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強さの源泉には理念・使命感がある

現場力やリーダーシップの背後にあるもの

  • 小屋 知幸

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2011年5月25日(水)

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 東日本大震災の被害はあまりにも大きい。しかしその中で危機に直面した多くの民間企業が底力を見せたことは、日本の復興に向けた希望の光となった。企業が危機に立ち向かうための原動力となったのが、現場力の強さ(「第1回 非常時に“現場”が見せた底力」を参照されたい)とトップのリーダーシップの明確さ(「第2回 明確なリーダーシップが企業を導く」を参照されたい)であった。ただし現場やトップマネジメントが優秀であるだけでは、真に強い企業の条件としては不十分だ。

 「第1回」で取り上げたローソンやヤマト運輸などの事例を振り返ると、現場の頑張りの背景には企業の使命を果たそうとする強い意志があったことが分かる。また「第2回」で取り上げた経営者のリーダーシップの事例を振り返ると、各社のリーダーが「企業の使命を果たそう」と呼びかけたことが、組織の求心力として機能したことが分かる。

 つまり企業の現場力やリーダーシップの強さの背景には、企業独自の理念や使命感がある。企業理念が深く根づている企業では、いざという時に現場の人材が使命感を持って危機に立ち向かうことができる。また自社の企業使命が明確になっている企業では、非常時でも経営者が明確なリーダーシップを発揮できる。そして今回の大震災でも、強い会社は使命感を持って危機に立ち向かった。

サービス継続に奮闘した介護会社

 東日本大震災は高齢化比率の高い東北地方を直撃した。多くの高齢者が災害の犠牲になっただけでなく、病気や障害を抱えたまま避難所生活を余儀なくされている人も少なくない。今や介護は「第2のライフライン」だ。災害によって介護サービスが途絶えれば、高齢者や障害者の命や安全を脅かすことになりかねない。今回の震災では、多くの介護会社がサービスの維持のために必死の努力を行った。

 ジャパンケアサービスグループでは岩手、宮城、福島の3県で11事業所が、地震や津波あるいは原発事故による被害を受けた。同社の従業員は震災直後から、顧客である要介護者の安否確認に走り回った。ジャパンケアサービスは本社から精鋭を送り込み、介護サービスの継続と避難者の支援に全力を挙げた。同社は震災後も訪問介護サービスを継続したほか、通所介護の拠点として準備中だった仙台市萩野町の事業所を避難所として開放した。

 ジャパンケアサービスは訪問介護だけでなく、通所介護サービスの再開も急いだ。津波等の被害のため自宅で暮らせなくなった利用者に、サービスを提供するためだ。同社は休業していた通所介護施設を3月25日に再開したほか、萩野町の事業所も当初予定通り4月1日に開業した。

 セントケア・ホールディングでは、子会社のセントケア東北・宮城の7事業所が大きな被害を受けた。同社は被災した訪問介護の拠点を近隣事業所に移し、サービスを継続した。セントケア東北・宮城の従業員の中には、自らも被災し避難所から出勤する介護スタッフも少なくなかった。またグループホームなど、同社の入居型施設は、被災した利用者を定員を超えて受け入れた。

 介護付き有料老人ホームなどを展開するメッセージは、幸いにして自社施設の被害は少なかった。同社は社内でボランティアを募り、被災地の福祉避難所に介護スタッフを派遣した。

 介護業界には社歴の浅い中堅企業が多い。従って、多くの大企業と異なり、人材の余裕が少なく、災害対応のノウハウも乏しい。それでもジャパンケアサービスなどの介護会社は、介護サービスを維持するために奮闘努力した。

 介護ビジネスの歴史を振り返ると、かつて業界トップ企業であったコムスンが、事業を投げ出すように撤退したことが思い出される。だが今回の介護会社の震災対応を見ると、、業界各社の企業力が高まってきたように感じられる。すなわちこれまで介護サービスを提供してきた経験とともに、社会に不可欠なサービスを提供する企業としての自覚と使命感が、介護会社に根づいてきたのであろう。介護ビジネスは、強い使命感がなければ続けられないビジネスだ。介護会社の奮闘の背景には、「弱者を守る」という強い使命感があると感じられる。

供給責任を果たすための戦い

 医薬品卸大手の東邦ホールディングスは、地震により福島県の本宮物流センターが損壊したほか、東京及び大宮の物流センターも在庫が散乱するなどの被害を受けた。

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