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社会問題解決と競争力強化を両立するCSV

その追求が震災復興の長期支援を可能にする

  • 水上 武彦

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2011年6月1日(水)

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 3月に東日本大震災が発生した後、企業は多額の義援金を寄付し、社員をボランティアとして被災地に送り込む動きも出ている。だが、こうした取り組みで被災地の復旧・復興を長期にわたって支援できるのか。

 そもそもCSR(企業の社会的責任)とは何か。今回の震災は、この問いを企業に改めて突きつけている。企業と社会の双方が利益を共有できる「ウイン・ウイン」の関係は。

 企業の競争戦略論の大家であるマイケル・ポーター米ハーバード大学教授が新たに提唱した「Creating Shared Value」という考え方を通して、日本企業の実行例も取り上げながら、企業と社会との新たな関係のあり方を探る。

 3月11日に東日本大震災が発生した直後から、多くの企業が義援金の寄付や緊急支援物資の提供など実施した。こうした取り組みには、「被災地のために何かしなければ」という純粋な使命感と、日本中の注目が集中している状況において「世間が納得する対応を取っておきたい」という世間体を気にする思いとが、恐らく複雑に絡み合っていたことだろう。

 しかし時がたち、世の中が日常を取り戻すにつれて、「使命感」も「世間体を気にする思い」も弱まっていく。「10年以上の長期にわたる」と見られている被災地の復興を企業が支え続けるには、企業の本業の活動の中で支援をしていく必要がある。

 もともと日本企業の多くは、「日本の社会を発展させる」という強い意識を持って成長してきた。しかし1980年代後半から90年代初頭に日本経済が繁栄を極めて以降、企業の経営はその方向性を見失っていたように思う。しかし、日本企業の強さは今でも、「社会の発展のために」「社会の課題を解決するために」活動する時にこそ、発揮されるのではないだろうか。

震災復興への対応と自社の競争力強化を両立する

 もっとも日本経済が右肩上がりで成長していた時代とは異なり、社会の発展や社会課題の解決に尽くすと言っても、そこには戦略性が必要である。

 それに震災からの復興に戦略的に対応することによって、日本企業が新たに目指すべき方向も見えてくるのではないかと思われる。

 そうした新たな方向を探るうえで着目したのが、米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が新たに提唱したコンセプトだ。同教授は、企業の競争戦略論の世界的第一人者として知られる。米ハーバード・ビジネス・レビュー誌の2011年1月・2月合併号に寄稿した論文で、「Creating Shared Value」(以下、CSV)というコンセプトについて詳述し、企業は社会と共有できる価値を創出すべきだと主張した(関連記事:CSRの呪縛から脱却し、「社会と共有できる価値」の創出を)。

 このCSVのコンセプトとフレームワーク(枠組み)は、日本企業が震災から復興への対応と自社の競争力強化を両立させる戦略を考える際に、大いに参考となると考えた。

 私自身も、「世のため人のため」という思いから国家公務員となり、その後は経営コンサルタントに転じたものの、「社会のため」という意識は持ち続け、「企業の強みを生かして社会課題を解決する」ことについて常に考えてきた。今では、企業のCSR活動を対象としたコンサルティングを主に手がけている。

 本コラムでは、ポーター教授が考案したCSVのフレームワークを援用しつつ、私自身がこれまで考えてきた視点を織り込みながら、震災を受けて日本企業が目指すべき新たな経営の方向について考察していく。

 第1回目の今回は、CSVとその応用可能性の全体像を俯瞰し、次回以降は、日本企業の事例を中心として、「社会の発展」に貢献する経営のあり方を具体的に考えていくこととする。

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