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原子力が「安価なエネルギー」である背景

「燃料サイクル」は本当に回っているか

2011年5月31日(火)

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 早いもので、この「常識の源流探訪」連載も今回で200回を数えることになりました。別の言い方をすれば5年目に突入ということにもなります。毎週欠かさずこの原稿を書くことで、本来は社会的に引きこもりがちな芸術音楽家の私ですが、ずいぶん世の中の動静に敏感な暮らしを送れるようになったと思っています。何よりありがたいのはちょうだいするコメントです。多くを学ばせていただいています。1年半ほど前からはツイッターも開設して、一方向的な発信&コメントにならず、双方向的な対話も出来るように工夫してみました。

「常識探訪」の源流

 このコラムは、かつて物理など基礎科学も学んだ音楽屋の私が、既成の利害関係とは離れた視点から、何かと「まあ、そんなもの」と思考停止したままになりやすい「常識」の背景を探るということで書き始めましたが、元の動機はもっとつまらないものでした。

 2006年、期せずして「開高健賞」というノンフィクションの文学賞をもらった私は、版元から作家原稿を継続的に書いて行く上で、どこかに「雑誌連載」をしましょう、ということになったのですが、これがうまくゆかない。当時は紙の総合月刊誌が軒並み末期的で、その後相次いで「休刊」になってしまうわけですが、新規連載などとても余裕がない、という軒並みのご返事。そんな中で「紙がダメならネットで!」をという当時の川嶋諭・編集長からのお話で、スタートできた最初の安定した連載が、この「常識探訪」だったわけです。

 それでも、本来の僕のタイトル案は「CSR解体新書」というものでした。これは、各企業に支援をおうかがいすることの多い芸術音楽人の背と腹があって、会社をお訪ねした際にそのような担当者に顔や名前を知っていただけると、音楽に少しはご援助いただけるかな? なんていう動機で実は考えたものなのですね。切実な問題ですので。日本経団連の関係者から、国際的にトレンドになっているCSRだけれど、実はどの国にも大して深い学術的基礎なんかはない、そういうものを書いていただけると、こちらも支出しやすいんですが・・・、なんて言っていただいた背景も、実はありました。

 ところが川嶋さんから「CSRだけじゃもったいない、何でも書ける連載にして、大きく伸ばしましょう」とご提案いただいたのが「常識の源流探訪」というタイトルだったのです。

 実際、死んだ親父が経済学を志しながら早世した経緯もあったので、CSR基礎論にしても一定、経済にきちんと根を張ったものとして書きたい個人的な動機がありましたし、それに限らず、という編集部のご意向で、ずいぶん色々な取り組みができました。連載開始から半年ほど経った2008年1月のこの回など、多分まだ日経ビジネスオンラインのアクセス史でも記録上位に入っているのではないかと思います。

 実際にはこの2008年から本格化した金融破たん、世界同時株安など「冷戦後」状況が本格的に終焉を告げ、米国も日本も政権交代。2009年以降は「事業仕分け」などで芸術や学問の予算は大幅にカットされ、「CSR」などという標語もお金の流れとほとんど関係なくなってしまいましたが、この連載は何とか続けることができています。僕の短慮だけであればとうに終わっていたことでしょう。この連載を編み直すことで「日本にノーベル賞が来る理由」(朝日新書)など数冊の紙の本も生まれました。今後も、クビにならない限り毎週、時代の中で生きた問題を、自分自身で手を動かして、コメント欄やツイッターなども生かしつつ、ご一緒に考えてゆきたいと思っています。どうぞ引き続きよろしくお願いします。

本当に「原子力に代替するものはない」のか

 先週開かれたG8サミットでは、議長国フランスのサルコジ大統領から原発に関して「G8に参加した多くの国が原子力以外に(当面の)代替エネルギーはない、と判断した」と述べた上で「最大限の安全対策に配慮しつつも、先進国は原発に依存せざるを得ない」という考えを示しました。

 フランスの電力事情を考えれば「原発に依存せざるを得ない」はその通りと思います。「原子力庁」を中心として国内の過半の発電所が原子力でタービンを回しているフランスで「原発に依存できない」などということになってしまっては、国が立ち行かなくなってしまいます。

 かつて米ソ冷戦期、第三極としてNATO核武装など安全保障の観点からも推進された欧州での原子力発電。現在では過度と言えるほどに原発が比重と高めてしまっていますが、これをいきなり止めろ、などというシナリオは、グローバル・パワーバランスを考えても、あり得ることではありません。

コメント61件コメント/レビュー

フロンティア精神が重要なことにはまったく異論がありません。但し、リスクを冒す際には適切な(リスクの性質と影響に見合っただけの)検討が必要でしょう。コストを下げるためだけに、十分にありうべきレベルの地震・津波(しかも国会議員まで指摘しているのに)を無視してしまうような不透明ななれ合いがなされてきたように私には見えますが、そういうことを問題視している文脈の記事に対して、つっこみどころがずれているように思います。(2011/06/08)

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いただいたコメント

フロンティア精神が重要なことにはまったく異論がありません。但し、リスクを冒す際には適切な(リスクの性質と影響に見合っただけの)検討が必要でしょう。コストを下げるためだけに、十分にありうべきレベルの地震・津波(しかも国会議員まで指摘しているのに)を無視してしまうような不透明ななれ合いがなされてきたように私には見えますが、そういうことを問題視している文脈の記事に対して、つっこみどころがずれているように思います。(2011/06/08)

原子力は安価に見えるようになされているのはおっしゃるとおりだと思います。では、太陽光発電は本当にエコなんでしょうか。パネルの寿命と蓄電システムを含む周辺回路の寿命、そして、企業は回路の修理交換、改良を考慮にいれてパネルの寿命を最大限生かす製品作りをしているのでしょうか。パネル等の材料の調達から、使えなくなったモノの廃棄とリサイクル、それにかかる運搬や処分等、トータルで議論したとき、本当にCO2は少なく、環境に優しいものなのか疑問に思っています。次回はそういった話を期待しています。(2011/06/08)

非常に慎重な論調でしたが、しかし、実際のところ、これからの原子力行政の見通しなど誰にもわからないので、断定的な事ばかり書かれる他のコラムニストの方よりは好感が持てました。核燃料リサイクルに関しては当初より懸念が指摘されており、動燃の隠蔽体質などに触れるたびに「こりゃ無理筋だな」と思っておりましたので、もうそろそろ政治判断を下す時期に来ているのではないでしょうか。ただ、代替のエネルギーとなると当面は「火力の稼働率アップ+天然ガスの積極活用」しかないでしょう。太陽光は日本では主流にはなれません・あと、太陽光と太陽熱を混同されてる方をよく見受けますが、ソーラーパネルを使った太陽光発電はパネルが高温になると発電能力が落ちるので、夏場のピーク時の発電能力は実はあてにはできません。そういう事なんです。(2011/06/06)

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