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企業は“成長しすぎない”のが長生きの秘訣

老舗世界一のニッポン、その96%は中小企業

  • 武田 斉紀

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2011年5月30日(月)

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100年を超える老舗企業の96%は中小のままだった

 先週のコラム『雇う側も雇われる側も、今、雇用の話をしよう』では、東日本大震災からの復興のために、まずもって雇用が必要だというお話をした。しかし震災の影響が少なかった企業にとっては、雇用は守れたとして、その先の「成長」が気になっているのではないだろうか。

 突然の震災で忘れかけているが、日本がGDP(国内総生産)ベースで世界第2位の経済大国から、中国に抜かれて世界第3位になったのは、つい昨年度のことだ。GDPだけを見れば、8位(2010年)のブラジルや11位(同年)のインドに脅かされる日も遠くないだろう。戦後の焼け野原から、先達の努力によって世界第2位となり、第3位に“落ちた”国は、今後もひたすらかつての「高度成長」を求めて、新興国とも戦っていくのだろうか。

 世界にはリーマンショックから立ち直った企業、もともと影響を受けなかった競合が元気を取り戻し始めている。「まずは早く世界No.3の席に戻らないと。でその先はどうするんだっけ? No.2を目指すんだっけ? その後はNo.1?」「いやどう考えたって中国、アメリカを今から抜くのは無理じゃない? じゃあ日本はもうこれ以上の経済大国にはなれないの? 落ちていくだけ?」

 結局私にはこの国が、「とりあえず復興と経済回復をしよう。でもその先は?」で思考停止しているよう見える。GDPベースの経済大国としての地位を維持していく(恐らくできない)ことを、御旗に掲げて突き進むのだろうか。豊かになりたければ企業の努力と工夫に終わりはないし、競合が増えている分、さらにそれらは必要となる。だが問題は、その方向をどちらに向けるかだ。それがGDP世界No.2なのだろうか。

 断わっておくが、企業の成長を否定しているのではない。スタートアップの会社はある時期勢いよく成長しないと、資金が尽きて消滅してしまうかもしれない。IT(情報技術)など業種によっては短期間の成長が未来を分ける場合もある。“無理のない”成長は大いに結構だ。ただそれでも国全体で言えば「低成長」や、もっと言えば「現状維持」(それにもかなり努力と工夫がいる)でも、企業も国も豊かで健全に存続できるのではないかと思えるのだ。

 ある大手経営コンサルタント会社の代表が、「でも企業は成長しないと、存在意義がないではないか」と反論されていた。「より成長している(=売り上げ規模が拡大している)企業の方がエライ」とおっしゃっているように聞こえた。日本の老舗企業に学ぶ講演会でのことである。

 世界の中で「創業200年以上の企業の数」が最も多い国はどこか、ご存じだろうか。それは“ダントツ”で日本だ。3113社で、第2位ドイツの1563社の2倍。第3位のフランスに至っては331社と日本の10分の1になる(図1:後藤俊夫著、『三代、100年潰れない会社のルール ~超長寿の秘訣はファミリービジネス~』、プレジデント社より)。創業100年以上の企業数では約2万社に上る。日本は世界一の超老舗企業大国なのだ。

画像のクリックで拡大表示

 法政大学大学院教授の久保田章市さんの調査(『百年企業、生き残るヒント』、角川SSC新書)によれば、創業100年以上の企業の96%が従業員数300人未満の企業、いわゆる中小企業だという(図2)。しかも10人未満で50%と半分を超えている。売り上げ規模は100年たてば物価も大きく変動するので単純比較はできないが、従業員数で見る限り、「低成長や現状維持」でも、企業は存続できるのだ。雇用だって永続的に守れる。

従業員規模別の長寿企業数 ~96%が中小企業
従業員規模 1908年以前創業企業
企業数 構成比率(%)
3000人以上 104 0.5
1000~2999人 178 0.9
500~999人 246 1.2
300~499人 274 1.3
100~299人 1,143 5.5
50~99人 1,332 6.4
30~49人 1,589 7.6
10~29人 5,374 25.8
5~9人 4,627 22.2
0~4人 5,937 28.5
合計(不明除く) 20,804 100.0

注:調査は東京商工リサーチのデータ213万社を対象。実際の企業数はこの1.5~3倍はあると思われる。

出所:東京商工リサーチ『全国創業100年超え企業の実態調査』

コメント25件コメント/レビュー

現状維持がなぜいけないのか悩んでいましたので、記事を心強く感じました。会社の実績は○○%の利益UP、次期の目標はまた○○%の利益UP、では、何のために仕事をしているのかと思ってしまうこともあります。お客様のため、社会のために何ができるのかを大事に考えていきたいと思います。(2011/06/01)

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現状維持がなぜいけないのか悩んでいましたので、記事を心強く感じました。会社の実績は○○%の利益UP、次期の目標はまた○○%の利益UP、では、何のために仕事をしているのかと思ってしまうこともあります。お客様のため、社会のために何ができるのかを大事に考えていきたいと思います。(2011/06/01)

株主は資本の一部を出しているに過ぎない。それに付加価値をつけ、利益を生み出しているのは社員。自称投資家の投機家の顔色を伺いすぎて、成長にこだわりすぎるのは破綻を招く。日本人は、狩りより農耕が得意なのだから、その特性に合わせた商売をすればよい。(2011/05/31)

ここで筆者の論を実現するには、海外から安いコストで資源を調達し、高品質等の付加価値の高い製品を作り、海外でしっかり販売し、稼いだ利益を国内に還元させることで、日本国内の内需型企業の持続的安定を実現する。資本主義経済社会ではどこがが利益を上げればどこかが割りを食う社会ですものね。この受け止め方は間違いでしょうか?(2011/05/31)

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