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「オレっていい上司だな」が落とし穴

[3]部下は上司を3日で見抜く、まやかしは通用しない

2011年6月8日(水)

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第1回『部下に「与える」つもりで「求めた」失敗』から読む)
第2回『「喉の渇き」で部下を鍛える』から読む)

 「今度こそ…」。指示命令や強制を繰り返し、部下育成に大失敗をした僕は、やり方を180度変えることにした。チームの主役は僕ではなく、部下たちにする。僕はなるべく口出しをせず支援役にまわる。そして彼らの主体性を引き出すことにしたのだ。

 僕は部下とのコミュニケーション、一つひとつに気を配った。そして、かつての僕に逆戻りしてしまわないように努力し続けた。それと共にチームの空気は目に見えて変わってきた。恐る恐るではあるものの、部下たちが主体性を発揮し始めたのである。

 しかし。そう簡単にことは運ばない。定例で実施し始めた部下面談で、リーダーの山下さんが、そっと僕に耳打ちをしてくれたのだ。

 「みんな、小倉課長のこと、噂していますよ。『今までだったら指示命令が飛んできたのに、最近は、君はどう考えるかな? なんて質問するようになっちゃって・・・。わざとらしくて、なんだか気味が悪いよ』ってね」。

 あちゃー。気持ち悪い、って言われているのか・・・。僕はショックを受けた。しかし、よくよく考えた末にこう結論を出した。「気持ち悪がられるのは当然だ」と。

テクニックは、バレる

 僕の変化が部下に気味悪がられた理由は、おそらく2つだ。1つは単なる慣れの問題。急激な変化に部下がとまどっている、というものだ。しかし、これは大して深刻ではない。おそらくは、時間が解決してくれるだろう。しかし、2つ目の理由はちょっと深刻だ。

 それは、僕が「テクニック」を使って、「ムリをしている」というものだ。だから不自然で、ぎこちない。1つ目の理由に比べて、こちらの方は、ちょっと深刻だ。

 例えば、僕が部下の相談にのっている場面が思い浮かべてほしい。課長の僕は既に答えを用意している。「こうやればいいんだよ」と。だから、それを部下に教えたくて、さっきから、うずうずとしている。しかし、それを言っては部下の主体性が育たない。だから、僕は「ムリをして」「ガマン」する。答えをわざと言わずに、コーチング的に質問するのだ。「どうしたらいいと思うのかな?」。そして自己満足する。「オレっていい上司だな」と。

 しかし、僕は気づかない。そんな心の内を部下はとっくに見抜いているということに。「小倉さんは自分が考える正解に僕を誘導しようとしているな。質問しているけど、どうせ、小倉さんの考える方向に持っていかれるに違いない。それならば、ストレートに命令してもらった方がまだ手っ取り早いよ」と。

 部下の可能性を信じ、部下に任せて、主体性を引き出す。その考え方自体はなんら間違ったものではない。しかし、それは「心の底から」信じている、ということが前提だ。かつての僕がやってしまったように、心の中では答えを持ちながら、部下を誘導しよう、などとせこい考えを持ってはいけない。バレている。部下に見抜かれているのだ。

 上司は部下を見抜くのに3年かかるが、部下は上司を3日で見抜く。まやかしやテクニックは部下には通用しない。僕はそれに気づいていなかったのだ。

プレーヤーとしてのレベル、管理者としてのレベル

 課長の頃からコンサルタントという仕事をしていた僕は、当時から講演やセミナーで講師を務める機会が多かった。そこでリーダーシップについて語るとき、僕はいつもこう話していた。「リーダーとプレーヤーは違います。プレーヤーは自分の力でことを成す。リーダーは、他人を通じてことを成す、のが仕事です。誉めても叱っても思う通りに動かない他人を動かして成果を上げる。だから大変なんです」。

 ある日、いつものようにそんな話をしながらドキッとした。ちょっと待てよ。偉そうにリーダーシップを語っている自分が、もしかしたら一番分かっていないんじゃないか、と。僕は部下の仕事のレベルが低い、とイライラし通しだった。しかし、その不満を指示命令でぶつけても何も変わらないと気がついた。そこで、僕がとった方法は「ガマンして」「テクニックを使って」部下に主体性を持たせる方法だったのだ。だから、部下に見抜かれた。気味が悪いと陰口をたたかれた。

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「「オレっていい上司だな」が落とし穴」の著者

小倉広

小倉広(おぐら・ひろし)

組織人事コンサルタント

小倉広事務所代表取締役。組織人事コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラー。大学卒業後、リクルート入社。ソースネクスト常務などを経て現職。対立を合意に導く「コンセンサスビルディング」の技術を確立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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