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記憶に残る震災後の決算説明会

上場企業トップが見せた苦悩と自信

  • 石原 昇

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2011年6月1日(水)

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 3月11日の東日本大震災から2カ月余り。上場企業の3月期決算が出そろった。3月期決算の企業は上場企業全体の7割を占める。筆者は証券アナリストとして、30年にわたって決算説明会に出席している。今回の決算は、震災の影響を色濃く反映している。日本を代表する企業のトップは、この難局にどのように立ち向かおうとしているのか。4月下旬から1カ月の間に訪問した100社を超える企業の中から記憶に残るものを紹介する。

100年に一度のリーマンショック、1000年に一度の大震災

 1年を総括する本決算は、社長が自ら概況を説明する企業が多い。また中期計画や長期ビジョンを語る場にもなっている。その顔の表情、声のトーンから、活字媒体からは得られない情報が読み取れる。震災を経験した経営者たちの表情からは苦悩と自信が垣間見えた。

 今回の決算に当たって、金融庁と証券取引所は、被災企業について、決算発表に関するルールを緩和した。具体的には、決算短信の提出期限を猶予、見通しを立てるのが困難な場合は業績予想の開示を免除、有価証券報告書などを期限内に提出できなくても上場廃止の対象にしない――などである。決算短信の提出は対象となる決算期が終了した日から45日以内と決められているが、これを延長する。被災企業は上場会社の3分の1に及ぶ。決算発表を遅らせ、2011年度(2011年4月~2012年3月)の業績予想を未定とした企業が続出した。

 機関投資家やアナリスト向けの決算説明会は、大株主である機関投資家や証券アナリストが出席する。アナリストは、ここで得た情報を基に投資レポートを作成し、株価を格付けする。このため業績変動の要因、業績予想の前提、それを実現する戦略が深く問われる。報道機関向けの記者会見が、速報性と社会性を重視しているのとは異なるところだ。「株主総会よりも緊張する」とある経営者は語る。

 2年前の2009年3月期の決算発表では、100年に一度と言われたリーマンショックにより、大赤字に転落する企業が続出した。今回は、1000年に一度の広域連鎖型の地震、直後に起きた津波と原発事故、そして計画停電やサプライチェーンの寸断が広がったことで、未曾有の決算が予想された。

 しかし、意外なことに、決算発表の多くは「したたかな民」を印象づけた。リーマンショック後の構造改革により、ニッポン企業の足腰は強くなっていたのだ。迷走する政・官とはずいぶん異なる。

東電の苦悩、日立と東芝のしたたかさ

 今回の決算発表の注目度ナンバーワンは、東京電力だろう。5月20日、午前中に役員会で決議し、午後に記者発表。夜になっての決算説明会だった。本社の正門前は原発反対の市民団体が気勢を上げ、警備が取り巻く厳戒態勢のなか、説明会に参加する者は厳重にチェックされた。

 経営陣が冒頭で陳謝したのち、清水正孝社長が、決算内容、当面の事業運営と合理化方針、夏の供給力、福島第1原子力発電所の状況を説明。続いて新社長候補の西澤俊夫常務が挨拶した。

 東電は2011年3月期決算で、被災した資産の復旧に要する費用・損失として1兆円を計上。日本の事業会社として過去最大の1兆2473億円の最終赤字となった。ただ、保険金や賠償金は算定困難とのことからこの数字には入っていない。株価は震災前の2000円台から6分の1の300円台に下落して無配となっている。組織の存続も危ぶまれる現状では、投資家も厳しい目を向けざるを得ない。

 清水社長は「昨年9月に策定した中期経営方針2020年ビジョンは精魂込めて作ったものだが、取り下げざるを得ない」と無念をにじませたが、空虚に響いた。

 一方、福島第1原子力発電所に機器を納入している日立製作所と東芝は、2011年3月期に過去最高の最終利益を計上した。中長期の成長への意欲も高い。

 茨城県に主力工場が集中する日立製作所は、震災により売上高が1300億円、利益が750億円減少した。しかし構造改革が進み、海外のインフラ事業などが寄与したため、20年ぶりに最高益となる2388億円をたたき出した。日本の製造業で最大の赤字7873億円に転落した2009年3月期からわずか2年でV字回復した。

 三好崇司副社長は、強い日立の復活を強調した。「固定費削減、資材調達費削減、経営の迅速化といった構造改革の成果が出た。社会イノベーション事業を拡大するため、グローバル化を加速し、M&Aを活用する」。

 日立は今回、新年度の業績予想は発表を見送った。中西宏明社長が登場する6月9日の経営計画説明会で公表する予定だ。原発事故は日立製作所にとって打撃だが、同社は火力発電のウェイトも高いため、この復旧需要が新年度の電力部門を下支えする。現在、7基400万キロワット、夏までに6基385万キロワットの稼働を目指している。

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