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“社会との絆”が強い企業を育む

“3.11後の世界”で企業が担う新たな役割とは何か

  • 小屋 知幸

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2011年6月1日(水)

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3.11で世界は変わった

 このコラムでは非常時に力を発揮できる企業こそが「強い企業」であるという認識の下、企業の震災対応の事例を検証することで、「強い企業」の条件について考察してきた。これまでの連載で、「強い企業」の条件は明確になった。それは「現場力の強さ」「トップのリーダーシップの明確さ」「強固な理念・使命感」の3点である。だがこの連載を終える前に、もう一つ考えておくべきことがある。

 それは、“3.11”を境に世界が変わったということだ。仮に東日本大震災以前の世界を“3.11前の世界”、大震災後の世界を“3.11後の世界”と呼ぶことにしよう。3.11前の世界では、政府・自治体など公共部門の役割と、民間企業の役割は明確に分かれていた。社会の安全や福祉あるいは防災対策を担うのは基本的に公共部門の役割だった。

 これに対して事業を通じて社会に貢献するのが民間企業の役割であり、民間企業は自社事業の範囲を超えて公共的責任を負う必要はなかった。例えばヤマト運輸であれば「津々浦々まで荷物を届ける」ことが同社の主たる役割であり、同社はそれ以上の公共的役割を積極的に担う必要はなかった。

 確かに今回の震災対応では、公共部門も奮闘した。特に被災地の自治体職員や自衛隊の献身的活動は、称賛に値する。だが同時に、今回の震災は公共部門の限界も浮き彫りにした。例えば被災者の救援、支援物資の提供、情報の収集と提供などに関して、政府や地方自治体の手が回りきらない部分が少なくなかった。政府や地方自治体などの公共部門には、地域住民の安全や健康確保に対する責任がある。だが公共部門は万能ではない。東日本大震災の対応において、公共部門における人的リソースやノウハウの不足感は否めなかった。

 一方、今回の震災において、一部の民間企業が公共的役割を担った。例えばヤマト運輸は「救援物資輸送協力隊」を組織し、一部の避難所などへの救援物資の輸送を請け負った。被災当初は各地の自治体職員が救援物資の配送を担当していたものの、人手やノウハウの面で限界があり、救援物資の配送は滞っていた。これをヤマト運輸が請け負うことで配送体制が大幅に改善し、末端の避難所まで物資が届くようになった。

 またイオンは被災地の店舗を避難所として提供し、店舗の従業員が被災者の支援に当たった。このほか被災地で炊き出しを行ったり、救援物資を提供したり、自社施設に被災者を受け入れたりした企業が少なくない。

 今回の震災対応に関して、公共と民間の役割分担は以前の常識ほど明確ではなかった。例えば被災地に必要な物資を届けるという機能において、政府や自治体が一定の役割を果たしたことは間違いない。だがイオン、ローソン、ヤマト運輸などの民間企業が果たした役割は決して小さくなかった。言い換えればイオンやローソンなどのビジネスは、それ自体が公共・公益的性格を合わせ持つことが明らかになったと言うことができよう。

 3.11で世界は変わった。3.11前の世界では、政府や自治体などの公共部門に公共的役割を任せていればよかった。だが3.11後の世界では、民間企業も公共・公益的役割を担っていかなければならない。

民間企業が担う新たな役割

 このコラムで「強い企業」として取り上げたヤマト運輸やローソンなどの経営者は、既に民間企業の新しい役割を自覚しており、自社を新たなステージに導こうとしている。例えばローソンの新浪剛史社長は「企業は社会的な役割を試されている。コミュニティにきちんと根ざしていない企業は滅びる」と述べている。また帝人の大八木成男社長は「安全、安心を、広い意味での社会貢献として確立しないと、企業はもはや生きていけない」と語っている。

 そしてヤマト運輸の木川眞会長(ヤマトホールディングス社長)は「復興支援は民間企業の責務」と述べ、復興支援活動の先頭に立とうとしている。ヤマト運輸は宅急便1個につき10円の寄付を行い、被災地の産業の復興を支援する活動を始めた。同社における宅急便の年間取扱個数は約13億個なので、寄付金の総額は年間130億円に上ると見込まれる。

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