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第32話「そんなことは知っているわ。でも彼は特許権を侵害しているのよ」

2011年6月1日(水)

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前回までのあらすじ

 日豊自動車の専務取締役である湯浅は、電気自動車(EV)の先にある燃料電池車の開発を考えていた。

 EVの開発競争に巻き込まれず、次の自動車開発に先手を打ちたい。そう考えた湯浅は、MTCと組むことを考え、団達也と話し合い、次世代の燃料電池車の開発を考えた。

 しかし、日豊自動車の松田義一社長は、湯浅の考えるプロジェクトを棚上げすることを命じていた。

 MTCの主力製品である「K01」は自動車メーカーからひっぱりだこで、大量の受注残を抱えていた。しかし、電気自動車の電池の技術は日進月歩で変わり、K01の製品としての寿命は、当初の予定よりずっと早くなる気配だった。

 アメリカのUEPC研究所にいるアンディーは、K01の特許は自分が業界雑誌に投稿したことで公知になっていることを吹聴していた。K01を量産できるロボットの制御プログラムの発明は金子だ。そして、ロボットそのものを開発したのは、現在UEPCに籍を置いている三沢であり、特許を持っているのはジェピーだった。

日豊自動車

 「低燃費車か、高級車でなければ、売れなくなるな」
 湯浅は、朝刊を読みながら考えた。想像していたとはいえ、アメリカのやることは徹底している。

 湯浅が読んだ記事はこうだった。米政府は、2013年初めに投入される新型モデル車から、燃費性能がたやすく分かるように新たなラベルの貼付を義務付けると発表したのだ。そこには、今後5年間で新車全体の平均に比べて燃料代をいくら浪費することになるか、160キロメートル走行するのにどのくらい燃料を使うか、といった情報が追加されるというのだ。消費者は否が応でも、新車を購入の際に燃費を重視するようになる。その結果、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)が優位になることは、間違いない。

 とはいえ、ガソリン車が劣勢に追いやられるとはいえない。燃費がカギだからだ。日豊自動車も着々と低燃費車の開発に取り組んできた。例えば、ドイツのメーカーは、1.8リッターの新型車を改良した1.4リッターの新エンジンに統一して、燃料1リットルあたり18.4キロ(10.15モード)走れるようにした。

 日豊自動車が近くに発表する1.3リッターのエンジンを搭載する小型車は、アイドリング停止機能と無段変速機と組み合わせることで、燃料1リットルあたりの走行距離が35キロメートル(10.15モード)走る。これだけ燃費が良ければ、ハイブリッド(HV)車に売り負けることはない。

 湯浅は、ハイブリット車の開発を中断してガソリンエンジン車の低燃費化を図れという、社長の意思決定が正しかったと思った。だが、低燃費競争は始まったばかりだ。リッター60キロ走れるPHVは2年以内に発売されるのだ。

 時間は稼げても、中期的な視野に立った場合、競争には勝てない。

 (やはり、団さんと組むしかない)

 湯浅は気持ちを新たにした。

「熱血!会計物語 ~社長、団達也が行くseason2」のバックナンバー

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「第32話「そんなことは知っているわ。でも彼は特許権を侵害しているのよ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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