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「在庫を極力持たない日本企業」は幻想

ジャストインタイムを実現できていないメーカーの内実

  • 岸良 裕司

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2011年5月26日(木)

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 東日本大震災によって生産停止の連鎖が日本全国や海外にも広がり、日本のモノ作りの効率化は行き過ぎだったと再考を促す声が高まっている。だが、それは本当に正しい指摘なのか──。

 本コラムでは、ビジネス小説『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社)の著者として知られるイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット博士が考案した改革手法の理論「TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)」とその具体的な手法を紹介しながら、実は効率化が進んでいなかった日本のモノ作りの実態を明らかにし、処方箋を提示していく。

 2回目の今回は、日本企業が「ジャストインタイム」という言葉に代表される効率的な部材調達・製品生産によって在庫を極小化できていたのかどうかについて検証する。

 「必要なものを、必要な時に、必要なだけ、必要なところへ届ける

 「ジャストインタイム」という言葉で形容されるこうした部材調達・製品生産のマネジメントを日本企業は取り入れ、在庫を極小化することに取り組んでいる。それは、製造業にとどまらず、小売業などにも広がっている──。おそらく読者の多くはこうした考えをお持ちだろう。

 3月に起きた東日本大震災では、メーカーや下請けの主力工場の被災や物流網の寸断によって部品や素材の供給が滞り、製品の生産をはじめとして企業が事業活動を停止する事態が日本全国や海外にまで広がった。

 こうした動きに拍車をかけた要因として、ジャストインタイムの徹底に伴って過剰な在庫を持っていなかったことが指摘されてもいる。だが、果たして本当にそうだろうか。

企業の財務諸表から消えない棚卸資産

 本当の意味でジャストインタイムを実現できているならば、企業の財務諸表に計上されている棚卸資産は極小化しているはずである。しかし、実際に企業の財務諸表を見てみると、多くの企業がいまだに数カ月分の在庫を抱えている。

 財務諸表は期末の数字である。期末になると一般的に在庫の削減に動く企業が多い。おそらく企業が常時抱えている在庫は、財務諸表の数字よりも多いだろう。また売掛回収金には、いわゆる押し込み販売で取引先に移された「隠れ在庫」が存在する場合もある。

 財務諸表に、数カ月分の在庫が計上されているということは、工場で生産した製品が平均して数カ月後に市場で売れていることを意味する。ジャストインタイムという言葉の響きからは程遠い。

 企業のモノ作りの現場では、トヨタ生産方式などを導入して、ジャストインタイムによる生産を実現しようと真摯に努力を重ねている。それでも、在庫が一向に減らないのはなぜなのか。そうした事態を改善するにはどうしたらいいのか。企業の具体的な事例を基に見ていこう。

 事例の舞台は、一般消費者向けのエレクトロニクス製品を開発・生産するA社。同社の製品の売り上げは新興国の旺盛な需要に支えられて伸び続けていたが、その半面、利益は減少の一途をたどっていた。

 技術面での参入障壁が少ない製品であることから、新興メーカーが次々と市場に参入。その結果、際限のない価格競争に陥っていたからだ。このままでは事業の継続さえ危ぶまれる状況にA社は追い込まれていた。

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