発生してから津波が到来するまでの、ごく短い時間の間に発生していたことです。その後、津波が到来して、すべての電源が止まったわけですが、手動で非常用冷却装置を止めていた、となると、話が全然違ってきてしまいます。 このあたりの問題を少し考えてみたいと思います。個別のご質問は例によって私のツイッター(http://twitter.com/itokenstein)にいただければお答えできるものがあると思います。

 何かと慎重である東京電力ですら、株主総会が近付いていることもあるからでしょうか、もろもろ考慮の末と思いますが、この手動操作が、このあとすぐに起きたとされる炉心溶融、いわゆる「メルトダウン」に影響を与えた可能性がある、として、さらにデータを詳しく解析する、としています。

行きはよいよい、帰りは怖い?

 この「非常用冷却システムの手動停止」という言葉を見た次の瞬間、私が想起したのは「システムの不可逆性」ということです。

 ・・・などと書いてもわかりにくいですよね。具体的に噛み砕いてみましょう。

 今、ご自宅で突然停電があったとします。あるいは、3月にあれこれ取りざたされた「輪番停電」でも構いません。私は東京都下で1度だけ「輪番停電」を経験しました。あらゆるネオンサインが消え、交通信号すらつかず、おまわりさんが赤い棒を持って立っている。

 病院も電気が落ちてしまった。中央手術室や人工透析など、途中で電気が止まると大変に困る局面でも、停電は容赦なくやってきたと聞いています。昇降中のエレベータの中に閉じ込められた人も数百人に及んだという報道も記憶しています。

 さて、いまこの「停電」が止んで、もう一度電気が通じた場合を考えてみてください。あるいはブレーカーが下がったあと、もう一度上げるとしましょう。

 冷蔵庫や扇風機は、消えた時のまま、また動き始めるものが多いかもしれません。電灯なども、消えていたものがそのままつくことが多そうです。

 蛍光灯はどうでしょうか。蛍光灯はグローランプというもので「点火」しないと明かりがつきません。電気が復旧して、グローランプが普通につけば、また明かりがつきそうですね。

 問題は、電気だけで話が収拾しない部分にあります。

 例えば我が家にあるガス・ファンヒーターはガスが燃料なのに電気で制御されています。コンセントを抜いてしまうといったん消えてしまいます。

 これに再び電気が通じても、そのままではガス・ファンヒーターは再び温風を送ることがありません。もう1度「点火」の作業をしてやらない限り、温風は吹き出してきません。これは「輪番停電」の日に私自身が経験した事例でお話しています。

 さて、こんな具合でいったん電源が落ちてしまうと、そのあと復旧しようとしても、電気が通じるだけではダメ、という断絶が、電気系統以外との接点で起きる可能性がある、そういうことを「手動停止」という言葉を見た次の瞬間に考えました。

コメント75件コメント/レビュー

自分が考えていたことと同じ結論に至られており、驚き半分、嬉しさ半分です。トラブル防止にかける費用を削った結果、こういったことが起きた。この問題には、昨今流行の株主至上主義・株価至上主義経営が深く関係しているのではないでしょうか?短期的な利益さえ上がれば、長期的な利益は無視する。そういった目先の利益しか見ない、アメリカ的経営が今回の災害をもたらした、と考えることができると思います。IFRSの導入でこれが悪化しないことを祈ります。(2011/06/16)

「伊東 乾の「常識の源流探訪」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

自分が考えていたことと同じ結論に至られており、驚き半分、嬉しさ半分です。トラブル防止にかける費用を削った結果、こういったことが起きた。この問題には、昨今流行の株主至上主義・株価至上主義経営が深く関係しているのではないでしょうか?短期的な利益さえ上がれば、長期的な利益は無視する。そういった目先の利益しか見ない、アメリカ的経営が今回の災害をもたらした、と考えることができると思います。IFRSの導入でこれが悪化しないことを祈ります。(2011/06/16)

論点のすり替えが「コメント」側に多くありますが、衆愚党の一言が原因なのでしょうか。「馬鹿コンサル」は大いに賛成です。ハゲタカであると思います。私自身は4割コストカットに成功した、前社長を暗に仰っていると解釈しています。原発自体が去年から無保険だったようですし。今回はシステム面も大いに不備がありました。当初の発電所の対応も複電を頭に冷却をおろそかにした面もあるように思います。(大津波警報は当初3mでした)。そこの部分はマニュアル整備の面での技術チェックが疎かであったと言う主張と受取りましたが、如何でしょうか。意見を変えたと言う意見も拝見しましたが、以前の教授の圧力計の負圧の言及を見る限り、それは無いと思っております。行間の読解を要求する回であったと感じます。(2011/06/07)

先ほどのコメントをした者です。2号機の原子炉建屋がほぼ原形を維持していることより、設計の意図は貫徹されたと見ます。しかし、S/Cで爆発が起こってしまいました。これは設計の意図ではないでしょう。また、2号機ブローアウトパネルが開かれた直接の原因には諸説あり、東電の情報開示待ちです。(2011/05/31)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授